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プロローグ

亀更新になりますがよろしくお願いします。

「敵性反応有り。歌人形の亡霊(ディーヴァ・ファントム)で間違いない」


ーとあるオフィスビルの屋上。


気を抜けば吹き飛ばされてしまいそうなほどの強風。

それにも関わらず、ビルの真下が見えるギリギリの縁に立つ二人組がいた。


「うん、まだ精度が甘いな。位置までは絞りこめないか」


ため息混じりに呟いた人物は空中に浮かんだ画面のようなものを見ながら眼下を見回した。


すらりと細身で、スタイルが良い。

邪魔そうに短い髪を片方だけ耳にかけると、毛先にかけて薄くなる灰色(アッシュ)のグラデーションが日に透けて光る糸のようで美しい。


彼らが纏うのは白を基調とした制服。

軍服のような意匠でありながら散りばめられた装飾品の多さは動きやすさ以上に‘魅せる’ことを目的とした、まるでアイドルのそれだ。


「ねえ、沙天(さてん)標的(ホシ)は……これだよね?俺、これの見方がまだ分からない」


もう一人の背の高い青年が首を傾げながら画面を覗き込んだ。

複雑な線形のグラフと赤い小さな印がしきりに強く点滅している。


首を傾げると同時に長い艶やかな黒髪が風に攫われて謎めいた雰囲気を醸し出していた。


「璃人はいい加減歌以外にも興味を示した方がいい。反応が強いからこの辺りには違いない。あっちはどうだった?」


璃人と呼ばれた黒髪の方は首をゆっくり横に振った。


「居ないようだよ……いや、待って。何か聞こえる」


風向きが変わったせいかなにか妙な音が聞こえてくる。


その瞬間、眼下にある小さなビルで爆発のような現象が起こった。

直ぐに壁に亀裂が走り、天井の一部が崩落するのが見て取れた。


「隣だったか」


沙天は冷静に画面を消すと胸ポケットから細長い銀色の棒を取り出した。

手のひらに余るくらいの大きさ。非常にシンプルなペン型のマイクだった。


今の衝撃で壁にあちこち穴が空いた結果、黒板を爪で引っ掻いた音と金属の軋む音、そして金切り声が一緒くたになったような不快な音波がはっきり外に漏れ出てくる。


間近で聞き続けたら精神をやられてしまいそうな酷い音だ。


「急ぐぞ」

「待って」


璃人は沙天の肩をそっと掴んで止めると耳を済ませた。


「歌が聞こえる」

「歌?あれは……誰かが結界(ステージ)を展開してる」


不快な音に紛れてはっきりとは聞こえないものの、確かに誰かの歌声が風に乗って流れてくる。


よく見ると壁の亀裂からは不思議な暖かい光が漏れていた。

電気とはまた違う特殊な力強さを持った光。


だが時折切れかけの電球のように弱々しく消えてしまいそうになる。


「誰だろう。あんなに強い色なのに随分不安定だ」


しばらく様子を見守っていたものの、光がより一層弱まり消えかかっている。


「あまり余裕はないらしい。どうする?」

「うん、準備はいいよ。俺達も行こう」


口元にすっと銀色のマイクを寄せて同時に言葉を紡ぐ。


「「オン・ステージ」」


眩い光に包まれ、躊躇いなく二人は眼下のビル目掛けて飛び降りた。

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