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坂道

 勇者が来ると大変だ。元聖女は魔王の首を鳥籠の中にいれると、それに魔法をかけてしまう。


「おい、何をする」

「さすがに目立ちますゆえ!」


 物を小さくしてしまう魔法。手のひらサイズになった魔王を、聖女は樫で作った杖の先端へとくくりつけた。ぷらぷらと鳥籠が揺れる。


「おい、何をする」

「さすがに目立ちますゆえ!」

「いやこれはどうなんだ!?」


 身の丈ほどもある樫の杖のほうが目立つと思う。しかも杖を振られると、魔王も揺れる。吐くぞ、と魔王は抗議の声を上げた。

 ハッとした聖女は魔王に申し訳なさそうに告げた。


「あとで酔い止めの魔法かけますので、辛抱してくださいね?」

「そういうことではないんだが?」


 ちょっと斜め上に行きがちな聖女に、魔王は生命の危機を感じた。

 あの魔王を恐怖に陥れているとは知らず、聖女はさくさくと準備を整え、廃墟となった神殿を出ることに。

 樫の杖と小さなポーチ。それ以外は身ひとつで、聖女は旅に出る。

 村を避けるため、神殿の裏手から獣道を見つけて、それに沿うように歩き出した。坂道があったり、沼があったり。神殿の近くだと言うのに、その裏手は人の手があまり入らない大自然だった。

 えっちらおっちら歩いていると、いつも魔王のもとへ飛んでくる、絶滅種の鳥もやってくる。


「ちょうどいいですね。その鳥で一儲けしましょうか」

「食べるつもりか!?」

「違います! 街についたら見世物にするのです。よい軍資金稼ぎになりますよ!」


 すっかり俗物的なことを言うようになった聖女に、魔王はなんとも言えない気持ちになった。

 時代が変われば人も変わる。魔王は言いたいことを色々と飲みこんだ。ここで聖女に放り出されるのも困るし。

 聖女は草木をちょいちょいとかき分けながら進む。樫の杖にぶら下げられた鳥籠はそんなに揺れず、魔王が吐くこともなかった。

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