―暖かい決意―
どうも、祈りです。
お手にとっていただき感謝です。
時間があるときに更新は続けていきます。
では本編へどうぞ!(っ´ω`)っ
暖かさがなくなったのを感じた。
そして何か別の暖かさを感じて目を覚ます。
「...」
真っ白な天井がある。私はフリュウさんと寝ていたはずなのに。
視線を感じて周りを見回す。
「目が覚めましたか」
「...!?」
濁った目をした男性が私を眺めている。
突然体を大きく震わせた私を見てその男性は困った顔をして私に近づいてくる。
「やめっ...こないで...」
「えー...」
「フリュウ...さんは?」
恐る恐る聞いてみる、この怖い人に。
「フリュウさんなら二階にいますが...」
安心してはいけない、こういう怖い大人はアメとムチの使い方が天才的に上手いんだから。
守ってもらわなければ。
「フリューさーん」
私は必死に走り出した、その時は私の足の傷が完全に癒えてることに気づかなかった。
「...えー」
奴隷だった少女を拾ってきたと言っていた、人間不信になっているのも仕方がない。
どちらかというと大人不信になっているのだろう。
やっぱり怖いかなぁ。この白く濁った眼球、異様な雰囲気を放ってしまうのは仕方がない。
必死に逃げていく少女の後ろ姿を見ているだけだった。
二階、というよりこの家はそれほど広くない、すぐに二人の部屋の前についた。
「起きてるだろ、入るぞ」
コンコンとノックして音がなることを確認する、遮音フィールドを張っていることはないようだ。
すぐにドタドタと部屋で何かをする音が聞こえる。生まれてから9割以上の年月を共に過ごしているとはいえ異性だ、男性に部屋を見られるなら綺麗なほうがいいのは当然か。
「フリュウさんお帰りなさい」
にっこりとした笑顔で出迎えてくれるミコト。
「フリュウくん、夜に女性の部屋を訪ねるのは...」
くん付けで呼ぶレイティア。
ミコトは白い巫女装束に黒い長髪をひとつに束ねた、一応龍玉神、威厳も何もないが。
金髪ロングに古代ローマで着られてそうな衣装のレイティア、創世神なのだが、こちらも威厳も何もない。
「いや...そんなつもりじゃなくてだな、知ってるだろ」
「もちろん、フリュウくんは草食ですし」
ニヤニヤして顔で言い寄ってくるレイティア、ちょっと黙れ。
「フリュウさん、私でも」
顔を赤らめて上目遣いでいってくるミコトは可愛い、可愛いけど、俺はそういう感情がほぼないのだ、げんなりする。
「はぁ...嫌味は終わりだぞ」
突然二人がニコニコして顔をまっすぐ見てくる、こいつら、俺で遊んでるだろ。
「ちょっとした訳ありで、この家に一人増えるから...」
その時、階段がドタドタと鳴り響く。
「フリューさーん」
まだ聞きなれていない幼い声、マティルダだ。
マティルダが汚れた赤い髪を揺らして、泣きそうな顔で走ってくる。
「あの子ですか?」
「フリュウさん、そういう趣味が...」
「ムラマサにも言われたよ」
俺にそういう欲望がほとんど無いことは知っているだろう、ため息は尽きない。
ため息をついたら幸せが逃げるというが、ため息をつくことでストレスを発散させる、俺は後者の意見だ。
「フリューさーん」
階段を登りきったマティルダが俺の一歩手前で踏み込んで俺に向かって飛んでくる。
「あら」
「あー」
「...」
ミコトとレイティアはニヤニヤしているが、呪いを持っている張本人たる俺は心苦しい。
ピキピキと音をたてて虚無から拒絶の氷が作り上げられる。
拒絶の氷は衝撃すら受け付けない。
マティルダは氷に頭から突っ込んでいったが、衝撃は彼女に返ることはない。
ズルズルと氷を伝って床に落ちていくマティルダ。
助けようにも俺は触れないのだ。
右手を頭に当てて困ってるポーズをするしたなかった。
「まったく、男はほんと気持ちが分かってないんだから」
そういってレイティアさんは私の髪を洗ってくれてます。
久しぶりに触れられた人の暖かさ、いいです。
ムラマサさんは少し怖いけど、悪い人じゃないです。フリュウさんとミコトさんは優しい人だし、ここは天国です。
「こんなに髪が汚れてるのにほかっておくなんて信じれないよねぇ」
「ほんとそうです」
ボサボサとした感触だった私の自慢の赤髪が久しぶりにサラサラに戻っていく、この感触のためならもう一度汚してもいいくらいです。
「フリュウさんはなんで触ってくれないの?」
これは私最大の疑問です。
数日だけどずっと一緒にいてくれた私の救世主、私は一度も彼に触れたことがない。
「...ほら、触ったら氷付けになっちゃうから」
レイティアさんの顔には大きく嘘だと書かれてます、フリュウさんと違ってすぐ顔にでるタイプの人です。
けどフリュウさんは一度もこの暖かさを経験していないのでしょうか、数日でもこんなに苦しいのに。
「もう一人で洗えますから」
「そう、ちょっと待っててね、急いで服を用意するから、あのボロ布は嫌でしょ?」
この人たちは本気で私を家族にするそうです。
「ありがとうございます」
レイティアさんが風呂場から出ていきます、私は長寿族、見た目の通りの年齢ではないのだから、その柔らかい感触をあまり想像させないで欲しいです。
可能なら、フリュウさんを閉じ込めるあの氷、私が溶かしてあげたい。
暖かさを感じて、その暖かさを他人にも分けてあげたい。
今度は私が、フリュウさんを助ける番です。
読んでいただき感謝です。
やはりほのぼの感がでないです。
では、また時間があるときに。
お疲れさまです。