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スワンレイク荘殺人事件事件 第四話マサキの思い

登場人物

リク(28歳)人気男性ボーカルグループ「アサヒ」リーダー、ハイトーンヴォイス六オクターブの音域を持つ。高声部担当

トキヤ(27歳)中声部担当

ケイジ(30歳)グループ最年長、絶対音感の持ち主、中声部担当

マサキ(25歳)グループ内最年少だがしっかり者、低声部担当 何者かに殺害される?

サキ(40歳)マネージャー兼世話役係、母親的存在


あらすじ

マサキの死によってそれぞれの思いは「疑心暗鬼」

四人なんとか力を合わせマサキの亡骸を二階、自室のベッドに運んだのだが、サキの言葉に全員凍り付く。

「別荘の鍵が無い!」それはパントリーの鍵と兼用で…。

パントリー内には管理人のおばちゃんが非常用にと缶詰等食料品を用意していた

冷凍庫もパントリーに設置してある。

つまり、マサキ以外四人はここに来る前に買いだめしてきた一週間程の食料しかない。

しかも、外は猛吹雪。

四人の運命はいったいどうなるのか。


第四話 マサキの思い

サキはここスワンレイク荘に来ることを誰にも話していない。

その存在は数人に話していたが、場所等情報は言ってはいない。

その上、去年ここら一帯は吹雪と積雪で自衛隊が出動したが、二週間ほど孤立状態になったのだ。

別荘地で真冬には誰一人住民もいないそんな…。

スワンレイク荘の存在を知るのみで、誰が別荘として利用しているかなんて分かるものは居ない。

ただ、数キロ離れた小さな村に住むここの管理人のおばちゃんが使われているとだけ知っている。

管理人のおばちゃんとの連絡もサキが担当で携帯で繋がっているのみ。

お互い顔を合わせることも無い。

このスワンレイク荘は古くからのいわゆる財閥系が土地の所有者だが、間に入る組織もサキは良く知らない。

それが、この土地を買う暗黙の了解となっていた。

「アサヒ」の名が広く知れ渡る様になり、パパラッチ対策にと買ったようなものだったが…。

まさかメンバー脱退騒ぎで急きょ使用することになるとは、サキは思ってもみなかった。

そんな思いにサキが囚われていると、ふいにリクの声で「寝ようか、皆疲れただろ」

その言葉に全員がコクリとうなずく。

それぞれの部屋には簡易トイレとシャワーがついていて、自室を出なくても問題ない。

リクが最初に二階の自室に入っていったが「腹が減ると面倒だ」とだけ言い、キッチンから朝食用に買ったフランスパンをやわら千切り自分のワイングラスに残りのロゼをなみなみと注いで持った行った。

トキヤ、ケイジはリクの後を追うような形で二人共かなりうなだれた様子で二階に登って行った。

残ったサキはグラスや食器を食洗器に入れキッチンを軽く掃除し、もしかしたらパントリー開くかもとの願いを込めて力いっぱい鍵穴があるノブを押すもびくともせず、諦めて疲れた身体を引きずりながら自分用のベッドに「ドカン」っと座り込んだ。

サキは一人になると何故か頭が冴えてきたようで、マサキの思いを自分なりに考えた。

彼だけがメンバーともめずにいた唯一の人物。

リクとケイジは元々仲がよろしくなかった。

トキヤもどっちつかずの関係。

マサキを殺めてだれが得するっていうのか想像もつかない。

この事件?はもっと深いところに問題を抱えているのかも?

まさか、自殺。

だれがそんなこと思えるのか?

マサキだけが一番年下なのに常に冷静沈着。

怒る姿なんて想像だにできない。

頭がくらくらしてきた。

サキはバックから精神安定剤と眠剤一錠づつ取り出しベッド脇に備えてある小さな机の引き出しに入れ、着替えるとシャワー室へと向かった。


リクの部屋では一人飲み会が始まっていた。

時刻は12時を過ぎた頃だろうか。

シャワーで身体を温めた為か気分が少し落ち着いていた。

皆眠っているかな?

今日は疲れたもんな、しかし、なぜ、マサキがあんなことしなくちゃいけなかったんだ?

結局は人の気持ちなんてよくわからん?


ケイジは思った、「俺さえ我慢していればマサキがあんなことにならなかったんじゃないか!」

けど、アイツ、リクの態度は気に食わない。

だいたい、年下なのに年長者の俺を差し置いてリーダーって、誰が決めたんだっけ?

「もう、そんなことどうでもいい」 そんな歌詞あったような無いような?

確かに楽曲は歌詞が重要だが、メロディー含め編曲も俺が担当してんだぞ!

頭がくらくらしてくる。

このまま、寝よう。

ケイジはシャワーも浴びず、ベッドにへたり込んでしまった。


トキヤは思った。

「アサヒ」なんてそのうち人気が下火になり、忘れ去られるのも時間の問題。

ボーカルグループったって、わんさかいるし、まだ30代手前って事でなんとか持っているんじゃない?

確かにリクのハイトーンヴォイスは天下一品だと思うけど、アイツには表現力ってもんが足りん

ケイジさんの作るメロディーライン素晴らしいちゃ素晴らしが…。

なんかいまいちなんだよな。

できたらもっと若い10代の子達と組んで新しい音楽作りたいな。

まさかトキヤがそんな思い出いでいた事に誰も気付いてはいないだろう。

それぞれが思いを抱き眠りに付いた翌朝に事件がまた起こったのだ。

サキの叫び声が階下に響く。

驚いたリク、トキヤ、ケイジが寝床から飛び起きる。

三人がそれぞれ階下に向かうと大広間にあったサイドボードから昨日トキヤが床に転がっていたマサキのチノパンから顔を出していたおそらく青酸カリが仕込まれていたであろう白いカプセルを重ねたティシュに包み、買ってきたゴミ袋に入れ厳重に保管していたにもかかわらず。

それがない?

四隅に張ってあったガムテープが剥がされ引き出しが荒らされている。

「きっと、誰かが昨日の夜やったに違いないわ。」

サキは言ったが、はたして本人は無実なのだろうか?

事実は本人マサキしか分からないのかも?


つづく

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