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誰が為に(たがために)  作者: 空凪
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誰が為に人は動く 1-2

                  2


この列車はレトロな蒸気機関車なので停止の原因はボイラーの故障と思われた。カイ一行が乗っている車両が傾きはじめたのでそれの類ではないと気付いた時にはおそかった…。左を見れば岩山、右を見れば草原といった奇妙なところに線路が引いてありそこで爆発は起きてしまった。上空から見れば崖から土と草原が二重半円を描くように見えていただろう。内側の森は草原外側は広大な樹海が広がっているようだ。そして列車は崖側ではなく右、つまり草原側に倒れ転がり始めた。ここまでの惨劇ならば客観視すればカイ達が死ぬと思われる。

 だが列車は転がる寸前で真っ二つに切り分けられた。運よくその車両にはほかの客はいなかったからよかったのであるが、それをやったのは赤毛の美女、つまり舞だ。いつの間にか彼女の手には一本の真剣が握られ抜かれていた。その真剣には火がともっていた。どうやら舞は属性を真剣で出力することで戦うようだ。

 「危ない危ない。助かったよ舞」

カイがほっとしたようにいう。

 「わしが助けなくても脱出できなければ、この先死ぬと思うよ…」

 「おい…それより…まわり見てみろ…」

意見を言った舞に続くような形でシンカが周りを見るように促した。言われた通りに周りを見ると、鎧のような羽の生えたごつい体つきの斧やら銃やら剣やら持った集団に囲まれている。

いわゆる悪魔だ。


【前にも説明したがこの世界は人間のほかに悪魔という種族が存在する。彼らは人間と同じレベルの脳を持っている。しかも悪魔の身体能力は人間の身体能力とは段違いで高い。そして人間とは違い術は使うが基本決まった属性をつかえない。彼らは術により属性を生み出すといった発想の形で属性を操る。よって、場合によっては応用がきくのだ。簡単に言えば見た目は悪いが人間の上位互換的な存在である。しいて弱点をいうなら人間のような器用さがないこと、感情が単純であること、身体的な小回りが利きにくいことぐらいだ。念を押して言うが人間と悪魔は対立している。彼らは最近現れるようになった「人間狩り」だ。「人間狩り」とはその名の通り人間をとらえ、奴隷として悪魔界で売りさばく集団である。特殊部隊によって殺せることもあるが大抵はできないので人間は結界が張られている三国から基本出ないが、何かしらの理由で出てきた人をとらえるのが「人間狩り」だ。】

 

「人間狩りだな。おそらく、覇気の差で俺らが戦士だとばれたのだろう。これで殺せると思っているから一般兵だと勘違いしているだろう。こっからリーダーとして命令するから従えよ。まず、まだ乗っている一般の人の退避だ。運よく俺らの乗っていた車両には一般人はいなかった。この中で線路に沿って列車を遠くに運ばせられるのはいるか?」

カイの顔つきがガラリと変わったのは見るまでもなく声色で分かった。戦闘に対してまじめだ。スイッチの切り替えが早いのに舞が驚いているのをよそに

 「俺なら…やれる…」

と、シンカが答える。そこへ軽くうなずきながらカイが言った。

 「各自臨戦態勢をとれ、ここでは俺の指示に絶対従ってもらう。反論はこの戦いが終わってから受け付ける。さっきも言ったが優先すべきなのは列車を逃がすことだ。そして次に悪魔の集団と戦うときに壁を背に戦いたいことを意識しておいてくれ。だから列車を逃がすときが重要になる。つまり、俺、舞、グラスはシンカを援護しつつ壁を背にできるようにしろ。わかったら各自武器をだしてくれ。確認しておきたい。」

テキパキと決めるカイに唖然としていた舞だった。舞はもうすでに刀を出しているため準備はいらないが、準備がいるはずのグラスの手には不思議なことに一本の長くねじれている槍があった。


【先ほどの舞といい、グラスといい、どこから武器を出したのか?その答えは、彼らの使う術の一つに武具召喚術というものがある。それは「契約した武器を決まった印を結ぶことで、収納しているところから手元に召喚でき、その逆の収納もできる。」というものだ。そしてこの術を極めると、手の元の座標ではなく離れた別の座標に召喚できたりする。まあ、普通ここまで極める人はいないのだが。普通の人間なら戦うスタンスは武器による白兵戦や魔術による戦闘が多い。つまり自分から武器を離す人はいない。そう普通なら。】


カイはみんなの武器を確認して言った。

「シンカお前は?」

「俺は拳だから…」

シンカは武器を使わないことを伝える。

それを聞くと、場の空気を占めるように重くカイは告げる。

「各自の武器を把握完了だ。さぁ、行くぞ。人類の陽射し最初の反撃だ。」


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