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みんな、推しがプリントされたスイーツどうしてる?(文芸部員たち。わちゃわちゃ)

作者: 飛鳥井作太


 文芸部寮一階和室。通称、部室。

「……推しのアイシング・クッキーやマカロンを食べる気持ちってどんな気持ちなんです?」

「「「え?」」」

 夢(通称・おかあさん)の問いに、写真撮影をしていた僕ら三人……僕、藍、彩の動きがピタッと止まった。

 僕らの前には、大きな机。

 そこには、我々が今日買って来た推したちのアイシング・クッキーが、ぬいぐるみやアクスタともども飾られている。さながら、祭りの日の祭壇の如く。

 言わずもがな、今の僕らの被写体だ。

「いえ、いったいどういうファン心理をターゲットにしてる商品なんだろうな、と気になりまして」

「んー。言われてみれば、どういう気持ちなんだろね?」

 僕は、いったんスマホを下ろして首を傾げた。

「実際食べるときは、勿体ないなーって感じするし」

 あれ、割らなきゃいけないもんなぁ……と絶賛祭り上げられている推しのクッキーを見ながら遠い目をする。

「そうか? ワシはわりとこう、パクッといけちゃうぞ」

「マジで?」

 僕、躊躇しちゃう。藍は強いなあ、と思っていたら。

「可愛いものを見るとしゃぶりたくなるから……」

「ごめん、それどういう心理?」

「わかる」

「わかるの?」

 即答した彩の方を思わず振り返る。

「推しが自分の体液に塗れるかと思うと、背徳感でドキドキしちゃうよね」

「言い方。二人とも、それは一体どういう感情なんだよ」

「「んんー……」」

 僕が問うと、二人は揃って首を傾げてから、

「独占欲?」

 と彩が、

「食べちゃいたいくらい可愛い、みたいな?」

 と藍が、答えた。

「どっちが健全か、ちょっと判断に迷いますね」

「あれ、これそういう質問なの?」

「そういう殿ちょの『勿体ない』って気持ちは何なのさ?」

「あれじゃね?」

 ピッと藍が指を立てる。

「比ゆ的に言えば『花を散らすのが勿体ない』みたいな」

「え、殿ちょ処女厨? 引くわ」

「ちっげーよ! ただの貧乏性だわ!」

「それもそれでどうなんですかねぇ……」

 おかあさんが、しみじみ言った。

 とりあえず、出た結論は、

「人それぞれ。推しの愛で方は星の数ほどある」

 だった。

「割と無難で面白味のない結論になったな……」

「真実って、そういうものじゃないの?」

「真実て」

「ところでこれ、いつ食べるんですか?」

「「「迷ってる」」」

 とりあえず、この手のものの食べ時を知りたいと思う今日この頃だ。


 END.


どうやって食べよう…と迷っている今日この頃です。

賞味期限ギリギリまで悩みそうだ…。

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