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転明記 VRMMOってどこでもこうなの?  作者: 朝宮ひとみ
7章 あがいてみた、あるいは、あがけなかった結果
54/100

47話 不安と疑心、安心と信用

7章に入ります。最初のエピソードとしてはエンディングを迎えます。

 開拓村エターに着いてすぐ住宅を購入したテンメイは、村を囲む防壁を魔法で強化・補修する仕事に就いた。ミミは村内の冒険者向け魔法学校の教師の補佐になった。他にも防壁の所々に設けられた見張り台に振り分けられたり、畑を耕したりと、仲間は分かれていった。


 決まった時間に仕事に出かけ、終わったら家に帰るという日常生活らしきものを手に入れたことで、多少心が和らいでいく。ミミとシュクレの希望で食事は出来るだけそろって食べているから、ちょっとした会話が少しずつ心を落ち着けていくこともあるし、互いの状況を知ることで村全体を知ることになる。


 ひと月経てば、生活パターンが十分に出来上がって、頭の中を恐ろしい考えや不安が占めていくのを防いでいた。魔法を学ぶ、あるいは学びなおす人は多く、ミミは自分の研究をする時間をわざわざ別にもらえるほどに忙しい。

 荒んだプレイヤーだけでなく魔物も増えたから、防壁や見張り台へ行ったメンバーも忙しさは日によっては負けないくらいである。家で待っているユウキは料理のレパートリーを増やし、掃除洗濯をまめにこなしたあと、ゆっくり休んでいるのが悪い気がしてしまい、大量の裁縫を受け取ったことがあった。後方支援が倒れたら困る、と言われてようやくやめるほどに熱心だった。


 ある日、シェールがテンメイたちを呼びに来た。『あの話』を直接聞いた人と、彼らから聞いた人をなるべく全員あつめたい。シェールはそう言った。

 二日後、集まった人々の前でシェールは


「杞憂になるといいんだけどさ」


前置きしてから、話し合いをしたいから集まってもらった、と理由を述べた。議題を大きなボードに書くと、できるだけ意見を出してね、といいながらぴょこぴょこ飛び跳ねる彼女を見て、テンメイは不安がよみがえってきた。


『三十年後ではなく、それより前に急に滅ぼされそうになったらどうするか』


 シェールは手を上げた人へ近づいて袖を引っ張り、ボードの前で発表させた。

 恥ずかしそうな人には、シェール自身がその場で聞き取って、代わりに発表し、ボードに書き加えた。

 一日言い合って、ボードには大きく分けて五つの提案があった。


・この村をより強化して粘る。村外へできるかぎり出ない。

・あの遺跡へ逃げ込む。手出しできないと思うから

・あえて世界中に散らばる。村は残った村民に任せる

・自然災害の場合は粘る/攻撃的なPCは情報が入ったら抵抗勢力に手を貸して先に潰す

・勢力を拡大し世界征服


 シェールは、全ての策を検討し手順を定めておくべきだと主張した。翌日から順番に纏めていこう、と言うと、そばにいた仲間が解散宣言を出した。




 全ての策について手順を纏めたあと、警報のサイレンが決められた。


「上手く機能するかわかんないけどね。村内まで侵略されちゃった状態とか、自然災害の場合村の外がどうなってるかとか分からなかったらもしかして逆効果かもしんないし。じこせきにんてヤツになっちゃうかな。」


 シェールは頭をかきながら軽く喋った。和ませようとかそういうのではなくて彼女の素の行動であるし、周りの表情は硬いままであった。比較的転送石や各地の知り合いが多いテンメイは、なるべく情報を集めておこうと思うのであった。

次回は2日に投下します。

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