心開さんと根倉さん
小さい頃友達同士でよく「もし超能力が手に入るなら何がいい!?」と話しているが、実際あると生きにくいものだ。
私は物心ついたときから人の心が読める。最初は人の声が二重に聞こえる意味がわからず、人は口以外のところからも話すんだ。とすら思ってた。
この能力が人と違うとわかってからは、人と話すのが怖くなった。大体の人は『表の言葉』と『裏の言葉』があるからだ。
そのせいか小中高、友達は1人もいなかった。
大学は私のことを全く知らない街に行こうと決意し、地元を飛び出した。
流行りの服を身に纏い、ぎこちないメイクをして、見た目を所謂「普通の女の子」にすれば友達はできるものだと思っていた。しかし結果は変わらず。
教室の真ん中でザ・陽キャ女子たちが会話してる。
「今日の合コン楽しみじゃない!?」
『うわっ、お前も来んのかよ』
『あの子いるから引き立て役にちょうどいいや』
『今日も男性陣のおごりかな〜』
そんな声が飛び交い、毎日辟易していた。
ある日、次の授業のため教室を移動しようと席を立ち上がった時1人の女性が話しかけてきた。
「ねぇ、次のコマ確か一緒だよね?よかったら一緒に行かない?」
「へっ!?」と振り返ると、ポニーテールのスポーティな服装の笑顔が溌剌とした可愛い女の子が目の前にいた。私は初めての出来事でビックリして声を裏返しながら「うっ、うん!」と答えた。
教室を移動しながら彼女と会話してるが、何か違和感がある。ちなみに会話は普通に楽しい。
しばらく経って「あっ!!!」と大きな声を出してしまった。
そうだ!彼女から『裏の声』聞こえないじゃん!
そのことに気づき目を見開いて驚いていたら、隣の彼女も私の突然な奇声に驚いて同じ顔をしていた。
「あっ!ごめん!えっと…その…」
「あっ!ごめん!名前まだだったね!根倉菜乃っていうの」
「あっ、根倉さん!私は心開希衣。私の方こそ自己紹介遅れてごめんね!」
「いいよぉ〜。お互い様ってことで!それに私たち同じだし」
この時の私はこの言葉の意味をちゃんとわかっていなかった。




