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改訂版に移行の為封鎖します  作者: 秀丸師匠
第一章 ~日常の中の非日常~
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第10話 [なぜ、彼が物語のfirstとなり得るのか?](4月18日後編)

前回の後から話は始まります。

 放課後

 それは学生の様々な活動がある時間。部活で汗水垂らして頑張る奴、図書室で本を読む奴、一目散に家に帰る奴(別名、帰宅部)、友達と軽食店に行く奴、はたまたゲーセンに行く奴、まじめに勉強する奴。かくいう俺も今から弓道同好会という部員こそ少ないがやる気だけは誰にも負けない、そんな部活で仲間と一緒に青春の一枚を作りに行くのである。




 なーんて事は無く(今のはなんだとか言うな)今日も俺はさほど乗り気では無いのだが佐藤に引っ張られて道場に来ているのである。…てか昨日も部活あったよな?なんで同好会なのにこんなに活動日があるんだ?

 「それはこの部活が伝統ある部であり、さらに運動部であることなどから顧問の先生にお願いしてみたところ、特別に許可されたからなのだ」と胸を張って言う佐藤。

 「なるほど…」てかさっき俺口に出して言った覚えが無いんだが…。

 「因みに先生に頼んでしてくれたのは土御門だ」佐藤が付け加えるように言った。

 「お前じゃないんかい」あたかも自分の手柄のように言ったくせに…。

 「佐藤さんに頼まれましたので」と土御門。

 「まぁ、俺が言うより土御門が頼んだ方が確実だと思ってな」…たしかにな。




 「さて、この道場の掃除も終わり、使えるようになったし、土御門のおかげで活動日数も確保できた。いよいよ弓道同好会始動だーー!!」

 「おー(棒)」

 「頑張りましょう!」

 「お、おー…」佐藤の言葉に続いてそれぞれがそれぞれの反応をした。まぁ、誰がどれかは想像にお任せします。

 そして道場に座り、今後について話し合うことにした。

 「まず、活動日だが、週4日、月、火、木、土になった」佐藤が話し始めた。

 「休日もあるのか」本格的だな…。

 「まぁ、土曜日に関しては一日では無く午前か、午後の半日になるだろうな」

 「なるほど」まぁ、そんなもんか。

 「そして活動目的というか目標は…、当面はみんなで仲良く楽しく技術を向上させよう!…だな」

 「他にあるのか?」一応聞いてみた。

 「もちろん!」佐藤は急に立ち上がり高らかに宣言した!

 「部員を5人以上に増やし目指すは全国大会インターハイ!!」

 「ぜ…全国ですか…」しかし水谷はあまり乗り気ではなさそうだ。

 「む、水谷どうした。行きたくないのかっ。全国にっ」佐藤はそんな水谷に檄を飛ばした。

 「ぜ、全国には行きたいんですがその…。私…弓道やったことありません…」そんな佐藤に多少びくびくしながらそう言った。

 「む、そうか俺たちがどの位出来るのかをしっとく必要があるな…」と佐藤。

 「水谷さんは全くの初心者?」佐藤に変わって聞いてみた。

 「はい、ほとんど何も知りません…」と水谷。

 「そうか…。土御門さんはどう?」

 「私は部活ではやっていませんでしたが個人で少しやっていました」

 「おお、それはすごいね」弓道を学生が、しかも中学生が個人でやっているというのは珍しいな。

 「あの、二人は中学では弓道をやっていたんですか?」水谷が聞いてきた。

 「おうよ!俺はあんまし上手くないが秀信はエースだったんだ!」佐藤が答えた。

 「そ、それは凄いですね!」

 「そんなこと無いよ。うちの部活が部員が少なくて良いメンバーに恵まれなかったからさ」何となく気恥ずかしくなってそう言い訳をした。

 「でもお前最高で18中じゃん」

 「18中?」水谷が聞いてきた。

 「あぁ、弓道ではな、練習とかでは4本一組で打ってそれを5本セットにして計20本の中でどれだけ当たったかを記録するんだがこいつは20本中18本当てたことがあるのよ」

 「それは凄いですね!ほぼ全部当たってるじゃないですか!」水谷は敬意の目で俺を見てきた。

 「あと、一応俺たちの部は全中には行くくらいの実力があったぞ」佐藤が付け加えた。

 「じゃぁ、日下さんは全国でもトップクラスの選手だったんですか!?」

 「そうでも無いよ…。もっと上手い人はいたさ」

 「私も上手くなれるかなぁー」水谷が夢を見るような感じで言う。

 「きっとなれるよ。俺もなれたし」そう言って励ます。

 (ちなみに俺と秀信は中学から始めたが俺のベストスコアは12中だ)

 (え…、じゃあ日下くんって才能ある?)

 (多分な…悔しいがな)後ろで佐藤と土御門の二人が話していたがよく聞こえなかった。

 「じゃぁ日下さんっていろんな学校から推薦来たんじゃ無いんですか」水谷が俺にまた質問してきた。

 「あー…。俺、中3の途中から部活やってなかったんだ」

 「??何でですか?」水谷は特に悪意も無く聞いてくる。

 「それは…」それは別に悪いことでは無い。なぜなら彼女は知らないから。だからその質問をした彼女を責めることは出来ない。だがその質問は俺にとって嫌な思い出を蘇らせるには十分だった。

 「それは秀信が怪我したからさ」すると佐藤がその質問に答えてくれた。

 「怪我ですか?」

 「そ、こいつ弓道やってて怪我しちゃってなー。やむを得ず辞めちゃったのさー」

 「そ、それは大変でしたね…。すいません、無粋な質問をして…」水谷はまじめにも謝ってくれた。

 「まぁ気にしてないからいいよ」そう言いつつ佐藤に目線でありがとうと言った。すると佐藤は(別に良いさ)と返してきた。しかし佐藤には嘘をつかせてしまったな。…いや、嘘ではないか。佐藤は事実を言ったに過ぎない。それがどこまで言ったのかは別だが。確かに俺は怪我が元で部活を辞めた。しかしどんな理由だったかは…。いや。そこまで思い出す必要はない。

 「……」何となく無言になってしまった。

 「ま、だから俺は3年間弓道をやってたからこの中では1番経験が豊富だなっ」急に佐藤が元気な声で話し始めた。おそらく空気を読んでくれたのだろう。こいつは時々気が利く良い奴でもある。

 「だから分からないことがあったら俺に聞きたまえっ」

 「はい!宜しくお願いします!」水谷もそれに答えていた。

 (あれ?でもそうすると日下くんのスコアは中二の時に出したの?)

 (あぁ…)

 (…佐藤くんは?)

 (中三ですよ下手で悪かったね!)そしたらまた後ろで佐藤と土御門が話していた。よく聞こえなかったが佐藤はどうやら泣いてるようである。どうした。





 結局その後は練習はやらず初心者の水谷に弓道の基本をレクチャーする事になった。…ホントに活動してないんだが大丈夫かこの部活。

 そして大体の説明をし終えたらまた夕方になってしまい。今日も解散となった。佐藤が今度の土曜こそ活動するぞ!と言って土曜日は朝から活動することになった。俺的には午後の方がゆっくり寝れるからいいんだがな。

 そして4人そろって帰宅する。とは言っても駅までだが(みんな家の方向が違うのだ)。

まだ出会って数週間なのにそうやって帰っているとまるで昔から仲の良い4人組みたいで、佐藤のギャグで水谷や土御門が笑っているのは本当に仲が良いように見えて。だから何となくちょっと昔を思い出して卑屈になってしまう。

 俺たちは本当に仲がいいのか?


 表面的に取り繕っているだけだったら?

 

 本当は水谷は、土御門は、そして佐藤は―



 俺のことが嫌いなのでは?



 そんな考えが頭を過ぎっていく。

 こいつらは信用して良いのか?でも本当は疑いたくないのかもしれない。だからあの時俺はもうあまり人と関わらないようにしようと決めたんじゃ無かったのか?ではなんでここに居る? 


 それは佐藤が誘ってくれたからだ。


 でも佐藤は本当に、好意で誘ってくれたのだろうか?



 …いや、考えるのはよそう。考えてしまうとこの気持ちが薄れてしまう。

 俺はあの時俺自身に誓った。



 俺の心を知る人は俺だけで良い。







 ……[少年は一人で歩いている。隣に人が居ようとも]

 ……[このままでも良いか]

 ……[このままでも良いだろう。しかしここで動けば奴に一泡吹かせられる]

 ……[だから繋げたのだ。この少年とあの少女を使って]

 ……[是は我々の倫理に反するか]

……[反するだろう。そしてその少女は動くだろう]

……[それは我にとって利益になり得るか]

……

……[分からない。が]



[それも又、一つの余興だろう]





今日もまた、蟬は鳴いている




続く


どうも秀丸師匠です。師匠とか名乗っていますが全然そんな風ではありません。

さて、やっと物語の転の部分にさしかかってきました。なんか分かりにくい文ですがこれからも宜しくお願いします。

 次回もそこまで話は進展しないかもしれないです…。でも頑張って行きます。

 では次回も宜しくお願いします。

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