死の谷ダンジョン最下層
ピチョン、ピチョン。
頬に、落ちる水の滴の感覚を覚えて、目を覚ますと、そこは真っ暗な空間だった。
起きあがろうにも、全く何も見えないので、ミヌス様が言った水の大精霊がいるか、小声で
「水の大精霊さーん」と呼んでみるも、何も起こらず、うーんと悩む。
(女神様との話では、なんかいい感じの世界への転移みたいなイメージだったけど、やっぱり地獄送りなのかな?)
「そうだステイタス」ポンっとゲンコツを反対の手のひらに押し当てる。なんてベタな。
魔法のある世界への転移だもん。きっとあるよね。あれ
「ステータスボード、オープン」
そういうと、ドーンと目の前に透明の板のようなものが現れた。
相馬蒼 20歳 男 人間 神の眷属・御使・ハイヒューマン
レベル 1
称号 神の眷属・神の御使
職業
HP:1000
MP:1000
筋力:100
耐久力:100
敏捷性:100
知力:100
幸運:100
経験値:100
スキル:アイテムボックス
加護
法と正義の神 テミス の加護
愛と慈悲の神 ナリス の加護
輪廻と転生の神 カリス の加護
大地と豊穣の神 ワムス の加護
生命と水の神 ミヌス の加護
ふむふむ、HP,MPともに1000。平均値を知らないからこの数値がどれぐらいの数値かはわからないけど、きっとチートなんだろうな。
ふと赤外線カメラみたいに暗闇でも見えるといいなって考えたら、ナイトビジョンって言葉が思い浮かんだ。それで、試しに『ナイトビジョン』というと、突然、暗闇の中なのにしっかり見えるようになった。暗視カメラなしでも暗闇でも見えるってほんとすごーいい。
見えるようになったのはいいけど、立ち上がってぐるりと見回してみても何もいない。
そこでここはどこかを調べるためにグーグルアースをイメージしてみるもうまくいかず、じゃあこの空間に何があるか、誰かいるかを調べると考えると、『索敵』という言葉が浮かんできた。
そこで『索敵』というと、目の前に透明な板が現れて、このフロアの平面図が現れるすると、端っこの方に黄色く光る点が一つ。
うーん、こんな真っ暗な地面の中の空間に、普通の人間が一人でいるなんてことは考えられないから、ドラゴンみたいなラスボスか、グールのような死霊か、なんかそんなのしか想像がつかないんだけど。まあでもここでぐずぐずしてても仕方ないし、いくかと腹を決める。
5分ほど歩いた先に薄い灯りが灯る部屋が見えてきた。
いきなり、部屋に突撃するのは失礼かと思い、
「あのーすみません。どなたかいらっしゃいますか?」と離れた場所から声をかけてみる。
すると、くくくく、ワハハと笑う老人の声が。
「とって食わんから入ってこい。」と声が聞こえた。
恐る恐る部屋の方に近づいていくと、そこには白髪のローブを着た老人が一人いた。
机に向かって何か書いているようだったけど、僕が部屋に入るとくるりとふりかえって僕をみる。
白髪の優しそうな老人がそこにいた。
「よくきたな、蒼。待っていたぞ。」
自己紹介する前にそう言われたので、神様の関係者であることがわかったので、少しホッとした。
「初めまして。相澤蒼です。あの、失礼ですが神様の関係者ですか?それとも水の大精霊とか?」
そういうと、一瞬驚いた顔をしてから、目の周りの皺を深くして、笑い出す。
「わしが水の大精霊じゃと?はははは、それは面白い。わしの名はヨミ。まあ、関係者といえばそうかもだが、其方を呼んだのは、アリアーノで生きていくために必要な訓練をしてやろうと思ってな。其方がいた世界とは違って、ちょっとばかしコツがいるんじゃよ。というか、教え子のやらかしが不安と言った方がいいかもな」
「へ?」なんか変な声が出た。
「コツ?やらかし?」
「まあ良い。ステータスを見せてみよ。」
相馬蒼 20歳 男 人間 神の眷属・御使・ハイヒューマン
レベル 1
称号 神の眷属・神の御使
職業
HP:1000
MP:1000
筋力:100
耐久力:100
敏捷性:100
知力:100
幸運:100
経験値:100
スキル:アイテムボックス
加護
法と正義の神 テミス の加護
愛と慈悲の神 ナリス の加護
輪廻と転生の神 カリス の加護
大地と豊穣の神 ワムス の加護
生命と水の神 ミヌス の加護
「あーーーーーーー、あんのポンコツ駄女神たちめ。何度も教えたろうに」
そういうと、机をドンと叩きつける。
「あの、ヨミ様?」
恐る恐る声をかけてみると、
「すまない、蒼。お前は、地上に下される前に、トレーニングはしてこなかったのか?」
「トレーニングですか?特に。説明もなく、地上に着いたら、水の大精霊にわからないこと聞いてねって言われただけで。しばらくの間は自分がしたいとか出来ると思ったことはできるようになってるから、地上に着いたら魔法の使い方の訓練してねとは言われました。」
「ミヌスじゃな。あのお花畑あんぽんたんめ。」
はあ、と大きなため息をつくと、諦めをその目に漂わせ話し始めた。
「まずな、其方の外見は前の世界の外見と比べて若返ってる。故に20歳という年齢はこの世界の常識に合わず、15歳が限界だ。次にハイヒューマンに体が作り替えられておるということは、
其方は、魔法と神術の両方が使えるということになる。この二つは似ているようで違っておる。まずそこを理解して、身体に魔素と神力の取り入れ方と使い方を学ばねばならぬ。それと、前の世界の神がソナタと一緒に転生しておる。包丁に宿っていた付喪神じゃ。どうも、其方に伝えたいメッセージも携えておるようじゃ。ということは、付喪神の棲家も作ってやらねばならぬ。これは大事だぞ。あとステイタスの数値振りもメチャクチャだ。特に知力100なんぞ、頭の回路が焼き切れるわ。並行思考を少なくともレベル5まで上げねば無理じゃ。本当はレベル8は欲しい。わしの指導は厳しいがついてこれるか?」
ほんの数行の説明に永遠かというくらい途方もない情報が含まれていて、理解不能ではあるけど、僕にある選択肢は一つ。
「はい、よろしくおねがいします。」