販促する陰キャちゃん
『ええーっ、案件来たの!?』
登録者数10万人達成……サンちゃんとのコラボ配信から約2ヶ月が経った。あれからも登録者はどんどん増え、今は13万人にまでなっている。
そしてそんな私に目をつけたのが……。
『……え、マウス?』
「うん、マウス」
『ホラゲーじゃなくて、マウス?』
「マウスマウス」
『ツッキーって詳しかったっけ、そういうの』
「いや全然。先方にも伝えたんだけどさ、なんかそれはそれでおいしいからOKって返ってきた。大丈夫なのこの会社。頭おかしいんじゃないの?」
『ツッキー!案件貰ってるんだからそんな事言っちゃ駄目だよ!』
ごもっともだ。何も言い返せない。
サンちゃんに説明をしていると玄関のチャイムが鳴った。速達で届けるとは言っていたが、まさかこれほど速いとは……。
「あ、今私だけか。……出たくねぇ」
置き配じゃないんだよなぁ、これ。余計な電話も面倒だから行くんだけどさぁ……2階から降りるのにも労力があるわけよ。ホントに世の中ままならないわ。
ブツブツと文句を垂れながらも配達物を受け取り、そそくさと自室に戻る。外界にいられるか!
「サンちゃん、マウスの紹介ってやっぱり手元映したほうが良いよねぇ?」
『そりゃあ実物映さなきゃだね』
「だよねー。カメラないんだよな今」
『あれ、前買ってなかったっけ?』
そう言われて右後ろの段ボール箱に目をやる。そこには破損した機械達が埃を被って眠っていた。
「落として壊した」
『えぇ~!?』
「配達だったら明日になるんだよなぁ。サンちゃん、明日って空いてたっけ」
『いや、明日は無理』
「結局今日中にやるしかないわけだ」
『自分で荷物を受け取る選択肢どこ!?』
明後日以降に撮影するという選択肢もあるが、そこまで後回しをすれば私は絶対やる気を失う。そして結局物だけ貰って動画は作らないという悪魔的所業をしてしまう……というわけだ。自分のことは自分が一番理解しているってやつだ!
『でも撮影機材無いんでしょ?どうするの?』
「スマホ撮影」
『ああ、最近のスマホ綺麗だもんね』
「そう!とてもきれいに写るんよね。手元カメラは壊れたけど、スマホのスタンドはあるからこれで何とかしてみるよてー」
『そっかー。じゃあ私楽しみに待ってるね!』
その後はサンちゃんと駄弁りながら作業を進め、動画を撮影した。
『あ、おかえりー!どうだった?』
「これやばい。めっちゃ使いやすい」
『よかったねぇー!編集作業もしてく?』
「んー……まぁするか!」
どうせ明日にはやらなくなりそうだし、サンちゃんとこうやって駄弁れるのも最高だし断る理由がない!
こうしてモチベあげあげで無敵な私はその日のうちに動画を投稿し、世界にそのマウスの魅力を発信したのだった。




