61.改めて考えると、闇属性魔法はドン引きされるレベルの魔法だ
友達の家に泊まるというのは、ちょっと憧れだった。
前世でならば何度も経験はあったけど、今世は地元が小さな村だったから、どの家からでも自宅は目と鼻の先だった。
だから、知らない家の簡素なベッドにだって浮足立って、普通の家族の普通の団欒だって新鮮な気持ちになって、少し緊張しながらもワクワクする気持ちは抑えられなかった。
でも、ネニトスの思いつめたような表情を、いつまでも無視してはいられない。
「で、話したいことがあるんじゃないのか?」
僕はこの夜、仲間の封印した過去を知ることになった。
* * * * *
モノセロスはネニトスの魔法バッグにも入らなかったから、帰還の輪で地上に戻って、台車を借りて運んだ。
「へ~、これは大物ですね」
「いや~ははは」
低ランク冒険者二人で狩ったにしては大物だ。ギルド職員に感心されると、僕とネニトスは照れ臭くも鼻高々だ。
「それにしても、この断面は……何で切ったんですか?」
「いや~ははは」
モノセロスの無くなった頭の部分を凝視しながら聞かれると、さっきと違う意味で僕は笑って濁した。
確かに、この中型モンスターの首をバッサリ切るなんて、ギロチンでもなければ無理だろう。しかも断面は綺麗にスッパリではなく、抉り取ったように無くなっている。
更には、強度が鉄以上と言われているモノセロスの角まで、半分くらいザックリなくなっている。これは上級魔法を込めた魔剣でもなければ無理だ。
前世でなら、チェーンソーなどで切ったら、こんな感じの断面になるかもしれないけど、この世界ではそんなものはない。
魔法ならば、大型モンスターを一撃で倒すような攻撃魔法もある。だが、間違いなく上級魔法だ。初級魔法でこれだけの威力は相当ヤバいのではないか。
もう既に冒険者ギルドにはバレているから今更かもしれないけど、改めて考えると、闇属性魔法はドン引きされるレベルの魔法だ。気安く人に話すのは止めといた方がいいかもしれない。
僕が言葉を濁したから、ネニトスも何も言わないでくれたようだ。深く考えている様子はないから、本人が言わないならとりあえず黙っとこくらいの顔をしている。
ギルド職員も、問題さえ起こさなければ冒険者の手の内を探るようなことはしない。ヘラヘラ笑っていれば、それ以上追及されることはなかった。
今日の収穫を全て精算してもらって、その場で売り上げを山分けにする。
二人だから、パーティとしての貯蓄はまだ考えなくてもいいだろうが、今後はただ待ち合わせして、その場のノリで潜るのじゃ駄目だ。
「次いつにする? 俺は鎧メンテナンス出したいんだけど」
「あと荷物の整理な」
「はいはい」
ネニトスは投げ遣りな返事をする。こいつ絶対に部屋も汚いだろうな。
でも、今後一緒に行動するなら、いざという時に某ネコ型ロボットみたいにあれでもないこれでもないとなられては困る。ましてや、ダンジョン潜るのに武器を忘れてくるのは論外だ。
「僕も予備の武器買いたいから、一緒に買い出し行く? 連携考えるなら装備も相談した方がいいと思う」
連携を考えるほどの経験値もないけど、お互いにどんな道具を持っているかは最低限知っておくべきだ。
「そうだな、じゃあ明日買い出しに行くとして、今日は飯食いに行こうぜ、パーティ結成祝い」
ネニトスがすごい笑顔で言う。無駄にイケメンだから、近くで女性の黄色い声が聞こえるのが、なんかイラっとする。
この状況からわかる通り、異性にモテるせいで同性の友達がいなかったんだろうな。リア充みたいなのは顔だけで、実際はただ友達と飯を食いに行くというだけで、こんなに嬉しそうな顔をする寂しいやつだ。
そう思いながら、かくいう僕も、友達と飯を食いに行くという経験は今世初めてです。ちょっとニヤケそう。別に僕は友達いなかったわけじゃないけど、故郷には飯屋の方がなかったから。
パーティ結成祝いは僕も賛成だ。
「あと反省会と今後の打ち合わせもしたい」
「はいはい」
ヨナハンは真面目だな~と言いたげな顔をするネニトスを見て、僕はなんとなく弟を見るような気持になる。ネニトスの方が年上なのだが、こいつ絶対「明日やる」と言ってギリギリまで何もしないタイプだ。
まあ、僕も人のこと言えるほど真面目じゃないから、仲間はマイペースなくらいが丁度良い。だが、だらしがないのは駄目だ。
「パーッと行こうぜ! と言いたいところだけど、明日の買い出しを考えるとな」
「うん、手頃な店で、酒もそこそこで」
お祝い事だろうと、僕らには羽目を外している余裕はない。
さてどこに食べに行こうか、と言っても僕は街中のことはぜんぜん詳しくないから、ここでもネニトスに付いて行くしかない。
腰を上げた時、バチッと知らない人と目が合った。
冒険者ギルド支部にいて、動きやすい格好で武器も持っている女性なのだから、相手も冒険者なのだろう。
知り合いではない。でも相手も僕を二度見して、凝視する。
確かに知らない人なのに、でも、これはデジャブだった。
「……あ、おまえこの前の!」
「げえっ」
思い出すと同時に唸っていた。
森で遭遇した酔っ払い女だ。
魔法の強さについての尺度は結構曖昧です。技力が高くて色んな魔法使える人もいれば、魔力が高くて初級魔法でも大型モンスター倒せちゃう人もいるので、はっきりと数値化するのが難しいためです。
でも、魔力も技力も大したことないのに中型モンスター撃破できる闇魔法が異常なのは確かです。
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