漫才「不老不死」
ツッコミ「いやー、年取ると時間経つの早くなるっていうけどホントだね~」
ボケ「分かる」
ツッコミ「春だと思ったらもう夏だったり。秋だと思ったら冬だったり」
ボケ「晴れだと思ったら雨だったり」
ツッコミ「それ天気予報外れただけだろ」
ボケ「おかげでズブ濡れだったよ」
ツッコミ「だから折り畳み傘いつも持っとけって言ったろ!」
ボケ「ごめん」
ツッコミ「年は取りたくないもんだな。で、年を取りたくないといえば、不老不死ってあるじゃん」
ボケ「不老不死?」
ツッコミ「ほら、永遠に老いることもなく死にもしないっていう」
ボケ「ああ、よくそういう人見かけるわ」
ツッコミ「見かけねえよ! 嫌だよそこらに不老不死の人いたら」
ボケ「近所のスーパーでよく見かけるおばさんなんて、ここ十年見た目変わらないし」
ツッコミ「それ厚化粧なんじゃねえか?」
ボケ「近所のおじさんなんていつも家にいて、昼間から酒飲んでるし」
ツッコミ「ダメ親父じゃねえか! それは不老不死じゃなくて、働いてないって意味の不労だろ!」
ボケ「まあ、デカイ土地持っててそこ貸してるだけで金バンバン入ってくるらしいけど」
ツッコミ「羨ましいなオイ! 俺もそういう身分になりてえ! ……で、もしも不老不死になれるとしたら、お前なりたい?」
ボケ「なりたいッ!!!」
ツッコミ「なんでそんな勢いいいんだよ。どうして?」
ボケ「だって不老不死ってずっと若いままで死なないんだろ? 最高じゃん!」
ツッコミ「お前はそういう考えか。俺はさ、絶対断る。不老不死なんて」
ボケ「どうして? 何か悩みでもあるの?」
ツッコミ「別に死にたいわけじゃねえよ!」
ボケ「なんで断っちゃうんだよ。せっかくの不老不死を」
ツッコミ「だって自分だけずっと生きてても、知り合いとかみんな先に死んでくんだぜ?」
ボケ「知り合いもみんな不老不死なら?」
ツッコミ「それなら寂しくないけど、怪我や病気をしても痛いまま生きていくのは辛いだろ」
ボケ「怪我や病気にならない不老不死だったら?」
ツッコミ「それならいいけど。あと、地球が滅んでもずっと生きてかなきゃならない」
ボケ「地球が滅んだら一緒に滅びる不老不死なら?」
ツッコミ「それならまだ……って不老不死をどんどんカスタマイズすんな! どんどん都合のいい不老不死になってるじゃねえか!」
ボケ「ごめん」
ツッコミ「まったく……だけど、不老不死を追い求める人は多かったんだ」
ボケ「そうなんだ?」
ツッコミ「例えば、中国の始皇帝って知ってるか?」
ボケ「ああ、会ったことある」
ツッコミ「嘘つけよ! それともお前不老不死か!?」
ボケ「その始皇帝がどうしたのさ」
ツッコミ「不老不死になりたいって言って、不老不死になれる薬を探したらしい」
ボケ「あー、あの気持ちよくなれるやつね」
ツッコミ「その薬じゃねえから! そういうネタは色んな意味で危ないからマジやめろ」
ボケ「ごめん」
ツッコミ「他にも不死鳥なんて動物の言い伝えがあったり」
ボケ「焼き鳥にして食ったことあるわ」
ツッコミ「不死鳥食うなよ! ……で、美味かった?」
ボケ「そうでもない」
ツッコミ「ガッカリだよ! 聞かなきゃよかった! それと……かぐや姫が出てくる竹取物語でも不老不死の薬が出てくるな」
ボケ「あー、知ってる知ってる。確かかぐや姫がガラスの靴を履きながら鬼退治するんだよな」
ツッコミ「色々ゴッチャに混ぜすぎ!」
ボケ「最終的にかぐや姫が玉手箱開けてお菓子の家になるんだよな」
ツッコミ「もうわけ分からん!」
ボケ「今の科学だと不老不死ってのは無理なのかな?」
ツッコミ「まあ無理だろうな。ただ色々研究はしてるみたいだけどな」
ボケ「例えば?」
ツッコミ「SFによく出てくる……コールドスリープとか」
ボケ「何それ?」
ツッコミ「人体を極限まで冷やして、仮死状態にして冷凍保存するって技術だ」
ボケ「ふうん、まるで俺らの漫才みたいだな」
ツッコミ「そんなことないよ!? 俺らの漫才面白いよ!? ねえ皆さん!?」
ボケ「ほらコールドスリープしてる」
ツッコミ「うるせえ!」
ボケ「だけど、さっきも言ったけど俺は不老不死になれるんならなりたいよ」
ツッコミ「そうなのか」
ボケ「さらに言うとお前にも不老不死になって欲しい」
ツッコミ「え、どういうこと?」
ボケ「だって、そしたら俺とお前でずっと漫才できるじゃん」
ツッコミ「!」
ボケ「俺はお前と……100年後も1000年後も一万年後も、ずっと漫才したいよ。地球が滅んでも漫才したいよ」
ツッコミ「お前って奴は……。俺、嬉しいよ! 俺もお前と永遠に漫才したいよ!」
ボケ「いや、永遠はちょっと……」
ツッコミ「なんでだよ! そこは乗ってこいよ!」
ボケ「やっぱり普通に年は取りたいかな。時間が経つのが早く感じるのもなかなか楽しいし」
ツッコミ「お前は長生きしそうだよ」
二人「どうもありがとうございました!」
完
少しでも笑ってもらえたら嬉しいです。