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剣と魔法のVRMMORPGで【拳銃】に存在価値を持たせる10くらいの方法  作者: 住之江京


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2/12

利点01. 「威力が弱い」

 DEX極振り無課金生産職プレイヤーことStrawberryEater427は、協力者に引き込んだ無課金バランス型プレイヤーのImitationCat145に問う。


「ピヨコくん。【拳銃】の欠点は何かね」

「まあ、一番は威力ですかね」

「その通りだ」


 威力が固定でステータスに依存しない【拳銃】は、最序盤を過ぎた時点で既に火力不足となる。DEX極振りのStrawberryEater427はともかく、バランス型のImitationCat145ですら無傷で耐えられる。


「この威力が弱いという欠点を利点に変える案が、既にWikiに載っているのはご存知かな?」

「ゲージ溜めですか」


 ImitationCat145はほとんど間を置かず答えた。それは言わば、1択問題だったからだ。


 狂剣士(バーサーカー)系スキルの中には、受けたダメージの総量や、防御した回数によって威力を高める物が幾つかある。

 スキルショップで購入可能な《狂える血》というスキルは、1回ダメージを受けるごとに、次にHPを回復するまでSTR値が1.1倍になる効果を持つ。

 効果重複回数はセットされた同一スキル数に依存するが、店売りスキルは金を詰むだけで最大スキルレベルが上がる成金仕様だ。


 スキルスロット16個に全て《狂える血》をセットした場合、STRが初期値10のStrawberryEater427であっても、


 10×1.1^16=45(端数切捨)


 まで上昇する。これはレベルアップ時のステータスボーナスを6種のステータスに自動均等割したプレイヤーに換算すれば、レベル36程度に相当する。ImitationCat145のそれと概ね同等だ。


「現在、私のスキルスロットは《狂える血》で埋めてある」

1600万(16M)をドブに捨てましたね」

「これが無駄金だったかどうか――そこで見ていると良い」


 StrawberryEater427は不敵に笑うと【拳銃】をこめかみに当て、


「まずは1.1倍」


 銃爪(ひきがね)を引いた。

 パン、と安っぽい音が鳴り、出血のエフェクトが飛び散る。


「これで1.21倍」


 続けざまにもう1発。


『StrawberryEater427が死亡しました。

 直前にいた拠点で復活しますか? Y/N』


 なお、STR45という数値は、STR極振りプレイヤーのレベル7程度に相当する。

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