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青金石の午後

 大好きな鉱物の世界をファンタジー小説にできたらと書いてみた作品の冒頭。主人公の藍の性格が、全く好きになれませんでした……。書き直すとしたらここですね。


     プロローグ



 夢を見るたびに、現実が青く染まっていく気がする。藍は、教室の窓の外を眺めながら思った。校庭は無人で、ただ空の青ばかりがむやみに目に染みた。フェンスの向こうの街並みは、目に入らなかった。ただただ青い色が気になった。

 わたしの夢が染み出しているのだろうか。

 そんなことを考え、藍は教科書をめくる数学教師を見た。そして、彼の銀縁眼鏡に青みが差しているのに気づいた。青い色が全てを浸食していた。青いフィルムを通して見るような、モノカラーの現実。ぼんやりと紺色の黒板を眺めていると、教師に指された。前に出て、数式を解く。チョークが黒板に打ちつけられる音だけが響く。よし、正解だ。教師が満足げにうなずいた。藍は席に戻り、そのまま授業を受けながら頭の中で風の音が響くのを感じた。

 チャイムが鳴って、教師が教室を去った。昼食の時間が始まる。藍はいつもと同じ友人と一緒に弁当を食べた。紺色の髪をおかっぱにした友人は、物静かに窓を眺めながら淡い水色の横顔を藍に見せていた。ふいに、彼女は藍のほうに向き直った。

 藍。何?

 友人がいつにも増して静かであることに、藍は気づかなかった。青さばかりを気にしていた。友人は真顔で、もう、セックスした? と訊いた。藍は一瞬とまり、次には弁当に視線を戻しながら、ううん、と答えた。彼女が何を言っているのか、わからなかった。それよりこの青さ。この青さは何なのか知りたい。

 わたし、紫村君のこと好きだったんだよね。

 友人の言葉に、藍は箸をとめる。顔を上げると、彼女は泣いていた。ぽろぽろと涙の粒を顎の先から落とし、箸を持った手で目の下を拭いていた。

 ずっと言えなかった。だって藍と紫村君、お似合いだし。ごめん。もう一緒にいられない。一緒にいるのは、辛い。

 友人は大袈裟な音を立てて椅子から立ち上がる。茜、と藍は彼女の名前を呼んだ。だが、それを無視して彼女はいなくなった。茜、ともう一度つぶやきながら、藍は視線を落とした。級友たちが藍を見ている。藍はしばし呆けたあと、再び弁当を食べ始めた。味がよくわからなかった。

 美術部の活動を終えた放課後の彼女を、背の高い少年が待っていた。彼はバスケットボール部で、しなやかな筋肉とよく響く声をしていた。美術室の前で、彼は藍に笑いかけた。藍は不思議そうに彼を見た。いつにも増して、顔が青かった。

 具合悪い? 何言ってんの、元気だよ。

 藍の問いに、彼は驚いた声を上げた。藍は黙り、歩き出す。藍を追いかけ、紫村は早足で歩いて彼女に並んだ。

 部活、早く終わったんだね。うん。秋は、寂しいね。どうした? ううん。

 秋の空はひどく青く、インディゴ・ブルーと言っていいくらいだった。青いね、と言ったら、紫村が不審気な顔をしたので、赤いね、と言い直した。紫村はうなずいて、笑った。

 家に寄っていく? と紫村が訊いた。少しためらい、藍はうなずいた。紫村の家に行くのは初めてだった。彼は上機嫌になり、様々な話を早口で披露した。藍はただ微笑み、笑うべきところだと思ったら、ふふ、と声を出した。ブロック塀が彼らの両側を流れていく。水色の猫が前を横切った。程なくして彼らは紫村の家に着き、藍は紫村から家に誰もいないことを告げられた。

 彼の部屋は整頓されていて、藍のために片づけられたかのようだった。水色のベッド、青色の机、雑多な青い本は本棚に仕舞われている。紫村が持ってきた青い麦茶を飲み、話をする。彼の仲間がやったおかしな失敗についての話題が終わると、彼は不意に彼女に口づけた。藍が驚いて彼の肩を掴むと、紫村は彼女の腰と背中を抱きしめて舌を入れた。生ぬるいナメクジのような舌が口の中をねぶるのは、嬉しいものではなかった。紫村は彼女のセーラー服の下から手を入れた。直接肌に触れる彼の手の動きは、彼女に鳥肌を立たせた。彼女の体は奇妙に力んでいた。紫村は彼女の抵抗に気づかないまま、押し倒した。

 嫌だ。

 体の下の彼女の言葉に、彼は驚いた顔をした。藍はもう一度、嫌だ、と言った。彼は体を離した。藍は起きあがる。一定の距離を置いて、まだ、したくない、と言った。紫村は情けないような顔をして、どうしても? と訊いた。どうしても、と藍は答えた。紫村は考え込んだ。それから、突然正座をした。背を丸め、頭を下げる。お願いします、やらせてください。藍は、ヒキガエルのような姿勢の彼を見て、悲しくなった。

 どうしてそこまでするの? と訊くと、彼はただ、お願い、と言った。彼女は深い悲しみの気分を引きずりながら、いいよ、と答えた。顔を上げた彼は、嬉しそうにガッツポーズを取った。藍はそれを見て更に気持ちが沈んだ。

 行為は、彼女の悲しみを強くするだけだった。青い天井が揺れるのを、彼女は痛みの中で見ていた。終わり、シャワーを借りて体を清め、制服を着た。彼は彼女に感謝している様子で彼女を家から送り出した。

 春、まだ世界が青のモノカラーではなかったころ、彼女は彼に恋心を告げられたのだった。そのとき彼は面映ゆそうに上目遣いに彼女を見たものだった。それを愛らしく感じた彼女が微笑んで言葉を返すと、彼はガッツポーズを取った。彼女はそれを心地よいと思った。

 群青の地面を眺めながら、彼女は涙をこぼした。ブロック塀の間を歩きながら。角のところで顔を上げる。白い光が彼女を包んだ。青以外の色だと思うと嬉しかった。そして次の瞬間には、彼女は宙を舞っていた。ブレーキ音が、辺りに響いた。



     1



 モーヴが言った。

「今は青金石の午後よ」

 藍が言った。

「知ってる」

 モーヴの瞳は不思議な紫色だった。どこまでも奥に続いているかのような透明な色。藍が見つめると、モーヴは瞬きもせず彼女の瞳を覗き込んだ。

「あなたの瞳はいつまでたっても藍色にならないのね」

 ここでは名前と目の色が一致しているのが普通のようだった。藍は艶のある背中までの黒髪をポニーテールにした、黒い瞳の少女だった。セーラー服姿でここに立っていたが、モーヴは気にも留めない。モーヴの瞳の紫は、結われていない波打った黒髪によく合っていた。看護師の制服によく似た、白いシャツと白いズボンを身に纏っている。靴は中国靴によく似た柔らかそうな白いもの。特徴のない格好をした彼女は、どこか囚人めいていた。

 その背景は青い。海や空が広がっているからではない。あるのは迷路のような街並みだ。家々は見事な青に染め上げられ、見ている藍に寒さを感じさせるくらいだった。

「行きましょう」

 モーヴが微笑む。藍は、「どこへ?」とは訊かなかった。そのまま歩き出す。

 青い街は、青い家で成り立っている。家はほとんどが縦に高い。獣のにおいのする街並みを、藍とモーヴはすたすたと歩いた。坂道が多く、実際この街の地面は奥に向かうにつれ高く傾斜していた。人に出会うことはなかった。ごそごそと何かが動く音や、生き物の臭いはするのだが。青い建物にはぐるりと階段が巻きついていることが多かった。中には手すりのないものもあった。漆喰と青い塗料で塗られた階段は、簡単に建物から剥がれそうな脆弱さを感じさせた。

 青い建物に挟まれた青い坂道を上っていく。ところどころで階段を上がる。藍はモーヴと並んで歩くことはない。友人とも違うし友人になろうとも思わない。モーヴは何を考えているのか、細かくうねって広がる長い黒髪の陰で微笑んでいた。

「今日はここよ」

 立ちどまったモーヴが藍に笑いかける。そこは寺院だった。青い壁であるのはもちろんだったが、そこには金色の線で壁画が描かれ、同じく金色の瓦の乗った屋根を段々に被った建物だから、そうだと思った。壁画には金で縁取られた巨人が描かれていた。巨大な鳥が、巨人と向かい合っている。壁画の中の青い街並みは彼らの半分ほどしかなかった。色合いは美しいが、この絵は藍を不愉快にした。巨人が怖かった。鳥も不気味だった。

 寺院には、普段入ってはいけない場所がたくさんあった。二階以上には上がってはいけないし、僧たちの眠る部屋には近づいてもいけなかった。でも、今日はここで何をしても咎められることはない。藍とモーヴは極彩色の寺院内を真っ直ぐに歩く。金色の柱、群青の床、天井は漆塗りに金蒔絵。一番大切そうな奥の部屋にたどり着いた二人は、観音開きの青い扉に鍵を差して開いた。鍵はモーヴが持っていた。

「光が必要ね」

 モーヴは真っ暗な部屋で、ポケットから石を取り出した。光る石のお陰で、あっと言う間に部屋は明るくなった。高い天井から床まで、端から端に届く大きなカーテンがあった。両側に開くもののようだ。色は青を排した派手なもので、色のある糸で織りあげた緞子らしい。モーヴと藍は、カーテンを一枚一枚めくりながら進んだ。カーテンには鳥が大きく描かれていた。外側の壁画にあった烏に似た鳥だ。壁画では金色だったが、色の豊富なこちらの織物ではより繊細にその姿を表してあった。鳥は純白だった。黒い目はこちらを見て、藍を非難するかのようだった。一種のパラパラ漫画のように、めくった先のカーテンの絵は変化していった。最初は極彩色のジャングルに似た背景にこちらを見て羽根を閉じた鳥が大きく描かれ、次のものでは鳥はぱっと羽根を開いている。羽根を上下させ、ついには飛び立つ。鳥は飛びながら青い巨大建築物を目指す。そして飛び降りると頑丈なくちばしで建物を破壊し、奥にこもっていた青い体と顔を持つ巨人と戦い、殺してしまう。血しぶきが飛ぶ。色は青だ。

「何てこと」

 モーヴが最後の場面を見て声を上げた。しかし、微笑んでいる。藍にとっての真顔がモーヴの微笑であるかのように、彼女の表情の割合はほのかな笑みが大半を占めている。しかし大変だということは藍にもわかった。モーヴの次の言葉がはっきりと予想できていた。

「正教のふりをした邪教ね。破壊しないと」

 モーヴは藍を振り返り、にっこりと微笑んだ。紫色の瞳は盲目のそれではないかと藍は一瞬感じた。もちろん、モーヴは目が見える。だからこの緞子のカーテンを見てそう言っているのだ。

「火をつけて」

 藍は、モーヴの言うままに制服のプリーツスカートからライターを取り出した。百円の安物だから、見た目もちゃちな透明の品だ。藍はそれを最後の緞子の端に近づけた。火は気づけばカーテンに移り、端を黒くしながら燃え上がっていく。煙が喉に入り込む。咳をし、モーヴを引っ張る。モーヴは燃えるカーテンに見とれていた。

「きれいね」

 輝く目と、火のために赤く見える髪が藍には怖かった。

「死ぬよ」

 とモーヴに言うと、

「こんなにきれいなら、巻き込まれて死んでもいい」

 と答えがあった。藍は早々に見切りをつけて走り出した。次のカーテンの先に行くと、煙はまだ届いていないが光がない。持っていたライターの火を点す。と、そこにモーヴがやってきて、

「オイルがもったいないわ。わたしの石で照らしましょう」

 と微笑んだ。

 寺院から逃げ出し、今日の報告に向かう。坂を上って寺院の方向を見下ろすと、確かにかなりの火が上がって煙りもすさまじいのだが、誰も騒がない。確かに人がいるのに、と藍は不気味に思う。寺院の僧のように、煙に巻かれ、燃えて死んでしまう人も多からずいるはずだ。藍はポケットのライターをぎゅっと握った。こうしないと、自分には居場所がないのだから、と言い聞かせる。それからまた寺院の方向に背を向け、歩きだした。

 今日は青金石の午後。「あの方」が最も力を強く発揮する日の午後だ。世界は青い。青くなければ壊される。世界が青いことを信じなければ、「あの方」に遣わされた誰かに殺される。例えば、モーヴや藍に。

 世界に藍が現れてから、青金石の午後には人々が一斉に眠るようになった。「あの方」が眠らせているのだ。そして二人だけ起きているモーヴと藍が、青くない建物に火をつけ、青い世界を信じない「邪教徒」を殺して回る。

 そうすれば「あの方」に藍は認められる。そして、世界に居場所が見つかる、ということだ。

 坂道の先の山の頂上に、ピラミッドを縦に伸ばしたような青い建物があった。巨大な建物だった。巨人の住居のような。だが、比喩ではないのだ。「あの方」は巨人なのだから。

 「あの方」のいる最上段にたどり着くまで、階段は五百段ある。息を荒くしながら藍は上る。モーヴは全く疲れた様子を見せず、とんとんと、家の階段であるかのように駆け上がる。やっとたどり着いた最上段はピラミッドの中腹にあり、そこから先は天井がなく、広場になっていた。モ

ーヴに従って歩き、ピラミッドの内部に入る。青く長いトンネルを抜け、たどり着いた空間には光が満ちていた。

 「あの方」はいた。光る石を多く配置した空間の奥にある椅子に座っていた。身長は十メートルもありそうな真っ青な男が、こちらを見て笑っていた。藍はごくりと喉を鳴らした。男は鼻筋の通った美しい顔だったが、顔と瞳の色が全く同じ色で、彼がモーヴと藍を交互に見るたびに瞳が左右に動くのは、不気味以外の何物でもなかった。男は水色の布を体にまとっていた。派手な金色のブローチで、服のように見える着方をしていた。「あの方」はパイプオルガンのように響く優しげな声でこう言った。

「お疲れさま、モーヴ、藍」

 モーヴがひざまずくのを真似し、藍は不器用に体を縮めた。

「寺院はよく燃えたかい?」

「はい。とても美しく燃えました」

 モーヴがうっとりと答えた。男に心酔しきっているモーヴは、ここに来ると夢見るような目と話し方になる。

「本当に素晴らしいね、火というのは。何でも消してくれる」

 男は満足げに藍を見た。藍はびくびくしながらうなずいた。それから言葉を発した。

「でも、ライターはいずれ使えなくなるものです」

「大丈夫。火を残しておけばいい。この神殿で、火を点し続けよう。燃やすものさえあれば、火はいつまでもあるものだと、藍は言ったじゃないか」

「はい、でもこの世界には燃やすものは少ないと思われます。ここでは植物が少ないですし、石炭、石油もありません。燃えるのはーー」

「人間がいる。動物もいるよ」

 ぞっとするような提案に、藍は怯えて男から目を逸らした。

「確かに燃えますが、限界があります。人間や動物はほとんどが水分ですので、簡単には火がつくこともありませんし」

「人間や動物から脂を取ればいい」

「残念ながら、それでは人間がいなくなってしまいます」

「いいじゃないか」

「あなた様を尊敬する人間もいなくなってしまいます」

 男はそれを聞くと少し考える顔になった。それは惜しいことらしい。藍はほっとした。

「ならどうすればいい?」

 男の真っ直ぐな視線にたじろぎながら、藍はこう答えた。

「布や生糸なら、この世界に豊富にあります。それならば」

 男はにっこりと笑った。どうやら答えに満足したらしい。実際、布だけは豊富にあった。毎年どこから来るのか全くわからないカイコガの群を捕まえ、卵を生ませて幼虫に繭を作らせ、糸にする。大量の布や生糸が、当たり前のように各家の最上階に収まっていた。

「藍は賢い。それなら火を点し続けることができるだろう。今日から神殿の広場に布や生糸を集めよう。火を点し、少しずつそれを燃やそう。藍、お礼がしたい。何がほしい?」

 藍は驚いて彼を見上げた。ほしいものは一つしかなかった。この世界での居場所。元いたあちらの世界には戻らなくていいように。

「家が……ほしいです」

「家?」

「わたしは今街のホテルに暮らしています。ホテルは授業員と接することが多く、人と人との距離が近すぎて、わたしには苦痛です。一人で暮らせる、小さな家がほしいです」

 男はうなずいた。微笑みながら。

「いいだろう。家ならあそこに建てよう」

 藍は嬉しさに涙が出そうだった。

「あの寺院の跡地だ」

 愕然とする藍を見、男はうなずいて彼女が喜ぶことを強要した。藍は無理に笑った。逆らうことなどできないのだ。

「家を建てさせるまではホテルに暮らしてもらうが、大丈夫だよ。じきに出られる」

「ありがとうございます」

 藍はひざまずいたまま、頭を下げた。その横で、モーヴが彼女を笑って見ていた。

 帰り道、階段を下りながらモーヴは藍に訊いた。

「火というのは本当に便利。『あの方』を簡単に喜ばせられるわ」

「そうね」

「火がある世界に生まれた藍は、とても幸せね」

 藍は黙った。

「藍のお陰で仕事が楽になったわ。火を持ってきてくれてありがとう」

 モーヴは柔らかく笑った。仕事というのは破壊であり、殺人でもある。それに藍が火を持ち込まなければ、人々が焼け死ぬことはなかったのだ。藍は唇を噛み、黙って階段を下りた。

 寺院はもう燃え終わっているようだった。薄い煙がたなびいているだけで、焼け焦げた黒い建物の天辺が覗き見えていた。「あの方」を尊敬しないとこうなる。こうならないために藍は破壊し、人を焼き殺す。

「ホテルに帰るの?」

「うん」

「明日は何でもない日だわ。青金石の日じゃない」

「いい日だね」

 藍が言うと、モーヴは立ちどまった。藍は慌ててこう言い訳した。

「仕事がなくて楽だよ」

「そうね。わたしもただの売り子に戻る」

 モーヴは普段、宝石店の売り子だった。狭い店の中、兄と共に美しい石を売る。

「あなたは何をするの?」

 モーヴに訊かれて、藍は口ごもった。藍は仕事を持っていなかった。仕事の報酬として、ホテルでの暮らしを与えられているからだ。

「街を散策する」

「そう」

 モーヴの笑った目は、何かを秘めていた。藍は目を逸らし、街を見下ろした。青かった。青くて深い海の中みたいで、怖い。そう思った。空も透明に青く、本当にここでは青以外が認められていないのだと絶望した。そして、いけない、と考える。ここでは、青以外の世界を信じてはいけないのだ。青くない世界から来た、藍だって。

 モーヴが細い路地に入っていくと、藍はホテルに向かって歩き始めた。

 火というものが存在しない世界、というのは無理がありすぎるので、ここも修正点ですね。2017.1.1

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