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虚空の精霊術士  作者: ふらる
第1章
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第1話:目覚め

 俺は今もの凄い急いでいる。

 何故かと言うと今日は友達の誕生日だ。名前は白刃という。白刃の為にプレゼントを買っていたらもう集合時間まであと十分である。

 少しでも早く行こうと人気の無い様な細い路地裏を走り抜けて行く。


 その時急に後ろから鎖の様なもので体を縛り付けられ壁に激突した。一瞬の出来事に理解が追いつかなかったが、状況は明白だ。


 そう、俺は今もの凄い危機的状況にあるという事だ。


 土系の精霊か、体を拘束されて自由に動くことが出来ない。

 そういえば最近この手口で人を拘束し金を巻き上げる犯罪増えているというニュースを観たことがある気がする。


 嗚呼、なんて不幸な日なんだ。

 精霊術の発展の裏で精霊術の悪用での犯罪も珍しいものでは無い。これが精霊社会のもう一つの顔だ。

 政府は犯罪対策だとか言って立派な形だけの政策で拘束力がない。その結果がこの光景だ。お偉いさん達に見せてやりたいものだ。

 

 「とりあえず有り金全部渡して貰おうか」


 定型文の様な脅迫に呆れつつも金さえ出せば助かるだろうと財布を探し出した。途端に嫌な予感が背筋を伝う。

 あれ?財布なくね?俺やばくね?と。

この瞬間俺は頭が真っ白になってしまった。


 「チッ・・・なんだよこいつ財布すら持ってねぇじゃねぇかよ」


 「じゃあここでくたばれぇ!」


 そう言うと後ろのポケットから小さいナイフの様なものを取り出した。俺はてっきり精霊術で殺されると思ったのだが。

 だがもう俺にはどうでも良い事だ。ここで殺されてしまうのだ。



 ...殺される? 嫌だ嫌だいやだ

 まだ死にたく無い


 今まで蓋をしていた感情が急に溢れ出してきた。本能がまだ生きろと言っている。ここで死ぬ訳にはいかない。


 『君にはやらなきゃいけない事があるだろ?』


 誰だ?俺の声?そんなはずは...

 やらなきゃいけない事...?なんだ...それ?

 思い出せない。でも、なにか・・・


 その時何かに飲み込まれる感覚に陥った。手から足まで徐々に身体から意識が遠のいていく。


 あぁ俺刺されて死ぬのか...

 

 『それは違うよレイジ』


 『君はすでに力を持っているじゃないか!』


 そう言うと俺に似た声をした少年は手を差し伸べて来た


 ここで急に意識がはっきりとした。

 はっきりとした意識の中でナイフが迫ってくる。それにに対して無我夢中で手を出した途端ー


 とてつもない爆音と共に黒い何かが渦の様に飛び回っていった。黒い何かに触れたものが次々と消えていく。気が付いた時には相手のてからはナイフが消え、土の精霊術も解けていた。


 自分でも何が起きているのか良く分からなかったが、自分の手から一瞬だけ黒い精霊の様なものが出ていた気がする。

 しかし黒い精霊なんて見た事がなければ、聞いた事も無い。


 「な、なんだよお前その力はよ...」


 チンピラの問いに対し頭が混乱しているせいか、言葉が出ず無言のまま見つめているとそのまま去って行った。

 チンピラが去って行くのを確認すると急に重力が三倍にでもなったかの様な倦怠感に襲われ、その場に倒れこんでしまった。


 そこで俺の記憶は止まっている。

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