勇者 1
ふと気が付くと見慣れない空間にいた。辺りを見渡すと幼馴染の3人と少年が一人いた。
それに少し離れたところに4人の男性と一人の女性が立っていた。そして女性が話しかけてくる。
「ようこそいらっしゃいました。勇者様方」
なんと返そうか迷ってると少年が最初に口を開く
「ここはどこですか?ママどこ?」
そう言い終わるか言い終わらないかのうちに話しかけてた女性が少年を抱きかかえ...
逃走した。
「え?ちょ...は?」
思わずそんな言葉が漏れてしまった。幼馴染の3人もぽかんとしてる。
すると男性の1人が話始める。
「...すまない姫のいつもの暴走だ。見なかったことにしてもらえるとありがたい」
「は、はい。え...えっとここはどこですか?」
知りたいことをまずは尋ねる。後ろで幼馴染3人が何かを話してるような気がする。
「勇者召喚って言ってたよな?」(仮A)
「えぇ、確かに言ってたわね」(仮B)
「あいつに俺ら巻き込まれた?」(A)
「まぁ20割くらいでその可能性ね」(B)
「100%超えてるのですぅー」(仮C)
あいつって俺のことか?聞こえないキコエナイ
「こほん、あなた方の誰か一人は勇者召喚の儀式によって召喚された勇者なのです。4人、いえ5人でしたね。なぜそれほど呼ばれたのかはわかりませんがおそらくこの世界にとって必要だったのでしょう。勇者よ我らを救ってくだされ」
「あーとりあえず言っとくが俺らは戦争のない国で暮らしてた一般人だぞ?」
「あ、これは能力が付与されてるから大丈夫ですパターンだ」(A)
「あるあるね」(B)
「話についていけないのですー」(C)
「いや、ここまではついて来いよ...」(A)
後ろがうるさい
「勇者よ神から力を授けられているはずです!ステータスと宣言をし自らのお力を確認なさってください。そして称号の欄に勇者の称号を持った人が誰かいるはずです!」
「す、ステータス!」
「これで何も表示されてなかったら面白いよな」(A)
「あいつが成功するかでやるかどうか決めましょう」(B)
「ステータスなのですー」(C)
「あ、やるのね」(A)
後ろは気にせず目の前のものを確認する
神成 真 シンジョウ マコト
17歳 男 人間
スキル 剣術、鑑定、第六感
称号 巻き込まれた者、異世界人
あれ?勇者ないな
「あいつ困惑してるぞ?何も表示されなかったのか?」(A)
「ありえるわね、優奈はどう?」(B)
「巻き込まれた者と異世界人しか称号ないのですー、あとスキルに獣化があったのですー」(C改め優奈)
「表示されたかだけ確認したかっただけだが表示されるなら見るか、ステータス」(A)
「それもそうねステータス」(B)
「称号は俺も同じだな」(A)
「健吾もそうなの?私も同じ、やっぱり勇者は真ね」(B)
「まぁ分かり切ったことだよな」(A改め健吾)
いや、勇者ないんだが
「えっと勇者の称号ありませんでした」(真)
「なんと!なら後ろの方々ですかな?」?(男性)
「え?真ないの?俺らにもないぞ?」(健吾)
「私にもないのですー」(優奈)
「考えられることが2つあるわ」(B)
「雫ちゃんすごいのですー」(優奈)
「1つめ、そもそも勇者のスキルが発現していない」(B改め雫)
「それはないはずです、一人ではなく全員に勇者が付いていることは想定されますが一人にもないのは考えられません。見落としてませんか?」(男性)
「2つめ、召喚されたのは5人よ」(雫)
「え?あ.....」(真)
「あ....姫様ぁぁぁぁどこにいったのですかぁぁぁぁ!」(男性)
話してた男性が姫さんの走っていった方に全力疾走。
残ったほかの男性の一人が話し出す
「なんか...申し訳ないです」
「いえいえ...苦労なさってますね」(真)
「ほんとにすみません」
「この少年は私が育てるのよ!誰にも渡さないわ!」(姫)
「姫様!わがままおっしゃらないでください!その方が勇者なのですよ!」(男性)
「ほかに4人もいるじゃない!あいつらに勇者名乗らせておきなさいよ!私はこの子を愛でるのに忙しいのよ!」(姫)
「姫様!」(男性)
「しつこいわね!私はこの子を譲るつもりはないわ!」(姫)
「姫様!帰ってきたときに愛でればよいでしょう!わがままを言うのはやめてくだされ!」(男性)
「こんな健気な少年を戦場に行かせるわけないじゃない!」(姫)
「そんなことを言うならば残りの4にんもまだまだ若造ですぞ!」(男性)
「あっ...」(他の男性)
「どうかしたのか?」(男性)
「あの...この魔方陣、勇者召喚用じゃないです!!勇者召喚されてないですね!」(他の男性)
「草」(健吾)
「草とか言わない。ワロス」(雫)
「雫ちゃんもキャラ壊れてるのですーおほほほ」(優奈)
「いや優奈が一番壊れてるからな?まともそうに見えておかしいからな?」(真)
「話をまとめるとよくわからない魔方陣で奇跡的に俺らは召喚されたわけだ」(健吾)
「申し訳ない...」(男性)
「帰る方法はあるんですか?」(真)
「いや魔方陣間違える人たちに返せると思うの?真はいつもどこか抜けてるわねー」(雫)
「ほんとに申し訳ない」(男性)
「そういえば僕らに何をさせようとしてたんですかね?」(真)
「魔王討伐に1票」(健吾)
「同意」(雫)
「え、えっと...お姫様討伐に1票ですー!」(優奈)
「それは草」(健吾)
「無理に変な選択肢増やさなくていいの」(雫)
「えっと魔王の討伐ですね、はい」(男性)
「魔王って何者なんですかね?」(真)
「世界の敵です。魔王がいるから世界から魔物がいなくならないのです」(男性)
「直接的に何かされてるわけではないんですか?」(真)
「はい?えっと魔物を生み出してるので被害出てますよ?」(男性)
「あ、これ分かり合えない奴だ」(健吾)
「同意」(雫)
「あ、はいそうですか。ちなみに僕らの処遇ってどうなるんですか?」(真)
「一応元の世界にあの魔方陣使ってかえせますが...保証はできません」(男性)
「却下」(雫)
「さすがの即答」(健吾)
「なら援助金出すので冒険者になってみるのはどうでしょうか?」(男性)
「あら?この城に住まわせる選択肢はないのかしら?あなた方の失敗で私たちはここにいるのよ?」(雫)
「し、しかし王族でもなく勇者でもない一般人を城に置いとくわけには...」(男性)
「なら妥協案を探しましょうかね。普通の国民が1年で使う金額はいくらくらいかしら?」(雫)
「あっ優奈ここからは俺ら黙っておくぞ?いいな?聞かれても真と俺で答えるから」(健吾)
「?わかったのですー」(優奈)
「え?えっと金貨2枚ほどですね」(男性)
「なら4人と一人500年生きると仮定して金貨2000枚ね。よこしなさい」(雫)
「金貨2000!?人の寿命は50年でも長い方ですぞ!」(男性)
「私たちの世界だと寿命平均は1000年よ?人生の半分分だけにしてるのだからそれくらい出しなさい」(雫)
「そんな生きられるのはエルフくらいですぞ!考えられない!」(男性)
「そもそもあなた達と種族も違うのよ?それくらい当たり前じゃない」(雫)
「し、しかし...」(男性)
「なら仕方ないわね。ここまで城に住まう者が金を出せないとは思いもしなかったわ。1人250年分の金貨1000枚で許してあげるわ。これで納得しないなら私の病原菌生成スキル使ってこの国に凶悪な病気をはやらせるから覚悟しなさい」(雫)
「ひえっ...」(健吾)
「そ、そんなスキルが...わ、分かりました金貨1000枚ですね」(男性)
「なにか違和感を感じたわね?言い直させてもらうわ国民の一般人の1年で使う額を4人分250年分ね」(雫)
「だ、だから金貨1000枚でよろしいのですよね?」(男性)
「後で1年の支出が2枚以上だと発覚したときの対処してるだけよ。嘘だと分かり次第病原菌放つから」(雫)
「....申し訳ありません。金貨10枚でした」(男性)
「そう、なら4人の500年分で2万枚ね」(雫)
「そんな!250年分でいいとおっしゃられたはずですよ!」(男性)
「あら?あなたは私たちをだまそうとしてたわよね?本来支払われるはずの20%まで下げようとしてた代償は重いだけよ?それとも病気になりたい?」(雫)
「申し訳ありませんでしたっ!金貨2万枚用意させていただきます!」(男性)
「頼んだわよ国王さん」(雫)
「えっ?い..いつから気が付いて...」(男性)
「スキルの一つに鑑定ってのがあってね。見させてもらったわ。そもそも国に使えるただの人が数千枚の金貨のやり取りできると思ってないし。王様と分かれば体調を崩すタイプの脅しが効くと判断しただけよ」(雫)
「クックック....お主が実は魔王なんじゃろ?」(男性改め国王)
「正解です!王様大当たり!」(健吾)
「おい健吾」(雫)
「ガタガタガタガタ」(健吾)
「ということで金貨2万枚じゃこれで早く去ってくれ」(国王)
「えっとうちの者がすみません」(真)
「いや...うん勇者ではなく魔王を増やしたに過ぎない結果じゃったの...」(国王)
「失礼ね、金貨10万枚でもいいのよ?」(雫)
「すみませんでしたっ!」(国王)
「許すのです!」(優奈)
「優奈ぁ...」(真)
「じゃあそろそろ行きましょうか」(雫)
「そうだな、では王様またいずれ」(真)
「二度と会いたくないわ!去れぇ!」(国王)
「愉快愉快」(雫)
「我らの女王様はおっかないですなぁ」(健吾)
「健吾、覚悟はいい?」(雫)
「すまんて」(健吾)
「この先大丈夫かなぁ...」(真)
雫ちゃんに病原菌作成スキルはないです。脅しのためです。
ちなみに設定はガバガバなので深く突っ込むような真似はおやめください
アドバイスなら歓迎するかもしれません