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改訂版に移行の為封鎖します  作者: 秀丸師匠
第一章 ~日常の中の非日常~
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第8話「麗しき果実が……欲しい…」(4月17日後編)

あらすじ

今回は新しい子が登場するよっ。やったね

結局、佐藤にはかなり無理な言い訳と知らぬ振りを徹底して行い、なんとか誤魔化すことができた。

しかし驚いているのは佐藤だけではないのだ。自分もさっぱり分かっていない。昨日の俺は確かに(俺が間違ってなければ)女子だったのだ。…自分でも何言ってんのこいつ?って感じだ。いまだに信じられない。あれは夢だったのだろうか。しかし、夢にしてはやけに鮮明に覚えている。…べ、別に風呂とかのことを言ってるんじゃないんだがな。そして今日佐藤から聞いた俺(男)の謎の言動だ。俺に悪霊でもついてるんだろうか。それとも


俺がなっていた女子と俺とが入れ替わっていたとかな。


…………まさかな、それはいくらなんでも不可能だし非現実的だ。






そんなことばっか考えていたからその日の授業は全く頭に入らなかった。昼は佐藤と学食に行った(ホントに奢らされた)。

そして放課後。

授業が終わりおもむろに帰ろうとしていた俺のところに佐藤が来た。

「おい、お前何帰ろうとしてるんだよ」

「……そりゃあ授業が終わったからに決まってるだろうが」

「おいおい、先週言ったことすらも忘れたっていうのか?」あきれ顔の佐藤。なんかウザイな。

「……なんか約束でもしてたか?」

「ちっちっち」そして思いっきりドヤ顔で

「部活だよ、ぶ、か、つ。今日から早速、弓道同好会始動だぜ!」と言った。…そういやそんなもんあったな。完全に忘れてたわ。ていうかその顔止めろ。いらっとくる。





場所は変わって弓道場。




「いやー、やっぱりここ来るの大変だなぁー。もうちょっと良い場所無かったのかね。ここまで来る途中にある階段。下る分にはまだ良いけど、昇るとなるときついよなー」と佐藤。

 「まぁ、な」一方で俺は少し息が上がっていた。…いや、俺の運動神経が無いんじゃ無くて佐藤が速かっただけだからな。ほぼ走るペースで300メートル弱はあるんじゃ無いかって言う量の階段を一気に下ったんだ。さすがに息も上がるよな?少しぐらいは。しかしそんな様子を見せない佐藤は満足そうな顔をしながら話を続けた。

 「それにさぁ、なんか周りが森だから夏になると蒸し暑くなって大変そうだな」

 「…」こいつ人間じゃねぇ。

 「ん?どうした?まさかあれくらいで息が上がったのか?はっはっは。だらしねぇな」

 「それよりもさ」

 「ん、なんだ?」息も整ってきたので気になっていたことを聞く。

 「なんで昨日は部活しなかったんだ?昨日もできただろう?」

「昨日はいろいろと部の手続きがあったんだよ。ほら、この部部員居なかっただろ?だから俺が部長になるって事を生徒会に提出しなくちゃいけなかったからさ」

「ああ、なるほどね」

「本当ならお前は副部長になるから一緒に行こうと思ってたんだけどな。お前昨日一目散に帰っちゃうしよ」

 「ああ、悪かったよ…。って俺が副部長?」いきなり言われたことに驚いた。

 「ああ。ほら、部長だけだと何かあったときめんどくさいだろ?だからお前にやって貰うことにしたわけ」

 「い、いや無理だって、俺にそんな肩書き似合わないって。それに…ほら、他の人にやって貰えば良いじゃないか」

 「他の人って誰だよ」

 「ええと…あっ、ほら土御門さんとかに」俺はこの前にここであったクラスメイトを思い出す。

 「あら、私がどうかしましたか?」

 「うわわっ!?」いきなり後ろから声がしたんで思わず飛び上がってしまった。慌てて後ろを見ると、

 「あら、驚かしてしまいましたか。ごめんなさいね」そう言いながらほほえんでいる土御門白百合とその後ろにくっついている女子の二人組がいた。



 「ええと、そっちにいる人がこの前言ってた土御門さんの友達か」さっきの会話から少しして二人に道場に上がって貰い。おもむろに座って佐藤が切り出した。

 「はい、私の中学からの友達の水谷(みずや) 金成子(きなこ)です」そう言いながら隣に座っている女子をつついたら、

「え、えと…。水谷金成子です。よ、宜しくお願いしますっ」そう言って水谷さんはぺこりとおじぎをした。

「水谷さんは弓道同好会に入ってくれるんだよね?」と佐藤。

「は、はいそうです。…全然弓道について知りませんがどうぞ宜しくお願いしますっ」水谷さんはどうも人見知りらしい。さっきから佐藤と目を合わせようともしないしかなり緊張しているみたいだ。

 「うむ!弓道を愛する者は皆仲間!初心者だろうが大歓迎だ!」いや、彼女弓道を愛してるとは言ってないだろ。しかし、そんな佐藤の言葉を聞いているのか聞いていないのか、彼女は小さな声で「宜しくお願いします…」と言っていた。

 「それよりも、佐藤。さっきの話はどうなんだよ」とりあえず切りが良さそうだったから佐藤にさっきの話を振る。

 「さっきの話って?」すっかり忘れている佐藤だった。

 「ほら、土御門さんに副部長やって貰えば良いじゃないかって話」

 「ああー。あれか。そのことなら土御門さんには無理だ」と佐藤。

 「…何でだよ」

 「土御門さんには別の役職をして貰おうと思っててさ」

 「私が…役職ですか」と土御門さん。

 「そ。出来れば主務をやって欲しいんだけど良いかな?」

 「それは…まぁ、構いませんが…」特に嫌そうではなさそうな様子だった。

 「よし、それなら、お願いします。…と言うわけだ」と佐藤。

 「…つまり土御門さんは主務をやって貰うからだめだと」

 「そ。だからやってくれよー」手を合わせながら頼んでくる佐藤。…さすがに水谷さんには来たばかりだし頼めないな…。

 「仕方ないか。分かったよ。やってやるよ」

 「おう!頼むぜ!」…でもこんな同好会程度の部活にそんな役職必要なのかね。

 「これでだいぶ人もそろってきたな」と佐藤。

 「でも部活になるにはあと一人足りないぜ?」

 「それはこれから探せば良いさ」と佐藤。

 「…そんなに簡単に見つかるか?」

 「さあ?いつか来るんじゃない?」

 「おいおい」

 「まぁ、とりあえずはこの四人でも十分活動できるからな。大丈夫だろ」

 「まぁ、それもそうか」

 「でもどうせなら…。もう一人も女子。そう…麗しき果実が……欲しい…かな…」

 「おい、麗しき果実ってなんだ麗しき果実って」なんか悟ったような雰囲気で謎な発言をしたぞこいつ。

「「………」」おいおい、向こうの女子二人とも引いてるぞ…(俺もだが)

 「まぁ今のは冗談として」

 「ホントに冗談かよ」

 「ふっ、それは俺のみぞ知る、だ」きらっとか音が出そうな感じでそう言ってきた。

 「…」

 「とにかくっ。これから弓道同好会始動だっっ!!!」

 そんなこんなでひとまずの所のメンバーも集まり、この小さな谷の下にあるやや大きめの道場での部活が始まったのだ。




 


 その後、四人で道場の掃除をした。これがまたずいぶんとほこりをかぶっていて大変だった。床を拭いたり窓を拭いたりといった簡単な掃除しかしなかったのだがすべて終わる頃には日もとっぷりと暮れてしまっていた。

その後四人でかつて俺が一人で通った道を通って帰った。途中で例の神社へ続く道があるところも通った。しかし今回は四人だったしかつてのあの惹かれるような雰囲気は無かった。だからそのときは気にもしていなかった。そして佐藤と話していた。だからそのときに聞き漏らしてしまった。いや、もし聞いていたとしても聞き間違いだと思って気にもとめなかっただろう。でもあの時確かに聞こえていたのだ。もしそれを聞いていてそして理解し、警戒していれば、せめて心の準備くらいは出来ていただろう。

そう、あの時あそこでは









季節外れにも程がある、セミ―ひぐらし―の鳴き声が聞こえていたのだ。














そして俺の隣にいた少女はその神社に続く道を、セミの声をはっきりと聞きながら、


  


じっと睨んでいたのを俺は知るよしも無かった。










続く


 どうも、秀丸師匠です。

 今回は少し早めに完成しました。いやー、少しずつ物語になってきているんで書いてて楽しいです。

 さて、今回は新キャラ登場でした。なんか食べ物みたいな名前ですね(笑)。余談ですが作者はきなこパンが大好きです。かつて長野に行ったときに旅館で食べたきなこパンが美味しくてそのときは朝食にもかかわらず6個食べましたよ(笑)。

 …さて、新キャラが出てきて思ったんですが最近木村さん出てきてませんね。次回はそこら辺を書いていきたいです。

 では次回第9話(4月18日)でお会いしましょう。

 ではでは


PS.レビュー、感想、ご意見などがありましたら是非宜しくお願いします。誤字報告でもオッケーです。ぜひ宜しくお願いします。

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