ヌヴェル47 赤色を浴びせてあげた
理沙は夫のDVに苦しめられていた。
何度も逃げようとしたが、すぐに居場所を突き止められ、連れ戻された。
理沙はDV被害者支援団体に救いを求めた。
避難するシェルターの確保にも目途がついた。
そのうえで、理沙はある行動にでた。
それは雑誌で見かけたカラーバス効果を活かした行動だった。
カラーバス効果とは、特定の色やモノに意識を向けると、それに関連する情報が目にとまりやすくなる心理現象のことを言うらしい。
例えば、赤い車が欲しいと思うと、普段は気にもとめないのに、やたら赤い車が目につくという現象がそうだ。
理沙は、毎日、赤い服を身にまとうようになった。
夫とつきあい始めた頃、まだ夫が優しかった頃、理沙はよく赤い服を着ていた。
写真に写っている姿も赤い服が多かった。
夫には、赤い服の理沙の印象が残っているにちがいない。
こうして来る日も来る日も、理沙の夫は赤い服の理沙を見続けることになる。
そして三ヶ月ほど過ぎた頃、理沙はシェルターに身をかくした。
それから半年。
理沙の夫が執拗に理沙の行方を捜しまわっていることは、支援団体の報告から把握できた。
しかも赤い服に反応していることも伺える。
赤い服さえ着なければ、外出できるかもしれないと思い、支援団体の協力を得て街中に出てみることにした。
青空に太陽の光が眩しかった。
久々に感じる自由。
そう思った刹那、理沙の目の前に夫が現れた。
が、夫は気づかなかった。
通り過ぎていく理沙にまったく・・・。
久々に感じた自由は本物になった。
それからまた半年。
理沙は、生活費を稼ぐため、スーパーマーケットのパートタイム職員として働いていた。
ある日、その店の創業十周年記念のイベントがあった。
そこに理沙の夫が現れた。
そして気づかれた。
理沙は逃げた。
イベント用に着ていた赤い法被を脱いで・・・。




