表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰が為に(たがために)  作者: 空凪
5/16

誰が為に人は動く 1-4

                  4


草原の奥は森になっていて背景が暗い。だから一同はその森の奥からまた何体もの悪魔が出てきているのが見えていなかった。そう、カイ以外は。

舞たちが列車を逃がしているその頃、カイたちは草原に群がる悪魔の大群を目の前にしていた。ざっと30体くらいの悪魔たちを。

「多いな。カイ隊長よ、ここでの優先順位は俺が前衛、カイが後衛の突撃でいいか?それとも舞たちを待つか?」

「お前から隊長呼ばれは痒いからやめろよ。…ん?ちょっと待て。」

そういうとカイは右手で右目を覆った。そして、その手をゆっくりとはがした。するといつの間にか、カイの右目は白い部分と黒い部分が反転していた。一般的に通常の人間は白目の中に黒目があり、人種によって色が変わるのは黒目がライトブルーになどと、白目が変わることはない。ましてや意図的に変えるなどそんなことはできるわけもなく、成長によって徐々にだとか、生まれつきでしか瞳の色は変わらない。

だが今のカイの眼球は黒目の中に白目がある。


「“スコープアイ(観察眼)”」

カイの右目はカイ自身がそう呼んでいる。その得体のしれない謎の眼には樹海の奥深くの暗闇の中も見えているようで、悪魔が何体も増援に来ていることにいち早く気付いたカイは

 「グラス援護頼む。森の奥に行く。俺一人で十分。何体もの援軍が来ているようだ。あと、舞たちには何も言わなくていい。」

といって走り出した。

 「オッケー、了解」といいグラスは素早く印を組んでグレネードランチャーを召喚し、手持ちの武器を持ち変えるとさっきまで持っていた槍を地面にさす。それを踏み台に高く飛んで、グレネードランチャーの標準を森の手前に合わせると撃った。爆発音とともに放たれたその弾道はまっすぐ森の手前に向かった。着弾すると爆発と共に煙が巻き上がった。煙が薄くなってきて視界が確保できると炎の壁ができて森へ行くことができないようになっていた。もちろんもうすでに、そこにはカイの姿が見えなかった。カイは数々の悪魔の攻撃をかわしながらグラスが発射する前に樹海へ最短距離で飛び込んでいったのだ。

彼らは幼少期からずっと共に過ごしてきたからコンタクトがとれている。そして、グラスはカイが樹海にいる悪魔の援軍に一人で向かっていっても勝てると信じている。だから、今自分に出来る最高の援護は邪魔をしないことだと一瞬で判断できたのだ。だから、ここにいる悪魔を行かせない意味で炎の壁を張った。当たり前だが逃げるカイを追いかけることのできなくなった悪魔たちは目の前のグラスをターゲットにしている。

 「さあ、俺は俺の仕事をしますか…」

目の前には約30体程度の悪魔がいる。なおかつ「人間狩り」を邪魔され苛ついているありさまだ。それに対して追いついてきた舞とシンカを含めこちらは3人。

絶対不利と思われる状況。単純に見て死をイメージするこの状況。逃げも隠れも出来ないあげく危機的この状況。

 だが、彼は笑顔だ。この状況を楽しんでいる。久々に感じる実戦の空気。そして久々にカイに任せられたこの状況。不安、恐怖、そんな感情より、いつも背中を見続けていたその目標の人に任せられたうれしさのほうが大きかった。任せられた自信のほうが大きかった。

そう、自分は普通の人間じゃない。人間最強と言われたことのあるカイ・レオナルドに認められた人間だ!!

自信に満ち溢れた覇気のある声でグラスは告げる。

 「さあ、始めようか!楽しいパーティーを!!」

 そして戦いの火ぶたは切って落とされる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ