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第二話 偶然

 ホームルームが終わった途端、人が集まってくる。

 もちろん目的は俺ではなく、俺の前だ。


「ノアちゃん、ってか、めんどいからノアってよんでいい? 私、バレー部のリナ。瑠璃のはなって書くんだ~! おっけー?」

 かなり明るめの茶髪をショートにした女がすごい勢いで転校生に話しかける


「ちょっと、璃芭。最初っから呼び捨てとか」


「てか、漢字教えて何になんの?」

 双子にツッコまれ、クラスが笑いに包まれる。

「ねえ?」


「あっ。呼び捨てでいいよ。よろしくね。璃芭ちゃん」

 双子の片割れに同意を求められた転校生があわてて答える。


「ずるいっ! 一人だけぬけがけだ~! 私は鈴音。璃芭と同じバレー部だよ。鈴音って言いづらいし鈴って呼んでね」

「琴音だよ~ん。琴って呼んでね。二人と同じバレー部で、私は隣のクラスなんだ~」

「鈴、琴。よろしくね」


「ちょっと待った~!! 私だけちゃん付け。ちょっと寂しいんだけど」

 置いてけぼりを食らった茶髪がわめく。

「ごめん。璃芭。ふふ。なんか、ちょっと恥ずかしいね」転校生が答える。


 親睦を深めるのは勝手だが、目の前でやられるとどんな顔をしていればいいのかわからず気まずいので、どこか他のとこでやってもらいたい。

 が、俺の期待虚しく目の前はどんどん盛り上がっていく。

 

 とうとう耐えられなくなった俺は感じが悪いのを覚悟してヘッドフォンを付け、机に突っ伏した。








 いつも通り授業をテキトーにやり過ごし放課後を迎えた俺は体育館裏へ向かい、一段高くなったアスファルトに腰かけた。

 三十分ほどして人が来る気配を感じ、ヘッドフォンを外す。


 足音からして、二人だ。

 関係ないと判断し、もう一度ヘッドフォンを付けようとしたその時。

 俺の前に出てきた二人のうちの一人が手にもっていたペットボトルの水を振り向きざまにかけた。


「調子乗らないでくれる。転校生のくせに」水をかけた頭のおかしい女が言う。

「な、なんでこんな」かけられた水を髪から滴らせた例の転校生が答えた。


 嫌われている、というより無関心を決めこまれている俺にそんなことを思われるのは不本意だろうが、よくもまあ一日で嫌われたもんだ。という素直な感想が浮かぶ。


「お前、お前なんて転校してこなければよかったのに。あたしは、あんたが来るまでずっとずっと、鈴と琴以外であたしが一番璃芭と仲良かったのにっ!!!!」怒りで震えて絞りだすようだった声が、最後には涙混じりの怒鳴り声に変わる。


 ああ。うるさい。


 なんでこの女の周りはいつだってこううるさいんだ。

「静かに、してくれる」とうとう我慢しきれなくなった俺は口を挟んだ。


 俺の存在に全く気付いていなかったらしい二人は、唐突に口を挟んだ俺の方を向いて固まった。

 これ以上騒ぎ立てられる前に、と俺は急いで口を開いた。


「お前。うるさい。リナとかいう女に自分がそこの女に何をしたのか言われたくないんなら、さっさと消えろよ」


 頭のおかしい女は奥歯を噛みしめ、視線を脇の女と俺とに往復させると舌打ちをしてもと来たほうに早歩きで消えた。


 残った女が未だにこっちを見ているので

「お前も。さっさと行けば」と視線を足元に落としながら言う。

「ええと。あの。ありがとうございます。あの」

「別に。俺が迷惑してただけ。」と、なおも言いつのろうとする言葉を遮るように言葉を返し、ヘッドフォンを付ける。


 早く追い払わなければ、俺の待ち人がこいつと鉢合わせることになる。


「じゃ、じゃあ。」と、遠慮がちに言って転校生が立ち去ると、入れ替わるように、転校生が消えた方とは逆側から、養護教諭が来た。


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