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むかしばなし

 むかしむかしのお話です。

 勇者が聖女と魔導士、騎士を連れ、魔王の討伐をしました。

 騎士は魔王に刺し殺され、魔導士は魔力の一滴すら奪われて木乃伊となり、聖女は魔王に操られて勇者を殺そうとしました。

 そんな中でも、勇者は諦めずに聖剣を奮い、魔王に操られた聖女もろとも魔王を討伐したのです。

 討伐された魔王の身体は、勇者により七つに分断されました。

 首、心臓、胴、右手、右足、左手、左足。

 七つに分断された魔王の身体は燃やすこともできませんから、各地に封印されたそうです。






「そして私が魔王様の御首を見つけた次第でございます!」

「そうか……それで、何が目的だ?」

「目的なんてそんな!」

「そなたは我が下した元聖女であろう? それがどうして今さら我の封印を解こうなど」

「まぁまぁまぁ! 愛の前に理由など愚問でございますわ!」

「……愛?」

「ええ、私と魔王様の間には愛の絆がございますゆえ!」


 廃墟と化した森の奥深くの神殿のさらに奥まった場所。

 祭壇に隠された魔王の封印を解いた少女が、封印の中から出てきたものを胸に抱きかかえて、犬のようにそれを撫で回している。

 撫で回されているほうはといえば、まだ封印から解けたばかりで寝ぼけ眼になりながらも、ようやく思考をまわし始めたようで。


「我らの間に愛なんぞあったか?」

「ありましたとも! そうあれは魔王様とのヴァージンロードともいえる最終決戦の最中。魔導士に回復の祈りをかけようとした私の身体をさらい、貴方様は私に口づけをしたではありませんか!」

「あれは眷属契約の一種であって、別に愛などでは……」

「こうして生まれ変わりましたのも何かの縁、今世こそ添い遂げましょうね!」

「我はもしかして眷属にする人間を間違えたのか……?」


 寝ぼけ眼の魔王は首を傾げようとしたけれども、その首は聖女の腕の中。もがくような身体もない魔王では、元聖女の腕から逃げるすべもないのです。

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