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誰が為に(たがために)  作者: 空凪
6/16

誰が為に人は動く 1-5

                   5


 そびえる炎の壁の向こう側の奥の奥、樹海の奥深くではその頃…

 スコープアイを使って悪魔の数を数えているカイの姿があった。

 つまり、カイの目の前には悪魔がいることになる。問題はその数、人間一人が相手に出来るレベルを優に超えた数だ。

「10、11、12と。まあ、こんなもんか。」

 気づくと12体の悪魔に囲まれている。すると部隊のリーダーらしき悪魔から物騒な話が聞こえてきた。

「人間狩りの部隊を邪魔したのはお前だろ。それとも無関係者か?まあ、いい。第二部隊が出てきた以上、近辺にいた人間は殺害の決まりだ。人生を振り返ってることだな。」

 死の宣告をされたカイは以外にも余裕そうだった。

「いいことを聞いた。人間狩りにも部隊編成はあるんだな。んじゃ、お前らは第一部隊がしくじった時の証拠抹消部隊といったところか…おもしろいね。ちなみ第何部隊まである?」

「メイドの土産に教えよう。俺らはしくじらないから出てこないが、第二増援部隊で終わりだ。俺らが何人か死ねば来る手はずだ。俺ら第二部隊もそのような原理で来たんだ。」

「面倒くさいことになったね。するとお前らは、ある程度戦い慣れしたやつか…。まあいいや。」

話し終えるとカイはふぅーと深く深呼吸した。

 すると、いつの間にかカイの持っていた銃は消え、腰には2本のクロスしたベルトを巻いていた。そのベルトには4丁の銃と試験管?(っぽいものにゴム栓がしているもの)が6本ついていた。カイはベルトの装着を確認すると、銃を二丁だけ引き抜いた。よくみると、片方の銃は何か構造がおかしい。本来ハンマーがあるはずの位置には謎の穴が二つある。カイはベルトについていた六つの試験管?のうち赤いラベルの付いたものだけをを引き抜くと、ゴム栓を外し、その銃の穴に突っ込んだ。

 その時、悪魔もこっちに気付いたのか走ってきた。

「青年よ、殺しは迅速にだ。鮮やかに死ね。」

 でもカイは落ち着いた様子で告げる。戦いの引き金を。

「準備完了。いつでもこいよ。脳筋集団。人間の力を見せてやるよ。」

 その挑発に怒ったのか、統率の取れているはずの悪魔部隊はバラバラに襲ってきた。まあ、バラバラに襲ってきても相手は悪魔、人間単体で勝てる敵ではない。だが、スコープアイをしているカイの敵ではなかったようだ。


観察眼スコープアイとはただ暗闇を見れたり、遠くを見れたりするだけではない。動体視力も通常の数倍に跳ね上がり、反射速度を上げる。さらには、注目した敵の属性、使用した術の仕組みなどいろいろな情報を使用者に与える。チートじみた魔術だが、カイ・レオナルドしか使用者が過去にも先にもいないため知られていない魔術である。】


 反射速度が上がっているカイは、地面と平行に腰当たりめがけて振られた斧を背面飛びで軽くかわすさなか、体を空中でひねり顔面へ蹴りを入れる。蹴りを入れたことで相手が重心を崩したのを見逃さず左手に握っていた普通の拳銃を相手の眉間に打った。悪魔はカイという人間相手に数秒で死を迎えた。戦い慣れしていた悪魔が、だ。一方殺した側のカイは背面飛びから蹴り、発砲の二つの動作を空中で当たり前の動作のようにやってのけた。それは、身体能力差をはるかに凌駕するレベルで戦い慣れしている証拠だ。

 「まず一匹だな。次はどいつかな?」

 着地したときに、そうつぶやいた。それと同時に短剣を両手に持った二足歩行の馬のような悪魔が走ってきた。見た目通り早い。その悪魔が力いっぱい込めて肩を切り落とすように振られた短剣をひらりとカイは左によけた。だが、今度は銃を撃つ暇もなく、悪魔がカイが避けた方向から迎え撃つように短剣を振ってきた。回避するしかないわけだが短剣は移動してる向かいから来ている、つまりカイは勢いのまま突っ込むため、左右に避けることはできない。

GAME OVER

悪魔もここでイキった餓鬼を殺せた。と、安堵した。

だが、殺される寸前でカイは右手に握っていた謎の銃を上に向け、打った。

その銃からは収束された炎が出てきて、作用反作用でカイは無理やり高速でしゃがむことができ、剣をかわした。剣を空振りした悪魔は体勢を崩す。カイはその悪魔の背中を踏み台に高く飛ぶ。なぜ殺さず踏み台にしたか?それは上空だと後ろから襲ってきていたのを含めた悪魔三体が一気にカイの射程範囲に入るからだ。つまり、あの死にかけの戦況で後ろから来ていた悪魔がわかるほど余裕だったわけだ。

 計算された華麗な戦闘。

 空中に舞うカイは正確に踏み台にした悪魔と後ろから来ていた悪魔、計三体の悪魔の脳に銃弾を撃ち込む。そのとき炎が出る銃はカイは宙に舞っていて、カイはもう三丁目の実弾の入った銃をベルトから引き抜き右手に握っていた。打ち込んだのと同時にカイの右手から銃が消え、宙に舞っていた銃をキャッチした。銃が消えたのは武具召喚術の応用だ。召喚したものをもとの場所に収納したと考えればわかりやすいだろう。つまり、実弾の銃はベルトに戻らずカイの契約収納先に帰ったということだ。

カイはキャッチしたその銃口を下に向けると引き金を引いた。やはりその銃から炎が出て炎の推進力でカイの体は宙に浮いた。まるで小さなロケットのようだった。カイは炎の推進力を操り近くの木の枝に乗った。そして返り血をぬぐいながら笑みを浮かべるカイは

「次はどちらさんなのかなぁ?」

 いやなほほえみを浮かべ悪魔をあおるカイに対して相手のリーダー的な悪魔が安い挑発に乗って襲いかかろうとする悪魔たちを制する。

「むやみに突っ込むな!!個々の能力では奴に勝つことができない!!パターンβで攻めるぞ!!」

 微笑みは止まらないがカイは称賛した。

「いい判断だ、指揮官。だが、俺には集団でも勝てないよ。」

 カイと指揮官が会話しているうちに生きている他の悪魔はパターンβなる陣を完成させていた。つまりカイは冷静な悪魔達の陣の中だ。

絶体絶命。失明している人間が迷路に突っ込むようなものだ。

そう、それが普通の人間ならば。

そう、それが元人間界最強を誇る力をもってなければ。

そう、それがスコープアイを持っていなければ。

そう、それが悪魔を圧倒する勢いのない奴なら。


 人類反撃の狼煙が今からあがる。



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