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転明記 VRMMOってどこでもこうなの?  作者: 朝宮ひとみ
第6章 世界が終わる前に
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41話 未開の旅路

 俺たち三十人+αは調査という名目でタニーアから南下し、各地のエルフの港町へ寄りつつ、大陸に沿ってできる限り南下し記録を残すという旅に出る。途中からは地図がなく、三十人と船員のほかに『フィールドマイスター』の人を連れている。


 この世界の地図は、人間が住む大陸の北半分と、狭い海峡を挟んだ南側のごく一部しか記載されていない。前から利用しているエルフの港町は、地図のかなり下方にあり、ぎりぎりだ。


 港町が点在しているとはいえ、内陸に入ってしまうとエルフの集落もないからまさに前人未到の地と言える。

 一応人間はいるらしいが、地球のアフリカ人をちょっと昔の部族っぽいステレオタイプで想像してさらに極端にした感じだと、フィールドマイスターの人から聞いた。クエストの『はじまりの村』から乾燥した土地を南に辿っていった際に、黒人というより赤い?肌に墨を塗ったような人がいて、手に持っていた筆記具や紙を狙って槍を投げてきたらしい。


 NPCのなかでは同じ人間ではなく野人とか野蛮な種族という扱いだ。もっとも、あちらから見たら自分達の見た目と違う人々は侵略者や人間以外の何かに見えているようだが。

 単に不干渉を貫いているのであって、差別感情といっても地球上よりはずっと良好な関係だろうな。


 ひと月かけて、最後の港町へたどり着く。たっぷり休息をとり、準備を整えなくてはならない。見慣れた町よりもずっと小さい町だが、これから砂漠や森を抜けることを思えば、素晴らしい都のようにさえ思えるようになってきた。出発して、実際に森へ入ると、特に。




 数日かけて森のなかの、少し開けた場所に出た。人為的に開かれた場所のようだった。人がいないか、注意深く確認しながら進む。ところどころに、小さな公園程度の大きさに開墾というか樹を切り倒して根をほじくり返した場所があった。人がいないところもあったし、現地民がこちらに気付いて投擲武器や石など手近なものを投げつけてきたところもある。


 森は、熱帯ぽいがダンジョンのある別大陸の熱帯雨林と少し樹の種類や割合が違うように見える。野生動物や魔物もいた。俺たちは野営するときには魔法できっちり防御結界を作り、落とし穴を掘ったり、枝を削った簡易な棒でわなを作って、きちんと数人ずつの見張りを立てる必要があった。


 フィールドマイスターの人が星を見てだいたいの位置や向かう方角を確認してくれるのと、何人かで目印をつけているから今のところ迷子になる心配は無かった。それでも、単純にまっすぐ進めるわけではないから、楽観視は出来ない。




 森を一旦抜けると、抜けてきたその森とその上空しか見えない岩砂漠が広がっていた。エアーズロックの写真みたいな赤茶けた土と岩肌がところどころにあり、日が沈む頃に大きめの岩があればそこで野営した。


 森でやった安全策に加えて、エルフやゴブリンの商人から教わったさそり避けの草を焚き火に放り込んで、灰を丁寧にまいて安全圏を作った。

 さそりの毒を直すには最高位の回復魔法か超レア素材で出来た高額な薬を使うしかないが、そんな予算やMPはない。せめて具体的な目的地が判明しそこへつくまでは、限りなくリソースは温存する作戦だしな。さそりの毒の薬はそれにしか効かないが、さそり避けの草は、さそり以外の虫や動物もいくつか忌避してくれる。


 どうやらこのあたりは、先ほどのような植生の森か岩砂漠かサバンナしかないようだった。森と岩砂漠を交互に、たまに砂漠を抜け、それを繰り返した。




 大陸の東西を半分くらいまで来たらしい地点で、少し植生の違う森に囲まれた山を見つけた。その森に入ると、魔物や野生生物の強さがまるで未来世界並みの強さだった。

 迂回も考えたが、連れている饅頭生物が変なものがあると言いだしたことと、ノートを確認していた調査班メンバーが、山を調べたいと言い出したので、目的地はこの先かもしれないという期待を抱きつつ、そのまま森の中へ歩を進めることになった。

次回は1月15日に投稿する予定です。

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