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温かい心を拾いました。  作者: いのりさん
11/11

―冷たい嫉妬心―

どうも、祈りです。

今日は完全にフリーなので更新できます!

暇潰しにもってこいですね。

では本編へどうぞ!(っ´ω`)っ

 実技の時間はほぼ自由のようなものだった。

 上級生と合同でやるためか、場の空気が緩い。

 対人戦闘をただこなすだけ、といった感じだ。真剣勝負を繰り返して上を目指す、実に利にかなってる。文章を読んでるだけで強くなるはずないのだから。


「なんか思ってたのと違うが」

「ほんとだよな...」


 マティルダ達女性陣は三人で固まっている、へイランから基礎的な魔術を習うらしい。


「フリュウ、俺とやってくれよ」


 ヒュースが人差し指をフリュウにつきだした。

 ヒュースの不敵な笑み、フリュウの闘争本能を掻き立てる。


「オッケ...、ヒュース」


 フリュウはヒュースから距離をとってから振り向いた。


「手加減はしないぞ」


 フリュウの言葉には「殺さない程度の力の中で」という隠れたフレーズがあるのだが、ヒュースは気づくはずがない。


「もちろん、俺は武装系魔術は...自信があるんでな!」


 ブワァンと青い光が足から輝いた。


 《自己加速》か...。

 ヒュースが強く踏み込んでフリュウ目掛けてとんでくる。


「フリュウさん!」


 いつの間にか女性陣もこちらを見ていた。


 《拒絶》。


 フリュウは意識的に氷を展開した。薄い氷の壁だが、それには―。

 マイク副会長の全力の蹴りではびくともしない、まともに当たっても勝てないことくらい知ってるんだよ!


 突如、フリュウの氷が揺らいだ。


「なに!?」

「うっし!」

「ああぁ!」


 ヒュースのドヤ顔と共にマティルダの悲鳴が聞こえた。

 ヒュースが発動したのは《魔乱》―マジックパニック―と呼ばれる武装系魔術。

 名前の通り魔術を乱すもので、これに触れた魔術は術式が乱されて崩壊する。

 これはフリュウの呪いにも通用した、フリュウの拒絶の呪いは自動的に発動するようにプログラムされた魔術であり、当然対象になった。

 《魔乱》は武装しないと安定しない、近距離のみで使える魔術であり、実用性は乏しいため使用者は少ない、それゆえに奇襲しやすい。


 それ...、痛いだけだから嫌なんだけど...。

 フリュウの氷をすり抜けて攻撃できる、しかし彼は触れられそうになると《拒絶》だけじゃなく《破壊》の氷が作られて彼を守る。

 《破壊》によって術式は破壊され、彼に絶対に届かない。

 ただ、彼の心を締め付けるだけ。


 《風の精》―ウィンドウスピリット―!

 突如巻き起こった突風にヒュースは吹き飛ばされた。


「まじかっ!」


 《魔乱》は付与してるところにしか効果がない。ヒュースの体全体を吹き飛ばす行為にはなんの抵抗も出来ない。





「ヒュースくんもなかなかやるねぇ」

「フリュウさん...、大丈夫かな...」


 マティルダの目にはフリュウが苦戦してるように見える。

 表情で相手の心意を正確に分かるようになるのは、それなりの人生経験が必要なのだから。

 フリュウがケガさせないように、自身の呪いに気づかせないように、気をつけながら選択肢を選んでることに気づいていない。


「大丈夫でしょ、ヒュースくんが副会長より強いなんてことは...、さすがにねぇ」

「そうだよ、マティルダちゃんのお兄さんだよ?」


 なんの根拠もない想像だけの会話だが、マティルダはすぐに自信がついた。


「うん!頑張ってー!」




「さすがフリュウさんです!」


 下校中マティルダが俺を見上げて満面の笑みを浮かべている。


「なんか...、この程度かって思ったが...」


 フリュウがヒュースを下してから、上級生に勝負を挑まれ続けた。上級生なので手加減はしなかった。近距離は《拒絶》、遠距離は氷で貫いた。フリュウのレベルと違いすぎた。


「そうだフリュウさん!」

「どうした?」


 マティルダが左手を開いて前に出した。


「やぁっ」


 ボッとキリのいい音がして赤井炎が手に広がる。


「おっ」

「えへへー、すごいでしょ」


 不意にマティルダは頭をフリュウむけてつきだして。


「ん?どうした?」

「ほめていいんだよ?」

「えー...」


 さすがに学校の帰り道、しかもまだ学校の敷地内だ、こんなやり取りを見られるのは恥ずかしい。

 フリュウは逃げるように早足になる。


「おい」

「あ?」


 悪意のある声にフリュウも喧嘩腰だ。


「ちょっと待てよ」


 校門の前に男子生徒が5人から声をかけられる。


「待たないよ、いこうかマティルダ」

「うん、誰あれ?」

「嫉妬してる貴族の坊っちゃんだ、プライド傷つけられて怒ってるんだよ」

「かわいそうに...」

「お前なぁ!」


 さすがにフリュウの嫌味MAXの発言は無視できなかったようだ。正確に言い当てられて五人のリーダー格の生徒がフリュウに向かってどなる。


「僕はアルベルド・テラー!」


 アルベルドは激昂した状態で名乗る。


「名無しの分際で!調子にのるなよ!」


 アルベルドは目を血走らせて威圧する。


「そりゃお前に実力が足りないだけだ」

「なんだとっ!」


 睨みあう両者はアルベルドの発言で終わった。


「テラー家の者として!お前に身分の違いを教えてやらないといけないな!」


 最初からこれが目的だったのだろう。


「はぁ、マティルダ...先に帰ってな」

「いえ、私はフリュウといっしょです!」


 そんな会話をしてる間にアルベルドの魔術が完成した、無数の火炎弾がフリュウに降り注ぐ。

 《拒絶》しろ。

 フリュウが命じただけで、この世界のものの大半は活動を停止する。


「なんだと!?」


 自分の得意魔術が無効にされたショックで大きく驚くアルベルド。


「てめえ!」


 完全に冷静さを失った。彼は遠距離がダメなら近距離だ!といった思考で《自己加速》を使用して殴りかかる。


「俺も君が気にくわないんだ」


 アルベルドの目が大きく見開かれた。


「なら俺が同じことしても文句はないよな」


 飛びかかってくるアルベルドの顔面にフリュウの左手肘が入った。

 自身の加速と合間って、接触から1分前後でアルベルドは敗れた。


「マティルダ、明日呼び出されるかもしれないけど、いいかい?」

「フリュウさんは悪くないからね、気を落とさないでね?」

「分かってるよ」


 今日は何人下したのか、何人のプライドと自尊心をへし折ったのか、フリュウは人の悪い笑みを浮かべて帰路についた。

ほのぼの感がまったくなくなった気がします。

これからです。

ほのぼの、シリアス、主人公最強、人生ドラマを目指します。

ではまた、お疲れさまです。

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