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転明記 VRMMOってどこでもこうなの?  作者: 朝宮ひとみ
9章 惑星を創る 世界を造る
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76話 異世界のナイチンゲール

 何の予定も休日も無い五月の連休明け、俺は開発チームから投げられた細かい仕事をいくつか片付けて、やっと休みをもぎ取った。そのあと投げられる仕事の都合で一週間ほどの長い休みが取れた。

 その休みを三日後に控えたとき、シェールから連絡が来た。魂集めだ。順調なのかうまくいってないのかは俺には判断しかねるが、着実に魂は集まっているからお前が気にしなくていい、とユイが言ってた。




 エイミヤさんが生まれる少し前の時代。エメファイスの西の国境を抜けた草原地帯に俺たちは到着した。

 もちろんまだ国の名前はディスなんとかなんだけど、めんどくさいから分かる範囲ではもうエメファイスって呼ぼう。うん。『ディス』だとディスってるとかなのか、何か別のものなのか、被りそうだしそのほうが良いだろう。


 名前はともかく、門が遠ざかる。日が高いうちから、夕日を手で隠しながら進むまで、とにかく西へ進んだ先に広大な建築現場があった。足場は高く、広く、組まれていて、一般の住居ではないことはひと目で分かる。

 郊外のショッピングモールというのも変だ。そういう文化じゃない。動力や道の敷設、価格などの要員で、車や馬車を気軽に乗り回せるわけではないのは俺も知っている。

 でかい店は素直に都会や観光地のような、そもそも人が多いか、乗りもので往来するような場所じゃなければなりたたないだろう、とユイが俺の予想に近い事を言った。


 その建築現場の近くに、テントが綺麗に整列する場所があった。簡易的なベッドが並び、怪我や病気をしているのだろう、前合わせの揃いの服を着た人々が眠ったり腰掛けたりして休んでいた。

 怪我なら少しでも役立てるかなと久しぶりに回復魔法の言葉を思い出しているとシェールに止められた。魔法を禁止している時代だからというのもあるが、人が多すぎて、見つかって酷使されたら滞在時間がどれだけになるか分からないからだ。知ってるけど、むずむずする。


 いつのまにかユイが居なくなっていて、遠くのほうで声がした。目当ての人物を探していたようだ。


 ユイは、十個ぶんほど離れたテントにいた。二つベッドがあって、夫婦らしきお年寄りの男女が居た。男女は、若い男女に食事を食べさせてもらっている。子供か孫かなと思ったが、枕元に飾ってある家族写真の子供たちと若い男女は、明らかに別人だった。

 若い男女は、ユイに気付いて挨拶した。ユイは遠慮なく波動を集めるために協力しろと言った。いい加減遠慮とかそういうものを覚えてくれユイさんよ。


 女性のほうが、終わってから話を聞くから待ってほしいといったので大人しく待っていると、老夫婦と別れた若い男女はそのまま別のベッドで食事を与えたり体を拭いたりしはじめた。そのまま俺たちは若い男女に続いてテントを回る羽目になったので、話が出来たのは夜中だった。話だけして、彼らのテントのそばで野宿した。


 翌日、俺たちが話をすると、女性は渋った。


「生命や魂の波動を集める魔法を使うと、患者さんたちの魂の一部も集められてしまいます。苦痛などから逃れようと、無意識に魂が付いていって亡くなってしまう人が出てしまうかもしれません。


 ですから、私とこの人から波動を集めるなら、少し離れる必要があります。今は、いえ、数日だけ待ってください。できれば、手を貸していただけないでしょうか。そうすれば、少しでも早く、お力になれるかと存じます。」


 俺とフェーニアはその場で頷き、シェールに嫌な顔をされた。ユイは、やはりどうでもいいと考えているようだった。


 朝食をとり、片づけをしていると白い割烹着のようなものを四枚渡された。広げてみるとサイズがよく分かった。その場で振り分け、鎧の下に着る厚手の服も脱いだ。

 寝巻き用にリアルから持ち込んだ長袖Tシャツに着替え、その上から割烹着を着た。白衣みたいなものだろう。襟を立ててボタンを留めると首まで覆える。地球のものよりまだ分厚くてごわごわするゴム製の手袋をつけ、袖を絞った。




 数日じゃ済まなかった。何日も、治療と衛生の為の消毒の繰り返し。化学薬品、浄化や炎の魔法で器具の洗浄や廃棄物の処理を行っていく。

 慣れない詠唱に、テンメイだったら楽だったなとか考えてしまう。詠唱がたどたどしくてもきっちりMPは減る。精神力が削られていくせいで、体の疲れが何倍にも感じる。


 受け入れたばかりの人々に話を聞くと、「古の王都から進んだ西の果てに、どの種族どんな奇病でも受け入れてくれる素晴らしい人が居る」という噂が、少なくとも東はエルシア国あたりまで伝わっているようだった。

 南は海峡を渡って『はじまりの村』の近くから来たという人が一人いただけだが、彼が居た村から近いエルフの港町のいくつかには伝わっているのではないかと話していた。


 一週間くらいか、エルフの魔法や、治療を受けたゴブリンやコボルトのような亜人種が呼んだ仲間たちによる人海戦術、気まぐれな波動生物の戯れで、日本にあっても大丈夫じゃないかと思えるくらいの深く強固な基礎ができ上がった。

 あとは、資材が集まるのを待って、病院本体を建設していくことになる。交替で休憩を取る間、なんとなく俺は建築現場を眺めるのが好きというか、なぜか心が落ち着いた。




 基礎完成から一ヶ月。これ以上は俺のリアル生活がヤバいとユイに言われて、一旦俺だけ一週間ほど『外出』する許可をもらった。シェールとユイも、俺が出入りする間だけは『外出』しなくてはならない。リアルの時間だと、二人は半日程度、俺は三~四日程度か。


 リアルの面倒くさいアリバイ工作やらあれこれを片付けて、長期滞在に備える。戻ると、病院の一角ができあがっていた。

 資材の受け入れを丸一日やった次の日、男女は、波動の提供を申し出た。男女とユイとシェールだけが離れ、海の見える場所で詠唱を行ったとだけ教えてもらった。

帯状疱疹は皮膚症状は治まってきました。痛みにたいしてはは薬が出るのですが、痒いのがつらいです。体力削られてるところに変な姿勢になってしまい肩甲骨辺りをひねりました……腕もばきっといい音がします。


リハビリ兼ねて数日前から書き溜めを再開してみたのですが、いつもの三分の一書くだけでぐったりになります。もうすこし経ったら体力づくりとかダイエット始める人みたいにウォーキングとかしよう。


次回の投稿は十月中になります。しばらくお待ちください。そのあとは未定です。

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