表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

ぶっちゃける陰キャちゃん(じょしとーく)

『ぶっちゃけさ、二人ってそういう関係なの?』


 マイク越しにぶっきらぼうな質問が飛んでくる。


「違うに決まってるじゃん」

『普通そこはもっと焦りながら否定するところじゃないの?』

「その質問が来るのは織り込み済みだから……」

『言われても仕方ない事してるからな、二人とも』


 声の主、あすてりに言われて改めて現状を思い返す。


 目的の店でパフェを堪能した私達はサンちゃんのショッピングに付き合ってそのままサンちゃんの家へ直行。現在はサンちゃんのスマホで私があすてりと通話。サンちゃんは入浴中。


「……言われても、仕方ないなぁ」

『普通の女友達のライン越えてるからな、あんたら』

「るっせ、私は普通とかわからねぇんだよ!」

『逆ギレこわー。ちなみにツッキーさんはそういう感情、芽生えちゃってるんすか?』

「そもそも恋とかしたことないからわからん」

『うわ出た』

「えなに、そんなに常套句なのこれ」

『だいぶ使い古されてるよそれ。あとだいたいそれ恋心だよ』

「じゃあ私ドラちゃんに恋してるかも知んない」

『切り替え早っ』


 そんなふうにいつも通りのノリで色々言っていると、後ろからゴトンと物音がした。


「つ、つつつ、ツッキー……そ、そういう……?」


 どうやらドラちゃんに聞こえていたらしい。ドラちゃんは顔を真っ赤にしながら(風呂上がりで赤くなっているだけかもしれないが)その場に立ち尽くしている。


「ドラちゃん落ち着いて、私がドラちゃんに恋していても何も関係は変わらないでしょ」

「えっ?えっ?………あ、そっかぁ」

『なんでそっかぁなんだよ』


 外野がうるさいが気にせず会話を続ける。


「そういえばドラちゃんって彼氏とかいたことあるの?」

「あるよそりゃあ!私をなんだと思ってるのさ!」

「まぁいつも綺麗なるための努力してるからね」

『彼氏の一人や二人いてもおかしくないよね』

「浮気なんてしたことないからね!?」

「ムキになってるってことは」

『サンドラさんがそんな人とは思ってもいませんでした……』

「違うから、違うからぁ!」


 サンちゃんが涙目になったところで一旦ストップすることにした。今日も一段と可愛い。


「お前のせいでサンちゃん拗ねちゃったじゃん」

『明らかにお前が原因だろ。お前の嫁なんだから何とかしろ』

「まだ嫁じゃないから。まったく……サンちゃん」


 サンちゃんに歩み寄り、うずくまる彼女に手を差し伸べた。


「つ、つっきぃ……」

「ごめんね、よしよし」

「浮気したことないから!」

「わかってるよー」

「ツッキー以外の女見ないから!」

「うんうん……うん?」

「つ、ツッキーが言うならっ、こ、これまでの友達とも縁切るからね……」

「サンちゃん?」

「あ、首輪付ける?私、ツッキーの命令なら何でも聞くよ?」


 焦点が合っていない真っ黒な瞳で、ジリジリと滲み寄ってくる。手にはどこからともなく取り出した首輪を持っていた。正気のものとは思えない。


「さ、さんちゃんが壊れたーー!」

「……ぷっ、あはは!じょーだんだよー!」

『おま、だ、騙され過ぎだろ……!』


 私の慌てふためく姿がよほど面白かったのか、二人が吹き出した。


「いや普通にあれは怖いだろ!」

「こ、怖がってるとこも面白かったよ……!」

『いくらなんでもっ……あれは……くくっ……』

「笑うなー!」


 それからしばらくの間、ずっと笑われ続けてしまった。


「あーおなかいたい……面白かったぁ」

『だな、リアルで見たかった』

「あすてりも来ればよかったのに」

『急に予定空けれるかバカ。こっちも大学があるんだよ』

「大変だなぁ学生も」

『お前も学生だろ』

「私を不登校に追いやった学校が悪い」

『一概になんとも言いづらいやつやめろ!』

「あはは」


 ふと私は、今思ったことを口にした。


「まぁ親には悪いと思ってるけど、実際学校行かなくなってから楽しくなったからさ。いつか立ち直って学校行けるようになったらいいなって思ってる」

「……うん」

『……あっそ』


 意外にも二人は何も言わず、そんな私を受け入れてくれた。大人としてはこういう肯定って良くないんだろうけど、てことは友達として接してくれてるってことでいいのだろうか。

 少し恥ずかしくなったので、話題を変えることにした。


「そ、そういえばさ!サンちゃんなんで首輪持ってたの?」

「あーこれ?私に付けてもらおうとしたら毎回逃げられちゃって……同じ理由で彼氏3人別れちゃったんだよねー!あはは!」

『「え」』

「え?」


 今後はサンちゃんに好きとか言うのもう少し抑えようかなと思った夜でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ