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闇属性の方向性  作者: 稲垣コウ
パーティ結成!
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67.お宅の息子さんは想像以上に能天気なので安心してくださいって言ってあげたい

「まあ傍から見ればそうともとれるか……当の息子は、フッ、案外、満更でもなかったのに、フフフ」


「笑うなよ?! そうだよ、ちやほやされて調子乗ってたから、家族に憐れまれるのすごい申し訳ないんだよ」


 ネニトスはとうとうシリアスな雰囲気を投げ捨てた。元より、この話しをシリアスな過去として語るのは無理がある。


 僕は最初からなんとなくわかってた。

 ネニトスには元より、苦労した過去を背負っている感が無いのだ。


 家のために嫌々男どもに媚を売っていたなんて経験をしていれば、もう少し荒んだ雰囲気があってもいいと思うんだ。

 それがぜんぜんなく、あっけらかんとしている。


 町娘コンテストには嫌な顔をしていたけど、今ならばわかる。あれは嫌悪とか、出場者への憐みというより、己の黒歴史を思い出してむずむずしているような、見ていたら羞恥心で悶絶しそうな顔だった。

 闇属性の方向性に、前世の記憶を刺激され、むずむずしてしまう僕にはわかるのだ。


「家族には素直な気持ちを伝えてみれば?」

「実はちやほやされるのが楽しくて、歌も踊りも超得意気にやってて、割と本気で自分は世界一の美少女だと思ってましたって?」

「うわ……」

「ほらぁー!! そういう目で見られるから言えないんだよ!?」

「夜中に騒ぐんじゃねえ!!」

「「ごめんなさーい」」


 ドアの向こうからダーロンさんに怒鳴られて、僕らは揃って声を潜めた。

 家族仲はすごく良いから、ネニトスのこの本性に気付かないのは不思議だが、ネニトスへの負い目が先に立ってしまっているのかもしれない。


 それだと、こんな阿呆の次男にいつまでも悩んでいるご家族の方が憐れに思えてくる。お宅の息子さんは想像以上に能天気なので安心してくださいって言ってあげたい。


 しかし、ネニトスの家族のことは家族の中で解決するべきだろう。少なくとも今はまだ、僕は口を挟める立場ではない。

 残る問題は、シレーネだ。


「シレーネの恨み買うような覚えは?」

「ぜんぜんない、人生めちゃくちゃにしたって、どういう意味だと思う?」

「わからん」


 困惑するネニトスに、僕も似たり寄ったりで頭を捻る。

 シレーネはナナトちゃんに何故か恨みがあり、探し出そうとしているらしい。

 だから、ネニトスもこの話しを僕にしたのだろう。二人揃って謎の因縁をかけられている。


「でも、ネニトスがナナトちゃんだなんて気付いてなかったし、今後もバレないと思うよ」

 本人から聞いた僕ですら未だに信じられない気持ちなのだ。


 今日対面で食事をしても、シレーネはネニトスの正体、いやナナトちゃんの正体? に気付いた様子は欠片もなかった。それどころか、ネニトスの外見に一切興味はなさそうで、酔うまでは僕のことを睨み続けていた。


「そうかなぁ……知らんとこで恨まれてるって怖くないか? 忘れた頃に闇討ちされそうじゃん」

「たぶん大丈夫だって、ほら、僕も初対面でぶっ殺すって言われたけど、生きてるしさ」


 僕についても、未だに何故あんなにブチギレられたのかわからないから、あんまり慰めになっていないけど、シレーネに関しても僕はあんまり心配していない。


 なんとなくだけど、居酒屋で酔いつぶれていた姿を見ると、彼女についても深刻になるべきではないと僕の勘が告げている。


「とにかく、今後も態度を変えずに、ナナトちゃんなんて知らないって方向で行こう」

「それで大丈夫かな~……」


 ネニトスはまだ不安そうだ。図体がデカいくせに結構小心者なのか。いいや、ネニトスの場合は、女性問題に巻き込まれることが多くて、相手が女性というだけでビビッてしまうのかもしれない。シレーネについては、女性というよりは酒好きのオッサンと認識しておけばいいと思う。


「さあ、もう寝よう、そう言えばシレーネが歌ってたのってネニトスが考えた歌?」

「……そうだよ」

 ネニトスはギクッとしてから、渋々答える。簡単な歌詞だったから一度聞いただけで覚えられる。キャッチーさが重要なCMソングとしては良い歌詞だと思う。


「自分で考えた歌に自分の名前入れるって……もしかして小さい頃の一人称ナナトちゃんだった?」

「言うなよ!!」

「マジか、大声出すなよ、また怒られるぞ」


 言い返すと、ネニトスはブスッとしたまま布団に入った。

 灯りを消すと一気に眠気が襲ってくる。今日は色々あったし酒も飲んだから、他所んちだけど泥のように眠れそうだ。


「なあ……本当にパーティ組んでいいのか?」

「は?」


 眠りの淵でゆらゆらする意識の中、ネニトスの小さい声が聞こえて来た。こいつ、本当に図体の割に小心だ。


「俺こんなだけど」

「あー……」


 確かに、ネニトスには女性問題の他に、男の娘アイドルとして一世を風靡したというとんでもない過去が出てきて、未だにファンクラブが暗躍しているかもしれないという。


 それで、僕がパーティ解散を言い出すと心配しているのか。


 パーティ結成した直後なのに何を言ってるんだ。


 それを言ったら、僕なんて変な神様に選ばれて転生した一般人という、墓まで持っていく特大の秘密がある。話したら確実に頭おかしい人だと思われる自信がある。


「僕ら、厄ネタは、元からじゃん……」

「……なら、いっか」


 ぜんぜんよくはないんだけどね。黒歴史の一つや二つあるくらいどうってことない。そう思えるくらいには、僕の精神力がアップしたのかもしれない。

LGBT的な人たちの扱いは国や街によってバラバラです。ルビウスでは別に禁止はしてないけど良くは思われていないくらいです。ナナトちゃんの正体が世間にバレたらどう思われるかは……わかりません。


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