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短編小説・妄想幽霊

作者: 日徒
掲載日:2015/11/01

不思議な短編小説です!


さっと読めるショートショート


お時間のある時に読んで頂けたら嬉しいです♪


宜しくお願いします!

私の部屋にはパソコンと本棚しかない。


むしろ、それ以外に置くスペースがないとも言える。


大小合わせて11もの本棚がところ狭しと置かれている。


小さめの黒い本棚の隣、部屋のすみ。


私はたまにそこを眺めている。


小さめの本棚が1つ置けるであろうスペース。


でも私には置けない理由があった。


まだ誰にも話した事のない話である。


私が今の家に引っ越してきたのは高校生の時だった。


購入した時には、まだ未完成で建てている最中の物件。


何かフィーリングでもあったのかも知れない。


母はまだ建て終わっていない家の購入を決めた。


無事に建て終わり入居日。


ピカピカの新築に家族みんなテンションが上がった。


一階のリビングはご飯を食べたりテレビを見るところ。


隣の和室は両親の寝床。


二階に上がってすぐの真ん中の部屋が私の部屋で左の部屋が兄、右の部屋が姉となった。


二番目の姉は結婚していて実家をすでに出ていたが家が割と近いのでよく遊びに来る。


最初の頃は荷物の整理などでバタバタしていた為、自分の部屋でゆっくり過ごす事は少なく気が付かなかった。


家具や家電、それぞれの荷物整理も終わり新居に慣れはじめた頃である。


自分の部屋でゆっくり本を読んでいた。


サササッ


何かが通ったような風が当たる。


もちろん窓は開けていないし、本の日焼けが嫌な私はカーテンも閉めている。


部屋の中で風が起きる理由が思い当たらなかった。


正直言えば私は幽霊など視えない。


それでも感じる程の威圧感。


小さめの黒い本棚の隣、部屋のすみ。


そこから何かを感じた。


普段、幽霊が視えない人でも感じるのだから、かなりヤバい類いのものなのだろう。


どれ程の強い念を抱えているのか、それを思うと頭が痛くなる。


ただ、この幽霊は私に憑いている訳ではなさそうだった。


その場所、つまりは自縛霊という種類に分類されるのではないだろうか。


そう結論付けた時、最初から、この場所にいたのであれば悪さをする霊ではない、悪霊ではない。


そう思った。


しかし威圧感が半端ではなく、気を紛らわせる為に私は別の本を本棚から取った。


『萌えで学ぶ!戦国武将』


たまたま手に取った本だった。


そこで私は閃いたのである。


名前は隅っこにいるから『すみちゃん』


横を通った時の風の感覚からして身長は『100cmを越えているくらい』


身長から年齢は『5〜6歳くらい』


何となく『女の子』


容姿は『黒髪の短めで前髪はぱっつん』


服は『着物』


と視えない事をいい事に勝手なイメージを付けた。


妄想である。


いや萌想と言った方がいいかもしれない。


イメージとは大事なものである。


可愛らしい幼女だと思うようにしてからというもの怖さや威圧感が柔らいだ気がした。


ガチャ!


「すみちゃん!たっだいまぁああ!」


抱き付こうとするものの触れられるはずもない。


すみちゃんが何故そこにいるのか、何故幽霊になったのか、私には分からないし知る術も調べる術もない。


もちろん私に除霊など出来るはずもないが、このままではいけない気がした。


「私には霊感がないから、すみちゃんが視えない!声も聴こえないし触れる事も出来ない…って事は助ける事はおろか邪魔する事さえ出来やしない」


自分でも何が言いたかったのか、何がしたかったのか分からなかった。


「世の中、間違いだらけだし政治も腐ってる。正しく生きるのが大変な世界だ…きっと…今後も大きく変わる事なく世界は廻り続ける」


私は叫ぶように言った。


「それでも…出逢えるはずのなかった私たちが…こうして…出逢えた!……そんな世界も…悪くはない」


涙が溢れた。


「私はここで待ってるから」


サササッ


温かい風に頭を撫でられた気がした。


その日から、すみちゃんの気配を感じる事は無くなってしまった。


もしかしたら煩いし、ウザい私が嫌で出て行っただけかもしれない。


私には霊感がないので分からない。


自分がした事は正しかったのか間違っていたのか、それさえ分からない。


一ヶ月後


サーサー


部屋の窓を開けると心地好い風が中に入る。


「んー本棚買わんと本が入らん!」


大きな声で独り言である。


部屋には大小合わせて11もの本棚がところ狭しと置かれている、そんな私の趣味は読書だ。


小中高と卒業までに図書室の本を端から端まで読む事を生き甲斐に学校に休まず通った、幽霊も視えない、霊感もない善良な一般市民である。


付け加えれば何の個性も特徴もない平々凡々な棒人間、それが私である。


ピンポーーン


ガチャ


「お邪魔しまー」


声からすると二番目の姉が遊びに来たようだった。


「いらっしゃい、どうしたん?」


母と姉が話している。


私はゆっくりと階段を降りリビングに向かった。


サササッ


温かい風が家を包み込んだ気がした。


「うん…三人目が出来たんよ…こっちで安くて評判いい産婦人科あるから産もうと思って…」


二番目の姉がそう言った。



読んで頂きありがとうございました!


ご意見ご感想など頂けたら幸いです。


忙しい為、返信は出来ませんが読ませて頂いています!

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