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センタク

 勇者はちょっと考えた。

 神に与するか、魔王に与するか。

 元聖女を見て選択した。


「魔王がいると、魔族がぽこじゃが増えるんだよね」

「我の魔力に影響されて生まれるのだろう。蝿に絶滅しろと言っても難しいものだ」

「そうなんだよねぇ」


 同族がいるに越したことはないが、別に魔王の意志で生んでいるわけでもない。かといって生まれた同族すべてが魔王の支配下にあるわけでもないから、野放しにされた魔族が人間を襲ってしまう。


「だから害獣は駆除しないといけないわけでぇ、俺が必要とされてるの。わかる?」

「知りません。興味ありません」

「聖女は興味持ってよ〜。聖女がやらないから俺がやることに成るんだよ? 可哀想だと思わない?」

「興味ありません」

「薄情〜」


 本来なら勇者側につくべき聖女は目下この調子だ。となると、世界平和とかなんてどうでもいい勇者でも、自身の役目というものを投げ出すわけにもいかず。


「どうしてもプライベート欲しくなったら魔王にお願いにくるかなー」

「は?」

「聖女が魔王の他の封印とかないなら、魔王の首くらい目を瞑ってやるよ。今くらいの魔族の量なら、俺も食いっぱぐれないし。ほどよく賞金稼ぎできるもんね」


 にんまり笑った勇者は、満足したとでも言うように伸びをした。


「聖女。魔王の他の封印といたら、殺しに来るから覚悟して?」

「下半身だけでも許してくださいませんか」

「えー。なんで」

「子作りのため」

「おい!」

「おもろ。でもだめー。魔族がぽこじゃが増えるのでだめでーす」


 チッ、と舌打ちをした聖女に、魔王はほっとした。この聖女なら本気でやりかねない。聖女は散々勇者を悪く言っていたものの、勇者がほどよいストッパーになってくれそうだと安堵した。


 勇者は剣を収めると祭壇の間から出ていく。そこに残されたのは聖女と首だけの魔王だけ。


 一難が去り、二人の間にまた穏やかな日々が戻ってきた。


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