雨
美女が居ない。小さな駅だからかな。都会の駅とかならいっぱい居そうなんだけどな。
暇だなー。魔法使いって暇なんだなぁ。他になにか技あるのかな。分身の術とかやってみたいな。魔法使い関係ないけど。
ふん! ブリッ
出た! 分身が出た!すげー!!!
分身も驚いている。僕と同じ顔をするように出来ているのだろうか。
といっても、分身が居たところで邪魔なので隣の駅に行ってもらった。適当に遊んでなさい。
あーあ、芋しかいない。どうしてこうも暇なんかねー。
と思ってたら美女発見! 後ろからでも美人と分かる! 外国人のようなナイスバディに、髪はさらさらストレート!
失礼します。お尻触ります。うへへ。
「きゃあっ、この人痴漢です!」
やばい、腕を掴まれた! 人生終わる!
「あの、大丈夫ですか」
近くにいた男が透明人間でも捕まえたかのようなポーズをとっている美女に不思議そうに聞いた。
「いや、この人が! ⋯⋯はっ!」
あ! こいつは窓名真奈! 僕をいじめてた集団の親玉だ! その美貌で男を釣って仲間を増やし、僕をいじめる、この女は僕にとって最大の敵だ!
「どういうことなの? なんでゲボが!」
「死ねぇ!」
トンッ
と線路に突き落としてやった。
これであと四百二十一人だ。待ってろよ僕をいじめた悪魔どもめ!
さっきの要領で線路と電車を元通りにした。いっぱい触った。
さーて、次は誰が来るかなぁ~。
知らない人ばっかり。当たり前だけど。あー暇。眠い。寝よ。
痛っ。首に何か⋯⋯。目覚め悪いなぁ。
首には水がついていた。雨がポツポツと降っている。そのひと粒ひと粒が痛い。こんなことがあるなんて。
「ひょへっへー! えっへっへっへっへ」
!?
突然の奇声。
丸坂丸壱だ。こいつは中学の頃も脳天気なやつだったな。羨ましいよ。さて、こいつも殺すかな。
いや、ちょっと待てよ? こいつには特に何もされてないな。
いやいや、いじめを見て見ぬふりをしたんだ。
だからって、殺すほどのことか?
そういえば、遠足の時一人だった僕と一緒に弁当を食べてくれたな。忘れてたよ。
「おうゲボ! こんな時間に会うなんてな!」
丸坂が話しかけてきた。
そうか、お前も僕のことをそう呼ぶのか。
ぐっ! 痛てっ!
雨が次第に強くなる。身体中に激痛が走る。死んでまでまた苦しまなきゃいけないのか。これ以上強くなったらまた死んでしまう。
人は二度死ぬって言葉を聞いたことがあるけど、さすがにこれのことじゃないよな。
死ぬ⋯⋯。一回目は実感無かったけど、どんな感じなんだろう。怖いな⋯⋯。最期にお母さんに会いたい。
そうだよ! 丸坂なんか相手にしてる場合じゃない! お母さんに会いに行かないと!
ザザー
ダメだ、雨が強すぎて、痛すぎて動けない。僕はこのまま消えてしまうのだろうか⋯⋯。
「ゲボは家に帰るのか? へっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっー」
丸坂丸壱ぃ! なんでお前はいつもそんなに脳天気なんだ! 許せない⋯⋯!
お母さん会いに行くのはもう無理だ。最後にこいつを殺して終わりにしよう。
「死ね」
トンッ
ドンッ
ありがとうございました




