―温かい仲間―
どうも、祈りです。
お手にとっていただき感謝です。
毎日更新できればいいですね、このペースで頑張ります。
では本編へどうぞ。
歩いて月単位でかかる距離だった。
巨大な壁の中の町アスト王国、その門番、入国審査のようなものを壁を飛び越えてスルーしていく。
あまり今の状況を他人に見られたくない。
腕の中では何も知らない赤髪の少女は寝息をたてている。
「...はぁ」
またため息をついてしまった。少女と出会ってからまだ1日しかたってないが、自分の呪いを実感する回数が増えたのが原因だろう、しかし世界のことをほとんど知らない少女のちょっとした行動によって俺の微笑みが同時に増えているのも実感する。
まだ日は出ていない、もし日が出ていたら上半身裸の少年が幼女を連れているという何とも不快な光景を町の人に見られるところだった。
さらに門番をしているアスト王国守護兵団、フリュウはその守護兵団の目付役なのだ、この状況を部下に見られるのは非常にまずい。
「あいつらのことだし、どうせ起きてるだろ」
翼を消滅させて町の舗装された通路に着地する。
通路は馬車も通るためかなり道幅が広いが、商人達が活動始めるさらに前の時間帯だ。なんとなく誰もいない通路のど真ん中を歩いていく。
寒いという概念を破壊した今、甚平を着ていなくても寒くはない、だが今マティルダが目を覚ましたら何と言えばいいのか。
そんなことを考えながら真っ暗な町の中、当然のように輝いている我が家へ歩を進める。
何ヵ月か町を留守にしていたが、町には何も変化はないようだ。それを確認して安心する。
フリュウはこの町の守護神として1200年前からここに住んでいる、場所はアスト王国入り口から国王の城の門へと続くこの町のもっとも地価の高いライトアヴェニューと呼ばれる通路、さらにライトアヴェニューで1番城に近い土地に建てられたレンガの家だ。
反対は守護兵団本部である。
コンコン...。
左手で必死に木製のドアを叩く。
マティルダをお姫様抱っこしているため力が入りにくい。もし2階にいたら聞こえないだろう。
そんな危惧したことにはならず、すぐに足音が聞こえてきた。
「やっと帰りましたかフリュ...」
俺の気配を感じたのだろうか、姿が見える前から聞こえてきた聞き慣れたら声は、俺の姿を確認してとまった。
「ただいまムラマサ」
そう言ったが、ムラマサは反応がない。ただ半裸の俺と俺に抱かれた少女を交互に眺めている。
少しして、銀髪で俺より少し年を取った容姿をもつ男性は口を開いた。
「やっと性欲が戻りましたか」
「いや、まったく」
お前は久しぶりに帰った友人に初めて言う言葉がそれなのか、原因は俺にあるのだろうが、呆れる。
「幼女趣味があると知ったらあの二人が悲しみますよ」
「本気で言ってるのか?」
「いいえ」
そんなやり取りを玄関先でしているのだが、俺の腕の中でマティルダは幸せそうに寝ていて、悪くないなと思ってしまう。
「...それでその少女はどうしたんですか」
リビングに入ってムラマサが聞いてくる。
ムラマサは幻翼神、人間と契約したわけでもなく、本人だ。フリュウより少し大人びた容姿で銀髪で灰色の目をしている、薄い紫色に雲が描かれた羽織を愛着している。
「まさかフリュウさんが金を払って買ったわけではないでしょうし」
「道で拾ったんだよ」
「それでここで育てようと?」
「そうだな」
そのまま素通りしていればマティルダは確実に死んでいただろう、普段の俺ならそうしたはずだが、マティルダの真っ直ぐな目にやられてしまった。
「俺は反対はしませんよ、二人もフリュウさんが判断したとなれば反対しないでしょう」
ちなみにムラマサは俺の部下にあたる。正確には破壊神の部下だが。
「フリュウさん、なかなか可愛い子連れてくるじゃないですか」
ムラマサは俺より人間性を持っている、ムラマサがそういうならマティルダは可愛いのだろうな、さすが俺だ、見る目がある。うん。
「それじゃちょっと呼んでくる」
少し楽しみになってきた、これが親心なのかは分からないが、マティルダの成長を近くで見たくなった。
フリュウはマティルダに被せた甚平を着なおして2階に向かった。
読んでいただき感謝です。
まだほのぼの感が出てません、難しいです。
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