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改訂版に移行の為封鎖します  作者: 秀丸師匠
第二章 ~入れ替わり成り代わりな日常~
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第14話 「なんか隠し事、してるでしょ」(4月23日前編)

物語は第2章に突入!

しかし特に何かが変わるというわけでも無いようです。

さて、昨今の学校教育の中でも問題視されていてかつ、世間一般に知れ渡っている物は何であろうか?

それはやはり『いじめ』ではなかろうか。例を挙げよう。

クラスがある。そのクラスの中で一人、何らかの理由で浮いている奴が居る。そして同じクラスの中に少々攻撃的な奴が居る。するとそいつは浮いている奴に対してちょっかいをかける。そして大概そんな奴の周りにはそいつをリーダー格にしたある種のグループがある。そいつらもリーダー格に習ってちょっかいを出し始める。浮いている奴っていうのは静かな奴が多いから最初は軽く受け流していく。リーダー格のそいつはそれが気に食わなくてさらに強めの攻撃を仕掛ける。グループの奴らも攻撃をする……。まぁこれが一番オーソドックスな『いじめ』の始まりではなかろうか。

いじめにはいくつかの終わり方がある。クラスのいじめていない正義感のある奴が先生にいじめの報告をする。いじめの主犯のグループが飽きていじめを辞める。等々…。

そして数あるいじめの結末として最も問題視されていて、最も被害者にとって一番楽に見える結末は

                 


自殺  


と言えるであろう。


なぜ急に『いじめ』の話をし始めたのか?それは昨日の一件を受けてふと、俺が思い出した話を語る上で必要だと、そう俺は思ったから俺はこんな前置きをした。さて、ここからが本題だ。と言っても単なる昔話である。しかも数年前のお話だ。これは『実話』である(俺が関わったかどうかは置いといて)。

ある男子校に一人の中学生がいた。そいつは運動が得意でも無く勉強が出来るわけでも無かった。特別目立つ行動をするでも無くいたって平凡。クラスでも、数あるグループに入っているわけでも無く基本は一人でいることが多かった。友達も多くはいなかったが仲の良くなった友達もいた。ここまで聞いたら何となくああ、こいつはクラスでいじめられたのか、と思うかもしれないが、彼はクラスではいじめられなかった。つまり彼はクラスでは普通の学生生活を送っていたのである。




彼のいじめは部活で行われたのである。

彼はある運動部に入っていた。彼がそのスポーツをやり始めたのは中学からだったがそのスポーツと彼の相性は抜群に良かったようで、運動が得意とは言えない彼だったがなんと全国クラスの実力を持つまでになった。

元々そのスポーツにおいては強豪でも、弱小でもない部活であったが彼が入部して1年後にはなんと全国大会に行った。そして彼自身も個人戦において中学2年生にして全国に行き、上位に入賞したのである。

彼はいわゆる、『天才』の類だったのかもしれない。周りからも褒め称えられ、期待され、まさにその才能を開花させていこうという時に


彼はいじめられた



中学2年生の時であった


いじめたのは部活の3年生。先輩達であった。そして同期である2年生もまた、いじめに加担したのである。

理由は恐らくは『嫉妬』であったのだろう。3年生からすれば後輩のくせに自分達よりも上手くてもてはやされているのが妬ましく、2年生からすれば同期なのに、同じ時期に始めたのに差がどんどん広がっていく、そんな彼が妬ましく、そして邪魔に見えたのだろう。そうして、そんなきっかけから彼はいじめられていった。

他のいじめの例に漏れず彼へのいじめは段々エスカレートしていった。最初は嫌がらせ程度だったものはやがて傍から見ればかなり酷なものへと変わっていったと思う。当然、彼の心もひどく傷つけられやがて最終的に彼がとった行動は……






最終的に彼がどうなったのか。それがまぁ、今回のこの『物語』での結末に繋がっていく。そう俺は思っている。






さて、話は変わり4月の23日、すなわち神社の出来事の次の日である。

あの出来事の後、それぞれの家(すなわち宇月原の身体に入っていた俺は宇月原の家)に帰り、寝た次の日にはまた元の身体に戻っていた。

あの神社の神様的存在の奴からある程度話は聞いた。が、それでも急に起きたあらゆる現象に理解が追いつかないまま、何が起きていても別に学校に来れなくなったわけでは無いのなら学校に行くしかあるまい、と何だかんだと考えながら学校に来た。と、いうのが今朝の出来事。


ではここら辺で俺が話をしている現在の時間に戻すとしよう。

時刻は昼休み。学校での昼休みといえば何をする時間だろうか?

大体の人はこう言うのでは無いのだろうか。そりゃあ、昼食を食べる時間だろう、と。それは正しい。そして俺もその回答に習い、昼食を今、まさに食べているわけだがその状況が少しいつもと違った。ではここでさらにもう一つ質問をしよう。


俺は今、誰と昼食を食べているだろうか?


ヒントその1、クラスで食べている。

ヒントその2、なんと女子と一緒に食べている(入学一月も経っていないのになんということだ!)











ではそろそろ答えを言おうか。





答えは名前も知らないクラスの女子と2人きりだ。

こちらの机に相手から来て前の机の椅子を借りて対面して座って食べている。

なにその状況羨ましいとか思うだろうが俺としてはちっとも嬉しくない。というかさっきからかなり緊張している。と、言うのもまず一緒に食べている相手は俺の知らない人だ。しかし彼女は俺を知っているらしいのだ。というか知っているのだろう。口ぶりからして友達らしいからな。しかしこちらは相手の名前すら知らないのだ。先程から相手は話しかけてくるのだが相槌を打つくらいしかさっきから出来ていない。

そしてもう一つ、俺が今嬉しくない理由がある。というかそちらがより嬉しくない理由だ。



その理由は俺が今またしても宇月原真秀の身体になっているということである。つまり今の状況を説明するのであればまず、授業中に昨日の事を思い出しながらぼーっとしていたら急に視界が暗転して気が付いたらまた宇月原真秀になっていた。流石に今度は声を上げたり立ち上がったりしなかったが俺はこの姿でもまたぼーっと考え事をして午前中の授業をやり過ごした。そして授業が終わり昼休みになり、宇月原真秀の机に、宇月原真秀(の身体の俺)と向かい合うようにして宇月原の友達と思われる女子が座り、昼食を食べている、というわけである。ちなみに2人とも弁当だ。授業が終わり昼休みに入った直後、彼女からこちらにきて「真秀っ、一緒に食べよー」と言って対面に座り(目の前の席の奴は昼休みが始まってそうそうに何処かに行ってしまった)そして2人で昼食を食べることになり、今に至っているというわけである。




そして彼女との会話に物語は戻る…



「でねー、昨日の話ではなんと父親が怪盗である事が解ったんだよ!いやー、来週が気になるねぇ!」

「ふ、ふーん。そうだね……」彼女が話しているのは昨日から始まった新番組のドラマの内容のようだ。主人公は探偵であり、あらゆる事件を解決してきたが新しい事件の調査をしていたところ、それがどうやら犯人が自分の父親である事が解ったらしく父親に問い詰めたところ、父親は世界を騒がす大怪盗であった…、というのが昨日の話らしい。実に王道で面白そうだと思う。見てはいないけど。

「ねぇ、真秀聞いてるー?私の話ー」

「………聞いてるよ、うん」食事を初めてからずっと考え事(昨日の事を含めて今の現状をどうするかを考えている)をしているのでさっきからどうも俺の返事は適当になっていたようである。だからだろう。彼女は突然こちらを真顔でじっと見始めた。

「………やっぱり変」そして突然そんな言葉を言った。

「………な…ナンノコトカナ…?」急に真顔になってそんな事を言ってきたので思わず目をそらして片言で返事をしてしまった。

「だつて真秀、さっきから何か考え事してるみたいで上の空だし。私の話全然聞いてないし」

「そ、そんなことないよ!」とは言いつつ内心冷や汗書きまくりである。彼女はどうも俺が考え事をしていた事を見抜いていたらしい。なんとなく最悪の事態を考えてしまう。

「でもなぁ……。ほら、真秀昨日とかもなんか様子おかしかったし、なんかなぁ……」

「……な、なんかって何かな…?」この状況で質問をしたのは間違いであっただろう。ただ、俺も少し焦っていたので思わず質問してしまった。

「……真秀、なんか隠し事、してるでしょ」

「………!」この時点で俺の緊張はかなり高まった。この時点で俺が考えたのは彼女が俺の正体(中身が別人的な意味での)に気が付いた可能性だ。いや、普通に考えればそんなことまずありえないから考えつかないのだがどうも最近異常なことが起き過ぎたせいでこんな考えに至っていたのかもしれない。

「もしかして……」

「……」とりあえず弁当を食べて普通を装う。しかし焦らすのは辞めてほしい。ほんとに気付いたのか冷や冷やしてしまう。

そして彼女は口を開いた。

「………もしかして、太った……とか?」

「………………いや、それはないです」思わず固まってしまった。まぁ、普通ならせいぜいこんな事しか考えないだろうからまぁ普通の考えなんだが自分にとってはかなり予想外だったからつい思考がとまってしまった。しかしこれでどうにか最悪の事態は避けられたなと安心する。

そして再び弁当を食べ始める。

「うーん。流石にそれは無いかぁ…。まぁ普通にお弁当食べてるしねぇ。あ、それじゃあ彼氏が出来たとか!」

「…なんかどんどんありえない方向に行ってるな…」どうも彼女はお気楽な性格であるみたいだ。彼女はまたいろんな予想を俺に言ってきたが適当に流しながらとりあえずその場は乗り切ったのであった。


さて、ここら辺でとりあえず俺が今現在知っている彼女の事を話しておこうかと思う。と、いってもほとんど知らない。名前は未だ不明、宇月原真秀とどういう関係なのかも不明。しかし話し方からして友達では恐らくあるのだろうと思う。

身長はどうも宇月原真秀よりは高いようだ(前に一緒に歩いた時に自分よりも背が高かったような気がするから)。顔はまぁ、可愛いほうでは無いのだろうか。髪型は短い。俺は髪型なんて知らないからなんて言えばいいのか分からないがまぁ、短い髪だと思う。耳は見えてるし。肩まで無いし。体格はまぁ、普通だろう。

胸は……おおっといけないいけない。あまりこういうのは語ってはいけないかもしれない。もしかしたら本人気にしてるかもしれないし。

性格は先程からも分かる通り明るいのだろう。クラスにひとりはいるいわゆるムードメーカーみたいな、そんな性格に俺には見えた。表向きには明るく振舞ってる。まぁ、そんなところなのだろう。というのが俺個人の感想であり、俺が今知っている彼女の特徴である。




閑話休題





話は昼休みに戻る。

「そういえばさ!真秀、部活の件は考えてくれた?」彼女はそんな事を聞いてきた。

「…部活?」当然、何の話かもわからない俺は聞き返すしかない。

「ほら、あれだよ。『文芸部』に入部するかどうかの話。一緒に入らない?って聞いたじゃん」

「そ、そうだっけ?」おや、以外にも彼女と宇月原は文芸部に入る相談をしていたようだ。彼女の見た目からはてっきり運動部に入りそうだったのだが。バスケットボールとか。

「そうだよー。忘れないでよー。…でどうなの?入ろ?入ろ?」

ここで俺は考える。さて、どうやら彼女と宇月原は文芸部に入部するか考えていた、というよりは彼女が文芸部に入りたくてそれで友達である宇月原に一緒に 入らないか、と誘っているようである。これはまぁこの前俺も佐藤に部活に誘われたし、同じものだろうから適当に流すなり了解するなりすればいいだろう。しかしここで問題なのが果たして宇月原真秀がどちらの意見だったのかという事だ。宇月原は文芸部に入る意思があったのか。それとも本当は入りたくなくて断るつもりだったのか。どちらの意見なのかによって俺は彼女にどのように返事をすれば良いかが分かれる。しかし俺は宇月原がどちらの意見だったのかを知らない。そして今から知るすべもない(今頃宇月原は俺の身体にいるだろうからだ)。だから俺は考えることにした。時間はわずかであったけど俺としてはじっくりと考えて、

そして結論をだす。


「…いいよ。文芸部、入るよ」入部の方にした。恐らく宇月原と彼女は昔からの友達だろうから、そうだとすればその友達と一緒の部活に入りたいだろうとそう考えたのである。

……が、結果としてこの判断は間違いであった事を直後に俺は知った。というのも宇月原の友達であるのだろう彼女はこう言ったのだ。


「…ほんと!?やった!いやー、考え直してくれたんだー。昨日まではどの部活にも入らないって言っていたのにー。あ、もしかしてなんか隠し事してたのってもしかしてこの事だったの?」





さて、どうやら俺は重大なミスをしてしまったらしい。

そしてこれが、俺の2回目の高校の部活への入部になり、そして結果的にいろんな運命的な出会いをする事になるとは、この時の俺には到底わかるものではなかったのであった。








続く


分割した部分はまたしても先送りにされた!なんということだ!

というわけで秀丸師匠です。我ながら早い投稿です。

さて、物語は第2章に入ります。秀信くんの日常を追いながら、話は急展開で進んでいきそうです。次回には前話で分割した分の話が入ります(意味深な展開で終わってますからね。その続きです)

では次回もどうか読んでやってください


ではでは

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