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闇属性の方向性  作者: 稲垣コウ
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56/61

56.だったらデザインももう少し頑張れよ

 黒革のベストが見た目以上にダサいことが判明したが、着やすさを考慮した結果だと良い方に考えることにした。


 これが死ぬほどダサく見えるのは、僕に前世の記憶があるせいだ。

 まあ、ベストのデザインはアレだという評価はこの世界の住人にも頂いているけど、マジックテープとかはオーパーツだし、このフワフワ側とトゲトゲ側を再現する素材が見つかれば、なかなかの大発明になるかもしれない。


 前世の記憶がなければ、僕だってここまで抵抗はなかっただろうに。


「いっそ前世の記憶を捨てたい……うわ、ぴったりだ」


 黒革のベストを着てみたが、僕のサイズを計ったかのようにピッタリだった。


 着たはいいけど、このベストに付与されている魔法は防御系ばかりだ。性能を試すにも、攻撃してくれる手頃なモンスターが都合よく現れてくれるわけがない。

 いきなりヒベアとかの攻撃を試しに受けてみるのは怖すぎる。モンスター探しをするよりも、自分で木に体当たりして検証するのがいいかもしれない。


 とりあえず、ベストを着てても魔法に影響がないかの検証をしてみることにした。

 木の影でシャドウウォークを発動してみる。問題なく発動したが、僕はちょっと首を傾げた。


 なんだか、非常に滑らかだ。


 別の木の影まで泳いで地上に出てみたが、やっぱり、いつもより影への出入りがスムーズな気がする。

 検証のため、黒革のベストを脱いでもう一度シャドウウォークを発動する。


 やっぱりだ。さっきよりも影に入るのが遅かったし、影の中での動作も遅い。

 影の中は水よりも抵抗がないと思っていたけど、ベストを着た時のスイスイ泳げる感覚を知ってしまうと、ベスト無しで影の中を泳ぐと身体が重くなったように感じる。


「技力の底上げにもなんのかよ……」


 僕は影から顔を出し、荷物のところに無造作に置いといた黒革のベストをジトッと睨んだ。

 こんな見た目ダサいのに、性能が良いとか、なんか、なんか悔しい。だったらデザインももう少し頑張れよ。いや、頑張んなくていいから、普通のにしてくれよ。


 しょうがないから、またベストを着て魔法の練習をしてみよう。そう思った時、丁度良い物が目に入った。


 ただの雑草に見えるけど、葉っぱには毒があり根っこは薬の材料になる草だ。

 葉っぱの毒は触るとちょっとかぶれるくらいだけど、すぐに肌が赤くなるから毒耐性の検証にはもってこいだ。


 一晩で勝手に治る程度だけど、かぶれてピリピリ痛いのは嫌だから、僕は念の為毒消しを用意してから葉っぱをむしってみた。


 指で触れる、まったく反応なし。足に擦りつけてみる、反応なし。顔に付けてみる、青臭いだけで反応なし。毒耐性も間違いないらしい。


 僕はまたベストを見下ろしジト目になった。


 そこへ更に丁度良い実験体がやって来た。

 フライングラビットがひらひら飛んでいる。あれなら攻撃を受けても致命傷にはならない。


 早速、空飛ぶウサギに石を投げてみる。フライングラビットもモンスターだから、攻撃を受けたと思えば殺る気満々で突進してくる。肉食じゃないくせに喧嘩っ早いやつだ。


 僕は両手を広げてフライングラビットの体当たりを受けて立った。顔面にウサギの跳び蹴りをくらい、無様に吹っ飛んで一回転する。空中にいてわからなかったけど、意外と大物だったようだ。


 だが、痛くない。蹴りをくらった顔面だけでなく、ノーガードで地面にぶつけたはずの尻も背中もいたくないし、たぶん無傷だ。


「性能良いなクソゥ!!」


 僕は八つ当たり気味にフライングラビットに剣を振り下ろした。今日は調整日とは言え、一日無収入は貧乏冒険者にはキツい。

 ウサギ一羽と毒実験した葉っぱの根っこも採集して、これで明日の軍資金に足りる。


 拾い物のアイテムの性能が良かったのは僥倖だけど、だからこそ見た目残念なのがなんか悔しい。もしかして、ダサいという縛りを設けることで、魔法効果の底上げがなされているのだろうか。


 そこで唐突に閃いた。というか、前々からできたらいいなと思っていたことを思い出した。


 性能だけは良いベストを見下ろして考える。

 これを着たら間違いなく技力がアップしている。


「じゃあ、あれもできるかも……?」


 早速、僕は練習してみようと左手を構えたけど、ふと、どこからか人の声が聞こえてきた。


 歌だ。近くはないからよく聞こえないけど、この地域でよく歌われる民謡とは違う。周囲を見回しても誰もいない。この近くには民家もない。


 人の声に聞こえるけど、人真似をして獲物をおびき寄せるモンスターというのはよくいる。

 歌で誘い出すモンスターと言えば人魚が有名だが、この付近に水場はない。


 じゃあ、ドライアドだろうか。この森にドライアドは生息していないはずだけど、もし外来種が繁殖していたら、冒険者ギルドへ即報告案件だ。


 恐いけど、モンスターの可能性があるなら、冒険者としては調査しないわけにいかない。フライングラビット売ったら森にいたことはバレるし、後からドライアドとか見つかったら、何で気付かなかったんだと言われかねない。

冒険者にはモンスター発見時の報告義務があります。

報告を怠るとすごく怒られます。時には免停になります。


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