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温かい心を拾いました。  作者: いのりさん
6/11

―冷たい親心―

どうも、祈りです。

お手にとっていただき感謝です。

6話目ですね、休日は頑張って更新します。

では本編へどうぞ!(っ´ω`)っ


 風呂を出て、睡眠用の浴衣に着替える。

 眠らなくてもいい、睡眠欲はない、しかし可能な限り人間らしい生き方をするため意識して眠る。


「フリュウくん」

「レイティアか、どうかしたか?」


 マティルダが二階にいるのは風呂場でも響いてくる階段の音で分かっていた、てっきりレイティアも二階にいると思っていた。


「さっきマティルダちゃんには話したんだけどね、明日から学校に通わせるから」

「その根回しのために昼を留守にしてたのか...」

「そういうことっ」

「必要なのか...」


 フリュウは人間をやっていたのが17年間しかない、しかも四桁の年を越えてきたせいで人間らしい考え方が薄れている。


「当たり前です!」


 レイティアのほうが人間としての常識は理解している。

 フリュウもこういった感覚のことでレイティアに逆らうことは出来ない。


「マティルダちゃんがいつか自立するときに常識を覚えてないと困るでしょ」


 ここでフリュウは自立するのか、とショックを受けたのがレイティアには見え見えだった。


「そりゃ、オニマルから聞いたけど、父親のつもりなら人間関係を作ってあげないと...」

「なるほど...」


 自立か...そうだよな、マティルダがずっと俺の娘でいるわけにはいかないか...。


「このことはレイティアに...任せていいかな」


 レイティアが突然頬を赤らめて上目遣いになるのだが、恋心すら消えかけているフリュウは何も感じない。


「まぁ私とフリュウさんとの間の娘だからねっ、仕方ないねっ」

「えっ...」

「えっ...」


 フリュウとレイティアは見詰めあっている。

 しかし明らかに意識の差があった。

 本気で困った顔をしているフリュウに見詰められるのが耐えられなくなったレイティアは逃げるように二階に走っていく。





 二階には四つの部屋がある。

 階段をのぼって右にフリュウの部屋、左にムラマサの部屋、中央右がレイティア、中央左がミコトになっている。

 フリュウはマティルダはレイティアかミコトのどちらかの部屋で寝るものだと思って普段通り部屋のドアを開けた。


「あっ、フリュウさん!待ってましたよ!」


 フリュウの敷き布団の上でマティルダが枕を抱いて座っている。


「...マティルダはここで寝るの?」

「はい!」


 悪意をまったく感じない無邪気な声、フリュウは必死に普通の男子の思考を考え、人間的な意見でどうにかしようとする。


「年頃の女の子が男と寝るのは...」

「なんですかー、そんな年じゃないですよ?」


 マティルダの見た目では人間ならまだ二桁いってないはずだ。だがマティルダは角が生えている、長寿族であるのは見え見えだった。


「けどな...長寿族は成長が遅いから、精神年齢はもう15くらいだろ?」


 出会ったばかりのころは生存本能が働いてまともな思考が出来なかったから分からなかった。

 個人差があるのも知っていたからフリュウは見た目通りの年齢だと思っていた。


「あー、まぁいいじゃないですか。...人肌感じた方が眠れますし...」

「ダメだよ、ミコトのところにでも...」

『またか...』


 途端、オニマルから脳に直接声が聞こえてきた。


『父親が娘を拒絶するなと何度言ったら分かるのだ』

『...さすがにこの精神年齢で男と同じ布団に入るのは。悪いだろ』

『何バカなこと考えてる』

『なんだよ...』

『娘が父親に甘えて何か悪いのか?』

『っ...。悪くは...ない?』

『なら一緒に寝てやれ、お前にその気がないのは分かりきっとるわ』

 フリュウはその自分のことを分かりきった言葉に顔をひきつらせる。

『お前な...』

『いつまでもつか、父親ごっこを楽しんでこい』


 出会ってすぐなのに、マティルダはフリュウの中で大切な存在になっている。

 いつまでか、成長と共に考え方が変わるか。後で後悔するなということか。

 フリュウはオニマルに言いくるめられた。


「フリュウさん?」

「いや...」

「どうしてもダメ?」


 フリュウに上目遣いはまったく効果がない、はずだが。

 マティルダの幼い容姿でそれなりに大人っぽい動きはギャップによって妙な色気を出している。


「はぁ...分かった」

「なら!はやくっ!」


 マティルダが手を繋ごうとしてくる、やはりパキパキと氷が形成されてしまう。


「分かったよ...俺の枕を返してくれる?」


 マティルダは素直に従ってくれた、小さい手で必死に枕を抱いていたので、手放すときは残念そうな顔をしていた。


「かわりに腕枕してー」


 フリュウは困った。拒絶はしないと決めた娘にまた我慢させてしまうのが嫌になった。


「...枕返すよ」

「んー、えへへ」


 マティルダは体の前で枕を抱いて顔を埋める。

 やっぱ人肌が恋しいのか...。

 枕に向かって「フリュウさんー」と寝言をしているマティルダを見ながら、フリュウは無理矢理眠りについた。

読んでいただき感謝です。

わりと頑張ってるつもりなのですが、一話としては物足りないですかね。

そこらへんは、更新頻度と話数でなんとかします。

ではまた、お疲れさまです。

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