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ADSW(ALL Dimensional School Wars)

作者: ミステリオ
掲載日:2020/10/22

学園都市全域が核の炎に包まれた。


生徒会室。その中央で将棋を指している2人。

生徒会長: 支静禍(しずか)=フリューデン。

副会長:弥勒=B=パイクス。

外は炎の渦であるにも関わらず、室内は駒1つ動いていない。そして炎は、瞬きをする程度の時間で消え、外の風景は爆発前と何も変わっていない。

弥勒が駒を動かしながら口を開いた。

「報告です。襲撃したのはユリアス銀河の神獄刃(じんごくば)高校。理由は、当学園が発表した論文に対する価値観相違の為の当学園排除。尚、核攻撃による被害等は皆無…」

「余も知悉している報告は不要だ。」支静禍が話を遮る。

「生徒会役員3名を呼べ。今回の戦いは我々生徒会のみで行う。」

その言葉が終わるや否や、弥勒は姿を消していた。


あらゆる宇宙・次元に高度な知的存在がいる世界。

その混沌を「何か」と呼ばれる存在(?)が取り纏め、1つのコミュニティとして成立している。

その中で、全存在共通の問題があった。

価値観の相違。

その最も早い解決法は戦争。それは未成年でも同じ。

ADSW(ALL Dimensional School Wars)、各次元、各銀河にある学校が対抗する学校を征服・支配し、勢力を拡大していった。無数の銀河を支配する大国よりも巨大な力を有する学校もあった。

聖魔イディオム学園。支静禍=フリューデンが支配者であるこの学園もその1つ。尚、このセンスの無い学園名を付けたのも彼女。


支静禍の指示から数秒後、弥勒他3名が生徒会室に集った。

「戦争なんてやだよう。」

天使の様な姿の少女は、広報:メフィリム=エイリーニ。精神生命体なので、この姿も仮初である。

「俺ハ暇ジャネェンダヨ。独裁会長様ガ1人デ何トカシロんばらっ!」

暴言を吐き、支静禍に睨まれた瞬間バラバラに壊れた者は、書記:武者小路(むしゃのこうじ)=サラム。【無】から自分の身体を構成した機械生命体。壊れた身体も即修復される。

「某は参戦する。これも修行である故。」

侍か求道者めいた発言をしたのは、空中に浮かぶ50cm程度の球体。会計:LIGO #mir751(以下長い為省略)。単細胞生物のまま高度な知性を獲得した生命体。

「リゴちゃんがやるならメフィもやるー。」LIGO(略)をリゴと呼んで抱きつき、メフィリムも参戦表明した。

弥勒は、武者小路に問う。

「という事ですが武者小路。貴方は―」

「作戦を伝える。」支静禍が話を遮り説明し始めた。

「神獄刃高校の銀河から艦隊の出撃情報が入った。100億光年の距離をワープを繰り返しながら進行中。10分後に当学園銀河に到達する。敵の戦艦総数5億2300万2600隻。敵総員7兆2987億7463万4736名。これは余1人で相手をする。」

「ヤッパ人間ヤメテンダナ、オ前。」

武者小路が2回目のスクラップになった所で、支静禍が続きを話す。

「敵が学園銀河近くまで進軍した所で、メフィリムとリゴで敵の銀河まで時空間移動し、敵本拠地学園を襲撃せよ。降伏か殲滅まで手加減無用。方法は任意。」

「御意。某の速さに敵うモノ無し。」

リゴが同意しメフィリムが頷いた所で、支静禍は宣言する。

「余の聖魔イディオム学園に敵無し!愚かなる三下は余の学園の糧となるのだ!」

「イイ加減変エヨウゼ学園名。聞ク度、鳥肌立ツ感覚ニナルワ。」

武者小路は3たび粉々になった。


聖魔イディオム学園銀河外、約1万光年先。支静禍は生身で宇宙空間で静止し、神獄刃高校の進軍を待ち構えている。

武者小路と弥勒の目には、銀河外の支静禍の姿が視認できる。

「馬鹿ハ、本当二高イ所ガ似合ウナ。」

「そうですね。」

そして武者小路の毒舌を流し、弥勒は学園都市を眺める。

聖魔イディオム学園の都市は、未来都市と中世ファンタジー都市が融合した風景となっている。草木や花が生い茂る箇所と、機械的な街並みが見事に調和している。

現在は建物以外何も無い。戦時中により、弥勒が全生物全てを学園内隔離施設に避難させた為だ。


戦いが始まった。支静禍がいる場所から40万km。神獄刃高校の艦隊から一斉射撃。レーザー、核ミサイル、重力波、精神操作念波、etc.

支静禍は、わざと全ての攻撃を自身に被弾させた。

「くはははは!それで全力か?蚊に刺された程度にも感じぬぞ!」

言葉通り、支静禍には汚れ一つ付いていない。

そして、支静禍は念波を送る。

「武者小路!分子配列解析は終わったか!」

「トックニ終ワッテルゼー。今、送ルカラサッサト終ワラセナ。」

被弾し続けながら、彼女は右腕を斜め上に振り上げた。

「貴様らを屠る事は簡単だが、万一余の銀河に被害が及んでも困る。その為、面倒だが貴様らのみ消去する術を使う。」

そして、右腕を払い、

「消えろ。」

神獄刃高校全艦隊は、初めから存在しなかったかの様に消えた。

武者小路が送ったのは、全艦隊・全敵兵の分子配列データ。

全て同じ分子配列を持つ個体は、この世に2つと存在しない。個体1体の分子配列全てを即崩壊させる毒。支静禍は、その毒を、兆を超える数を、瞬時に作製しシグナルとして発信した。これは彼女にとって、面倒だが児戯にも等しい行為である。


一方…。

神獄刃高校艦隊とは比較にならぬ速度で、リゴとメフィリムは神獄刃高校都市前に到着した。機械だらけの都市、砲台等武装数の異様な多さ。メフィリムはげんなりした様に肩を落とし、「…愛が足りない。」と呟くや否や、都市中枢へ超スピードで飛んだ。

メフィリムは特殊な言語を唱えた。歌う様に。それは精神生命体である彼女独自の言語。その声を聴いた者の多くは、武器を捨て、惚けた様に座り込む。だが、効かぬ者も多くいた。彼らはメフィリムへ攻撃照準を定め―

ほぼ全てが瞬時に粉微塵になるか、消滅した。リゴの攻撃、次元斬と時間断。次元ごと斬るか、その者の「時間の連続性」を断つ。

支静禍に「降伏か殲滅」と言われた2人だが、その両方を成した。


かに見えた。


ある個体を察知したリゴは、メフィリムに触れ、全速力で聖魔イディオム学園銀河へと逃走した。そして、弥勒達に念波を送る。

「元教師を確認した!こちらへ向かっている!」と。


「何か」は、ADSWにより教師という職業を廃止した。理由は2つ。

①学生達が、互いを教え導くというシステムが構築された為。

②ADSWにより「力を持ち過ぎた」教師の圧政が頻繁に発生した為。

それでも、学生達を支配し続ける「元教師」は存在した。


リゴ達の学園到着から2~3秒後、元教師が出現した。

スーツを着たその姿は、普通の人間にしか見えない。

弥勒は開口一番、

「貴方が本件の黒幕。神獄刃高校を煽動し、当学園へ戦争を仕掛けた人ですね?」

元教師は弥勒の言葉を無視し、

「平和ボケした場所ですなぁ、ここは。未熟な学生の自治に任せるから、こういう場所ができるんですよ、全く。」

「未熟?無茶な因縁で、戦争を起こした貴方が言える立場ですか?」

元教師は、今度は弥勒の言葉に返答した。

「そうして攻めてきた我が校の学生を皆殺しにした君達が言えるのかね?虐殺・洗脳・支配。君達がした事も戦争ではないかね?」

弥勒が一瞬言葉に詰まった所で―。


噴煙が上がり、巨大なクレーターが出来る。そして、

「愚問。回答不要。最初に力を他者に行使した時点で、以降貴様の言葉は全て価値の無い戯言なのだよ。」

支静禍=フリューデンが姿を現した。

一瞬怒りの表情を見せた後、元教師は嘲笑する。

「噂通り尊大なお嬢さんだ。それで?君が私に勝てるとでも?」

支静禍は嘲笑を返しながら、

「勝てるな。」

と言った。その傍らには弥勒がいた。

「2人ならば!」

次の瞬間。支静禍、弥勒、元教師は、この銀河。否。あらゆる次元から消えた。


3人が現れた場所は、弥勒が作った空間。ここでなら宇宙や次元が壊れる様な技でも使える。

元教師は、ビッグバンを発生させた。弥勒は、自分達に衝撃等が及ばぬ様防ぐ。その間に、支静禍はビッグクランチを形成し―。

ここまでは互いに小手調べに過ぎず、以降は筆舌に尽くせない。


聖魔イディオム学園全学生はこの戦いを見ていた。武者小路によって撮影された動画である。常人が見れば、数分で発狂する。それでも全学生は、この戦いを目に焼き付ける。我が学園最強の矛と盾の姿、学園の象徴、誇り、そして何時か超えるべき壁である為。


そして。

ボロボロの姿の支静禍と弥勒が学園校舎前に戻ってきた。2人はゴミの様なモノを投擲する。それは元教師の姿。数瞬後、彼は姿を消す。転送痕跡から「何か」の手である事はすぐに分かった。彼がどんな裁きを受けるかは想像したくないが。

支静禍は、休む間もなく指示を出す。

「メフィリム。この戦いの映像及び使用した戦術・武器等を、全次元に公開し、【全てを今後永遠に使用禁止とする事】を訴えろ。」

「了解!」メフィリムは、すぐに姿を消した。これが承認されねば、この戦いに勝利したとは言えない。

武者小路からの報告。

「神獄刃高校ノ無条件降伏ヲ確認シタゼ。」

間髪入れず、支静禍は次の指示を出す。

「リゴと武者小路は、神獄刃高校で死亡等した学生全員を【復活】させろ。そして神獄刃高校に対する条件として、

①全武装の放棄。

②今回の戦争要因である論文の異議がある者は対案を出す事。

を伝えろ。それ以外の条件は無い。」

「承知。」

武者小路とリゴも姿を消す。尚、論文の異議は出ず、神獄刃高校の殆どの学生が聖魔イディオム学園への編入を依頼。神獄刃高校は、聖魔イディオム学園の分校となる。


突然、弥勒は支静禍の肩を組んだ。支静禍は珍しく驚きの表情を見せる。

「戦いの後、相棒は肩を抱くのが、お約束なんですよ。」

弥勒は、笑みを浮かべ言った。

支静禍はフッと笑い、

「余の相棒を名乗るなら、せめて余を無傷にする程度は守って見せよ。

友よ。」

そう言いつつ弥勒の肩を抱き、2人は学園校舎へ帰っていった。

                          To Be Continued…

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