42話 超古代文明かもしれない
ポイントがやっと300になったのに、ブックマークの作品を読んでから
戻ったらまた298に戻っていました。
なかなか298から増えなかったからすごく喜んだのにぬか喜びになってしまいました。
悲しい……。
ただでさえ強い魔物が出るのに、問題の山に近づけば近づくほど、さらに強くなっていく。あるいは、群れで出てくる。群れに囲まれてしまい、夜も半分ずつ交互に戦い交互に眠るはめにもなった。
好戦的な人はたいていファーレンとの戦闘に行ってしまっている。探検とか言って少しくらい声をかければ戦力になってよかったかもしれないとぼやいた人がいた。
それほど大きくない森のはずが、丸一日で数キロしか進めなかったりした。それでも諦めずに励ましあって進んだ。落伍者が出なかったのは、どうせここで帰りたいといっても、一人ふたりで出られるような場所じゃないからというのもある。
メニューもさらに死んできていて、転送石なしでの魔法転送は不安が残る。NPCの魔法ならばぐったりはしないだろうが、運悪くそんな強力な魔法使いを連れてはいなかった。
やっとのことで山まで来た俺たちは、山肌のちょうどいいくぼみを使ってキャンプを張った。まずはこの場所を中心に探索を開始する。調査班によると、山中と森に目印らしきものがあり、それとは別に、目的の場所である施設があるらしい。俺たちは同盟ごとに交代しながら山中を調べていった。
山中には、なぜか魔物は出なかった。人間と接した様子のない饅頭生物一匹と出会っただけで、他には山肌に低い草が小さな花を咲かせているだけだった。同行するNPCの学者に聞いても、新種というか地図のある範囲には生息していない植物だということしか分からなかった。
出会った饅頭生物にこちらの饅頭を接触させても、分かったことは最低一万年こいつは人間に出会っていないが、何らかの気配は何度かあったということだけだ。
人工物がある可能性が出てきたってくらいで、それが探している人物やモノかは分からないわけだ。津波の件で万能っぽく考えていたが差が激しいんだな。そう考えていたら近くの一匹に頬をつねられた。
「ばんのう の いきもの など いない。
にんげんが できたときに いた ほんものの かみさま も おまえたちのいう ばんのう では ないの。」
何で怒るんだよ。ったく。
山中の人工物はあっさり見つかった。しかし、森の調査はやはり難航した。出発からだと半年ぐらいか、山についてからでも十日ぐらいかかって、明らかに人工的に作られた扉のようなものが蔓や蔦に埋もれているのを見つけた。
扉の周りを払ってみると、SFっぽいビルの廃墟だった。何か文字らしきものが彫られていて、誰も読めなかったし意味なんて分からない。エレベーターについてる開閉ボタンに似た、三角のボタンが四つあり、話し合って開くボタンに似たほうのボタンを発見者が押すと扉が開いた。
用心のため、まずはその辺の石を拾って投げ込んだ。あっというまに光線が発射されて黒こげのできあがり、とはならない。飛び込んでいった饅頭を追いかけて捕獲し、俺たちは謎の遺跡?に侵入した。
ダンジョン攻略のようにマッピングしてもらいながら、俺たちはあっさりと進んだ。道は単純だった。円を描くような通路に、外周に向かって扉が並び、内周側には扉が二つあった。片方には階段があり別の階へ続く。もう片方を開けると巨大な空間に繋がっていた。先に三階くらい登った後、上るのをやめてひたすら地下へもぐった。真ん中の空間を見ると、上は扉が七階までしか見えず、逆に下はかなり地下深くまで貫通しているのが分かったからだ。
地下七階まで降りたところで一度休憩した。真ん中の空間への扉はなくなり、階段へ続く扉のみになっていた。外周の扉を適当に開けた部屋で食事と水分を補給した。入ったときからNPCの腕時計を頼りに休みながら何時間かかけて階段を最後まで下りていった。
地下20階近くになるか、ようやく突き当たりに扉が見えた。そこには小さな空間があるだけだった。何かが置かれていたり、壁にボタンやレバーなど、操作できそうなものもない。誰も異議を唱えず、唯一ある扉を開けて先に進むと、広い空間があった。
誰かが、さっきまでの真ん中の巨大空間の真下じゃないかと言った。きっとそうだろう。入ってきた扉のほかはつるっとした壁をしていて、天井も同じ素材のようだった。天井の高さはエルフだと人によって頭がぶつかるくらいなので、二メートル五十センチ弱か。この世界の建物の天井にしては低い。
引き返すにしても、先に休憩と今後についての話し合いをしようと話がまとまり、残った水をあおりながら座り込んだ。他の人も座り込んだり、荷物を椅子代わりにしたり、足を揉んだり、食事や睡眠を取り始めた。
小一時間くらいか、睡眠をとる人の寝息やいびきに慣れてきたくらいのことだった。ドン、と下から衝撃があり、部屋が揺れた。起きている人が身構えていると、もう一度同様に揺れた後、小刻みに揺れ始め、部屋全体が下降し始めた。来るときの扉が開かなくなった。
下降している間の揺れは少ない。まさにエレベーターの動きだ。下がりきったのが、ごうん、とひときわ大きな衝撃音が一度。あとは足音や衣擦れ、金属の音など、俺たちが出している音の他は何も聞こえなくなった。そして、
突然壁が消え、俺たちはさらに広大な空間に囲まれた。城壁を作る煉瓦のように機械が積み重なり、人のささやき声程度にずっと駆動音が響いている。俺たちが呆然としていると、古いコンピュータの合成音声のような性別の分からない声がした。
「あなたがたは誰ですか?なぜ、ここへ来たのですか?」
次回は17日に投稿します。




