手紙の意味
「あ、、、。」
「どうしたの?」
新居に引っ越すことになった、俺は、嫁と一緒に
引っ越しの準備をしていた。
荷物を整理していると、昔の恋人からもらった手紙を見つけた。
「いや、この手紙さ、なんか捨てられないんだ。」
「誰からもらったの?」
もう、色が薄れてしまった、手紙を見ながら思い出す。
「部活の先輩だよ。この手紙を渡した、三週間後にはがんで死んでしまったけど。」
「好きだったの?」
「ああ、そうかもしれない」
ゆっくりと手紙を開ける。
嫁も気になったのか、覗き込んできた。
「この手紙をもらったときは悲しかったなぁ。」
「なんで?こんなに素敵な手紙なのに?」
「そうか?この手紙を見てから、めげずに先輩のところ行ったけど
追い返されてしまったからなぁ。」
俺は手紙をもう一度読み返してみた。
浮かれてていつも、楽しそうなあなたいて、
そんなときに言える訳がなかったので手紙に書きました。
できるなら私に関わらないでください。
好きでもない人に付きまとわれる私の気持ちが
あなたにわかりますか?
いいや、わからなくてもいいですが、
しばしの間、考えてください。そして、
適当にいい相手でも見つけて、結婚してください。
まぁ、あなたはあなたの幸せを見つけてください。
好きじゃなかったけど、お幸せに。
「この内容の何が素敵なんだ?」
「え、あなた気づいてないの?」
手紙にもう一度視線を合わせたが、わからない。
「なにがだ?」
「だって、ほら、、、。」
手紙の本当の意味に気づいたとき、
俺の目から少し涙が流れた。
「この手紙はもしかしたら、本当の意味を理解してもらうために残ってたのかもね」
そうやって、笑う嫁をみて俺はこれでよかったんだ。と一人心の中で考えていた。
縦に読んでください。