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知性を持っていたのに、逃げることをせず呆気なくテイムされた最底辺モンスター『スライム』は、勇者を目指したいらしいです。

作者: かぬ。

…題名がちょっと長いですね。(そんなことはどうでもいい)


こんにちは〜!かぬ。です!


なんとなく思いついたので書いてみました!

初めての短編&小説なのでよく分からなかったです()


まあ、とにかく読んでいただけると幸いです〜。

 

 プルプル。

 プルプルルプルン。


 とある森の奥に、水色の体をしたモンスター、スライムがいました。

 そのスライムは、とにかくプルプル震えていました。理由はないです。


 プルルン。


 ある日、いつも通りプルプルしていると、目の前に白いヒゲが生えたスライムがやってきました。

 しかし、スライムは知能がないのでそんなことは気にしませんでした。


 ヒゲスライムはこう言いました。


『あ、お前なら知性与えても耐えられそうじゃね?じゃ、与えるか!』


 そう言いながらヒゲスライムは、スライムの頭(?)を撫でました。

 すると、スライムの頭(?)が光り始めました!まさか、ハゲてしまうのでしょうか。


 


 光が収まった時にいたのは、そのたった一匹のスライムだけでした。




 ハゲてはいませんでした。



 ♢



 ぼく、すらいむ。なまえはない


 じじいになでられたら、ことば、おぼえた。


 このせかい?っていうやつも、おぼえた。


 ここ、まるるのもり、いう。


 しょしんしゃぼーけんしゃ?っていうにんげんむけのもりで、なかま、たおされてたって。


 まあ、そんなこと、おいといて。


 とにかく、ぷるぷるしよう。



 プルプル。

 プル、プルルルルルル!

 プルン!



 なんかまえよりぷるぷる、きれ(キレ)、ある。



「あ、可愛い!この子、ずっとぷるぷるしてる!」


「そうですね、この子にしますか?」


「うん!」



 ぷるぷるしてた、へんなの、きた。


 へんなの、ちがった、にんげん、きた。


 つかまれて、ぼく、つれていかれた。


 まあ、いいや。ふるえて、いよう。



 ♢



 私、フラン=リッコヌー。貴族なの。今日で5歳!黄色の目と髪の女の子!

 今日は、テイムにちょうどいい、スライムってモンスターを捕まえにきたの!


 スライムっていうのは、Fランクモンスター最底辺モンスターで、

 テイムっていうのは、捕まえて自分のものにすること!


「そうでしょ?あってる?ミーヤ!」


「う〜ん、テイムの説明がちょっと違う気がしますけど…」


 この人はミーヤ!私のメイドなの!12歳なんだって!長くて青い髪と目が特徴!

 お勉強も教えてくれるし、あ!あと、魔法も教えてくれるの!わたしはあまりできないけどね…。


 剣術?…教えてくれるけど…やりたくない!


「スライム〜♪スライム〜♪」


「フラン様が楽しそうで、何よりです」


 私はスライムに早く会いたいと思いながら歩いて行った。



 ♢



 私は運命的な出会いをしたかもしれない!


 そう思いながらスライムを持ち帰り始めた。

 実は…テイムの魔法はまだ使えないの!家でやってもらうから、あみで捕まえなきゃいけなかったんだけど…。


 ずっとぷるぷるしている手元のスライムを見る。

 逃げたがる気配が全くないわ…。でも、大人しくてかわいい!!


 スライムを見ながらしばらく歩くと、おうちが見えてきた!


「スライムさん、あそこがおうちだよ!」


 プルン。


 返事をするようにスライムは震えてくれた。ん〜〜っ、可愛いっ!


 私はミーヤと一緒に、勢いよく家に向かって走る。そして、勢いよくドアを開きます。



 バーン!!



「「「「「おかえりなさいませ、フラン様」」」」」


 いつ通り、メイドさんたちが迎えてくれた。


「ただいま!見て見て!スライム捕まえたの!」


「まあ、ご立派なスライムですね!」


 メイド長さんが褒めてくれた。ふふっ、そうでしょう!


「おかえり、フラン!」


「スライムは無事つかまえたの?」


 あ!パパとママだ!二人は、『もんすたーけんきゅーか』なんだって!

 捕まえたスライム、見せないと!


「ちゃんと捕まえられたよ!ほら!」


「これは…なんか魔力量が通常より多い…?」


 赤い髪でオレンジの瞳のパパは、『かんてーがん(鑑定眼)』を持っていて、見た物のことがわかるんだって!

 今、調べていてくれてるんだ!


「そう?あまり見た目は変わらないけど…でも、すごいじゃない!ちゃんと捕まえられて!」


「えへへ。でも、この子が逃げなかったからだよ!」


「逃げなかった?」


「そうだよ!手で持ってもずっとぷるぷる震えてたよ!」


「そうなのね〜…珍しいスライムね…」


 銀色の髪と目のママはじーっとスライムを見つめている。スライムが気に入ったのかな!


「マルナ。そろそろテイムを始めよう」


「そうね、ランドルフ。…スライムさん、預かるわよ〜」


「うん!」


 ママ──マルナ──とパパ──ランドルフ──は、スライムを連れて部屋に入った。

 私も行かなきゃ!



 ママとパパについていった先は、『まほーじん』っていうのがあった。

 ここにスライムを乗っけると、テイムできるんだって!楽しみだなぁ〜!


「じゃあ、行くわよ〜」


 ママがスライムさんをまほーじんの上に乗っける。



 ぽすん!ピカーッ!



 わあっ!まほーじんが光った!まぶしー!


 まほーじんが光ったあとに、スライムも光った!キラキラしててきれー!


 しばらくすると、どちらも光は消えて元どおりになった。あー、眩しかった!


 ママが、にっこり笑って指をぐっ、と立てた。


「うん、テイムできたわね!」


「フラン、もう触っていいぞ!」


「…!やったぁ!」


 私はスライムのもとに駆け寄って、ぷにぷにした。


「うわぁ、気持ちいい!これからよろしくね、ぷにちゃん!」


「…ぷにちゃんは嫌だ」


「え〜?じゃあ、どんな名前がいいの…って、え?」


 今、誰が喋ったの…?

 周りを見てみたけど、ママとパパ、そしてメイドさんたちもびっくりしてる。

 まさか…!


「もっとかっこいいのにして!」


「「「「「「「「「「スライムが喋った!?」」」」」」」」」」


 …スライムさんが、喋った!?



 ♢



 ぼく、すらいむ。


 つかまえられた、にんげん、おうち、はいった。


 まほーじん、おかれた。


 まほーじんひかった。ぴかぴか。


『お主、知性をやったのに片言で、しかも話せないとは…よし、話せるようにして、片言も直し、さらには文字変換機能もつけてやる!』


 またじじい、こえがきこえた。


『だれがじじいじゃ!全く、これだから最近の若スライムは…』


 おこられた。


『まあいい。とにかく話せるようにして、片言も直して、文字変換機能もつけるぞ!』


 よくわからない、けど、よろこぶ。


 ぼく、ひかった。


 じじい、こえ、もうきこえない。


 だけど、なんかちからがわいてきた。あれ?しゃべりかたがかわった…?


 さっきよりスムーズに話せるようになってる!


 すごい!さっきじじいが言ってたのはこのことか!


 あ、光が止まった。


 ぼくを捕まえた女の人間が近寄ってきて、プニプニさせられた。


「うわぁ、気持ちいい!これからよろしくね、ぷにちゃん!」


 ぷにちゃん?ぼくは男だぞ!


「…ぷにちゃんは嫌だ」


 …声が出た。ということは話せた…?


「もっとかっこいいのにして!」


 話せた!!すごい!


「「「「「「「「「「スライムが喋った!?」」」」」」」」」」


 …なんかめっちゃ驚かれた。


「興味深い…喋れるスライムがいるなんて…」


 男の人間が近づいてきた。顔が近いなぁ…。


「変異種じゃないかしら?フラン、すごいわよ!変異種かもよ!」


 捕まえてきた人間、フランが振り向いた。あの人間、ちっちゃいな…。


「変異種ってすごいの?」


「ええ!とっっっっっっってもすごいのよ!ねえ、フラン。ちょっとだけこのスライムを研究してもいいかしら?」


「いいよ!ただ、丁寧に扱ってね!」


「当たり前じゃない!…あら、そういえば名前はどうするの?」


「ん〜、スライムさんに決めてもらう!何がいい?」


 唐突に話がこっちに向けられた。

 名前…僕の体は水色…スカイブルー…


「スカイ…とかは?」


 スライムながら単純な名前だな…。


「いいよ!可愛い名前だね!」


「かっこいいって言ってよ!」


「お前たち、仲良くするんだぞ!」


「「はい!」」


「もうすでに仲は良さそうね」


 よし、ここで頑張って生きてくぞ!と、決意したその時。



 ぐるきゅぅぅぅぅぅぅぅ…。



 僕のお腹(?)がなってしまった。どうやらお腹が減ったようだ。


「ふふっ、じゃあご飯にしましょうか。もちろん、スライムさんもね!」


「ママ、スカイだよ!」


「そうです、スカイです!」


「あら、そうだったわね…ふふ!」


 僕は、このお家でごはんを食べることになった。



 ♢



「お腹いっぱい…そして美味かった…」


 なんだこのごはん。めっちゃ美味しい。

 今までホーンラビットとかウルフとかの残飯を一生懸命食べてたのが嘘みたいだ…。


 あと食べてたのは…雑草だな。


「スカイ、遊びに行きましょ!」


 俺の主人、フランが話しかけてくる。


「何してだ?」


「ボール遊び!」


「ボールを溶かして遊ぶのか?」


「違う!ボールは、飛ばして遊ぶの!こうやって!」


 フランは、手に持っていた丸い球体を投げる。


 

 


 ───静寂。

 




 え?それだけ?


「つまんない」


「え〜!とりあえずやってみようよ!」


「はいはい…」


 僕は渋々納得し、外に出た。



 ♢



 あ〜!疲れた!


 なんだよ、「ボール遊びだけ!」とか言ってたくせに、結局、鬼ごっことか、かくれんぼとかいうやつもやったじゃないか!おかげでスライムボディが溶けるところだったよ!


「スカイ、本を読んであげる!」


「本?いや、別に興味ない…」


「はい、読むわよ〜!」


 強引…。


「えっと…『むかしむかし、ある村に”汚れ者”と呼ばれる少年がいました。少年はその汚名を返上するために、ひたすら剣と魔法を特訓しました。そして、10歳の時には、村一番の強者になりました。』」


 へー。僕みたいな弱者が強くなる物語か。面白そうだな〜。


「『少年はとにかく努力をし、ついに16歳の成人の日、”勇者”の称号を与えられました。そしてそれから4年後、悪の王である魔王が攻めてきました。人々が混乱する中、希望がありました。それは、勇者です。』」


 おー、人間の希望なのか…なんかすごいな。


「『勇者は魔王の手下を次々と倒し、ついには魔王をも倒しました。そして世界は平和になり、今の世になりました…』おしまい!」


 勇者ってすごい人なんだな…僕みたいな、ただ喋れるだけのスライムには到底手が届かないような、眩しい存在。

世界を守るために勇気を出して戦えるなんてすごい。僕もこんな強さが欲しい。 


でもきっとそれは無理なんだろうなぁ…おとぎ話の中の存在なんてなれるわけがない。実際に会ったことならまだs…


「この物語はね、昔実際にあったことなんだって!私のお気に入りなの!」


 …!実際にあったことならもしかして、僕でも───ただの喋れるスライムでも、強くなって大事なものを守れるようになるのかな…?

 

「僕、勇者になりたい!」


「それは無理だよ…だって、スカイはスライムじゃない…」


どストレート正論パンチ。


「スライムでも努力すればなれるよ!」


「むぅ…それはそうだよね。…わかったわ!応援する!」


「うん、僕頑張る!」


「ただ、今の世界には悪の王の魔王は生まれてないよ?どうやってなるの?」


「うっ…いつかなる!」


「無茶苦茶だよ、スカイ!…でも、そんなところが好き!」


「うわっ!ちょ、むが、苦しい…」


 僕はフランにぎゅっと抱きしめられて息が苦しくなった。


 …よくよく見たら、フランって可愛いな…って!


 何を思ってるんだスカイ!フランは人間、僕はスライムだぞ!


「スカイが勇者になったら、私を守ってね!」


「うん!」


 嬉しそうに返事をし、自然と胸が高鳴っている自分を、ぼんやりと客観的に見つめて気がつく。



 あ、僕の大事なもの──守りたいものはフランなんだ。



 そういうことか。僕が勇者を見て憧れた理由。どんな奴でも倒せるような強さが欲しいと思った理由。

 フランのこの笑顔を絶やしたくないから。───そして、好きだから。

 


 この気持ちを自覚した以上、フランに危害を及ぼす奴は、どんな奴でも容赦はしない。したくない。




 たとえそれが、魔王だとしても。





「もうこうなったら、絶対に強くなって、勇者目指してやる──────!」


「スカイ、どうしたの!?」


 こうして、最底辺モンスターの僕は、勇者を目指すことになった。

 主のフランを、笑顔を、守るために。


 ♢


 僕が来てから5年が経った。


 この間に、いろんなことが起こった。

 危ない研究されて死にかけたり、特訓してたらスライムボディがちぎれたり。ま、すぐ治ったけど。


 さらに僕はスライムなのに魔法が使えることがわかった。しかも、火、水、風、土、光の五つも使える。どうだ、すごいだろう。


 まあ、今一番驚くべきは。


「ま、ま、魔王が現れたらしいよ!」


 10歳になったフランが、焦った様子で言ってくる。

 そう、魔王が生まれたらしいのだ。


 しかし、僕にとってはかなり嬉しい。なぜかって?


 将来、勇者となるスライムだからだ!


「とゆーことで、魔王倒してくる」


「ノリ軽っ!さすがスカイ!」


「何がさすがだよ」


「まあ、それは置いとくとして…とりあえず、今日から勇者学園が作られるらしいから、そこに通ってみたら?」


「勇者学園?」


「そう!勇者を育成するための学園!」


「でも、僕はいけないんじゃ…?スライムだし」


「私も一緒に行くの!だって主だし!」


「んー、ならいいか。じゃあ、勇者学園行くぞー!」


「おー!」


 こんなノリで、マルナさんとランドルフさんに相談し、オーケーをもらえたので通えることになった。

 手続きは、すぐに完了した。試験というものはないらしい。


 早速僕たちは支度をして、勇者学園に行くことになった。


「「行ってきまーす!」」


「「頑張ってこいよー!」きてねー!」


 僕たちは走って、学園へと向かった。


 ───スカイたちが去った後。



「ねえ、ランドルフ」


「なんだい、マルナ?」


「実は…学園に行っていいって了承した理由がね、スカイ君がいるからなの」


「おいおい、と言いたいところだが、俺も同じだ」


「あらまあ」


「将来、あいつは絶対勇者になると思うんだが、マルナはどう思う?」


「スライムがなれるわけないでしょ、と言いたいところだけど、私も同じ意見よ」


「やっぱりか…」


「だって、」


「「あんな強さを見せられたら、流石に了承しないわけにはいかないよな」ね」


 そう、スカイは、おそらくSランク相当のモンスター…いや、それ以上の強さになっていたのだ。

 剣を地面に振るえば、数百メートル割れるほど、魔法を使えば初級魔法で超級魔法以上になっていたのだ。


 ちなみに、フランはそのことを知らない。スカイも、自覚していない。





 ()最底辺クラスのモンスター、スカイ(スライム)の物語は、まだ始まったばかりだった。


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