第16話:怒りの炎と失われる力
覚醒したカイの炎は激しく燃え上がり、その力が広間全体を包み込む。アルカディスの放つ闇の波動を完全に押し返し、広間には一瞬の静寂が訪れる。
アルカディス(驚愕しながら):
「なんだ……こいつの力は!」
カイは拳を握りしめ、立ち上がる。
カイ(怒りを込めて):
「リナ、シン……お前らの想いを絶対に無駄にはしねえ!アルカディス、決着をつけるぞ!」
焔紋が紅蓮の輝きを放ち始め、周囲の空気が一瞬で熱を帯びる。
カイ(叫びながら):
「まだ終わっちゃいねえ!俺の炎は……こんなところで消えるはずがねえだろ!!」
焔紋の力が完全に解放され、カイの周囲に炎の竜の輪郭が浮かび上がる。
リナ(目を見開きながら):
「この力……焔紋が完全に覚醒したの?」
シン(静かだが力強く):
「……見せてやれ、カイ!」
炎がカイの体を包み、紋章がさらに輝きを増す。その力に応えるようにカイの両拳から炎が放たれ、それが二匹の竜となって形を成す。それぞれの竜は空中で螺旋を描きながら巨大化し、アルカディスに狙いを定める。
カイ(全身から炎を放ちながら):
「紅蓮の炎よ、全てを焼き尽くせ!《爆竜乱華:紅蓮双撃》ッ!!」
二匹の竜が猛スピードでアルカディスに突撃。片方の竜が左から牙を突き立て、もう一匹が右から爪を振り下ろす。アルカディスは両腕で防御を固めるが、その漆黒の闇の防壁が一瞬で崩壊する。
アルカディス(苛立ちながら):
「なぜだ!この私が炎ごときに押されるなど……!」
カイは炎の竜をアルカディスに向けて放つ。竜の咆哮が広間を震わせ、アルカディスの闇の盾を一瞬で砕く。
二匹の炎の竜は再び空中で交差し、さらに巨大な一匹の竜へと融合する。その竜は咆哮を上げながらアルカディスの頭上に突進し、紅蓮の光を放ちながら炸裂する。
カイ(渾身の叫び):
「燃え尽きろおおお!!!」
炎の爆発が広間全体を包み込み、華が咲くように輝く。爆風が漆黒の闇を浄化し、広間に光が差し込む。
アルカディス(苦痛に歪んだ表情で):
「……貴様、なぜここまでの力を……!」
しかし、アルカディスはすぐに冷酷な笑みを浮かべる。
アルカディス:
「だが、その程度の力では私を滅ぼすことはできん!」
アルカディスは闇の力を再び解放し、広間全体を漆黒に染める。
アルカディス:
「愚かな抵抗はもう終わりだ。お前の炎もこの闇の中では燃え尽きるだけだ!」
カイ(息を切らしながら):
「くそっ……力が……足りねえ……!」
カイの炎が弱まり始め、再びアルカディスの闇が広間を支配しようとする。
その時、倒れていたはずのエリスが立ち上がりゆっくりと前に歩み出る。彼女の紋章が静かに輝き始める。
エリスがカイに微笑みかける。
カイ(驚きながら):
「エリス、何をする気だ……!?」
エリス:
「……あなたたちに私の力をすべて託す。」
カイ:
「な……!?」
エリスは紋章を限界まで解放し、全ての力をリナとシンに注ぎ込む。紋章の光が二人を包み込み、徐々にその傷を癒していく。
リナが立ち上がり、静かにエリスを見つめる。
リナ(驚きながら):
「エリス……あなた、紋章の力を……!」
シンも立ち上がり、彼女に向けて短く言葉を放つ。
シン:
「……力を失うのか?」
エリスは弱々しく微笑みながら頷く。
エリス:
「ええ……でも、それでいいの。あなたたちがいれば、この闇に打ち勝てるから……それで十分よ。」
紋章の輝きが完全に消え、エリスは力を失う。
リナとシンは互いに頷き合い、カイの隣に立つ。
カイ:
「お前ら……!」
リナ(微笑みながら):
「ええ。ここからは三人で戦うわ。」
シン(短く、だが力強く):
「ああ……一気に終わらせるぞ!」
カイ:
「行こうぜ、リナ、シン!エリスの力、そして俺たちの力で……全部終わらせる!」
三人の紋章の力が共鳴し始める。
三人の力が融合し、新たなエネルギーが生まれる。その圧倒的な力がアルカディスの闇を押し返し始める。
アルカディス:
「……!」
次回、絆の力が完全に覚醒し、最終決戦へと突入する。