彼女は死んだ
「どうして死なないといけないのかしら」
ミリアは振り返った。
「私、まだ生きたいの。
あなたと一緒に生きていたいの。
ねえ、なんで?指輪も一緒に選んだじゃない。
出会って、告白してくれて、一緒に歩んできたじゃない。
ずっと幸せだったし、あなたもそうだったでしょう?
ねえ、どうして。
なんで生きてちゃダメなの。
ねえ、どうして」
涙も枯れ果てた大きな瞳が、虚空を浮かべて問いかける。
己の細く白く華奢な首に、包丁を突き立て問いかける。
溢れ出る鮮紅。
なんで
唇が象る。
答えることは難しい。
彼女は一人で死んだ。
伴侶もそこには居なかった。
たった一人で死んでった。