表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇属性の方向性  作者: 稲垣コウ
アイテムゲット!
27/48

27.予想外に脳筋だったけどわかりやすくて良い

「それにしてもヨナハンくん、使えないことに気付くとは、ギルド内で魔法を試したんですね?」


「いえいえいえ、ハハハ、そんな、ハッハッハ」

 誤魔化せてないけど、不発だったんだから不問にしてくださいと笑って訴える。


「まあ、ギルドの建物には他にも耐魔法結界が施されてますから、万が一発動しても普通は大した被害にはなりませんが」


 耐魔法結界は魔法による影響を無力化する結界で、主に攻撃魔法を防ぐ魔法障壁だ。

 ただの魔法除けの結界は、転移魔法や透視魔法を防止するだけで、攻撃魔法から建物を護るような力はない。


 しかし、僕はその説明に首を傾げた。

「え? じゃあ、何でギルマスの部屋壊れたんですか?」


 僕の基礎魔法でギルマスの部屋は半壊したけど、まさか外からの魔法には対抗できないなんてわけもあるまい。

 屋内は反魔法結界があるんだから、耐魔法結界なんておよそ外部からの魔法による攻撃を想定しているはずだ。


「だから言っているんです、攻撃魔法に対する結界魔法というのは非常に緻密な術です、対抗する魔法に合わせて術を組まなければいけないので、基本的には火風水土の四属性の魔法にしか対応していません」


 耐魔法結界は対象を絞り込むことで強度を上げている。魔法除けの結界は、ふんわりと色んな魔法を防ぐようにできている代わりに、強度はほとんどないという。


「ああ、だから、僕の魔法は防げなかったんだ」

「そうです、それでも結界があったおかげであの程度の被害で済んだのでしょう、反魔法結界があるからと言っても、ヨナハンくんの魔法は無効化できるとは限りません」

「気を付けます」


 別に屋内でブラックホールをぶちかますほどの非常識じゃないけど、前科があるので僕は神妙な顔をしておいた。


 耐魔法結界でブラックホールは防げなかったけど、魔法除けの結界と反魔法結界ではシャドウウォークが防がれたのは何でだろう? と思ったけど、これを口にしたらアルバートさんの魔法研究に付き合わされそうだから黙っておいた。


 しかし、アルバートさんの解説は端的でわかりやすい。

 残念なオタクだから忘れていたけど、アルバートさんは優秀な魔法使いでもあった。モルモットを見るような目は恐いけれど、僕の大先輩であることは間違いない。


「魔法のレベルアップって、どうやればいいんですかね?」

 僕は今まで周りに魔法使いがいなかったからよく知らない。ファンタジーあるあるの魔法学校なんてものも、この世界では聞いたことがなかった。


「基本的に身体を鍛えるのと同じですよ、まずは魔法をたくさん使って慣れることと魔力を増やすこと、魔力が少ないと技力を鍛えることもできませんからね」


「なるほど」

 予想外に脳筋だったけどわかりやすくて良い。


 上級魔法使いだと、色んな魔導書を解析して魔法への理解を深めるという習練もあるが、初心者魔法使いが読める魔導書なんて大したことは書いていないから、初期のうちは座学はあまり意味がないそうだ。


「最初のうちは、魔力切れになるまで基礎魔法を繰り返し使うというのが一般的な練習法ですね、魔力切れになってからの方が魔力の回復量は大きくなりますから」

「魔力切れってそんな頻繁になって大丈夫なんですか?」


 前世のファンタジー作品では、魔法使いにとって魔力は生命力に直結してたりしたけど、この世界での魔力の位置づけがよくわからない。


「これも体力切れと同じです、しっかり食べてしっかり眠れば回復します、ただし動けなくなるほどの疲労は駄目ですよ、命に関わります」

「それはわかります」


 やっぱり、魔力を使い過ぎると動けなくなるということはあるのか。そこまで気合を入れて鍛える気はないけど、モンスターとの戦闘でそんな事態にならないことを祈ろう。


「では練習はどちらで? よければ場所を提供しましょうか? 記録を取って練習メニューを考えるのもよいかと」

「いいえ自分でやってみますアドバイスありがとうございました!」


 キラッキラの目で迫ってくるアルバートさんを、僕は早口でお断りして早足でその場を離れた。トレーナーを買って出ると見せかけて、明らかにレア属性の魔法の研究のために僕を使おうとしている。


 そう言えば、アルバートさんに説明してないだけじゃなく、人前で使った闇魔法は今のところブラックホールだけだ。


 確かに、人に見てもらって意見を貰うというのも必要かもしれない。

 でも、ダークネスは自分でもナニコレだし、シャドウウォークだって他人から見える魔法じゃないから、観測も計測も難しいんじゃないか。

 もし見えたとしても、地面の下を死に物狂いで泳いでる姿なんて見られたくない。


 別に魔法を極めたいわけでもない。とにかく今、冒険者として役に立つだけの魔法を身に付けられればいいんだ。どんな魔法を使えるかなんて人に教える必要もない。


「うん、やるか」


 始めるなら今日からだ。僕にのんびりしている暇はない。


 今日から、夜は魔力切れになるまでシャドウウォークの練習をしてから眠ろう。

 ダンジョン内で魔力切れになるのは恐いし、毎回ドボンッと落っこちるように影に沈むのは、タイムロスだと思ってたんだよな。

魔法に対する結界魔法を整理すると

魔法除けの結界:魔法の影響を無効化する結界、お札一枚で設置可能、全ての魔法に利くけど強度はないので上位魔法や攻撃魔法は防げない。

反魔法結界:結界内にいる人は魔法を使えなくなる結界、魔方陣の設置が必要、効果範囲に細かい条件付けが可能。

耐魔法結界:魔法の影響を無力化する結界、魔法の属性ごとに魔方陣を設置する必要がある、効果対象は限定的だが強度はある、主に攻撃魔法への備え。


少しでも面白いと思ったら是非ブックマークお願いします。

リアクションや★付けていただけると嬉しいです。

感想やレビューも待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ