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世界のどこでも君の隣  作者: 逢坂 桜夢
7/10

賑やかな日本家屋と静かな洋館

「大和しっかりなさい」

「ちゃんと周りを見なさい」

「足は床に着けて、無駄に動かない」

家が名門の茶道の家だったからか幼い頃から厳しく育てられた。別に嫌とも思わなかったし、保育園に行けば礼儀正しさを褒められた。お手本にすらされた。だけどその分、周りがはっちゃけている時にどうしたらいいか分からずひとり固まっていた。それでも友達がいたのは幼なじみの琥珀と類のおかげだろう。男女とわず人気でいつも注目を浴びる琥珀と誰にでも懐く類。2人が「大和っち!」「やまと!」と呼び続けてくれたから。


俺の家は日本家屋だったが隣の家は洋館だった。そこに住んでいたのが琥珀だった。見るからにお金持ちが住んでいるであろう庭付きの洋館。休日にパーティーでもしていそうな雰囲気だがパーティーは他の場所でやってるしい。大きな洋館にお手伝いさんと琥珀だけだった。同い年で家が隣。仲良くならないはずなんてない。すぐに琥珀は俺の家に入り浸るようになった。大人しい俺とやんちゃな琥珀。噛み合わないように見えて意外と噛み合ってしまうもの。持て余していた沢山のおもちゃも琥珀と一緒なら足りないくらいだった。お手伝いさんが「後生ですから。坊ちゃんお戻りください。」と迎えに来ると、琥珀はそれまで楽しそうに遊んでいたのに急に寂しそうな顔をしていた。


誰かといる楽しさを知ってしまったからこそ1人は寂しい。いつだったかこんな事を言っていた。


「ただいま帰りました。」

「「お邪魔しまーす!ただいまです!」」

「おかえりなさい。あら琥珀くんに類くんいらっしゃい。今日はお泊まりね。楽しんでってくださいね」

母さんは俺の友達に優しい。俺が友達を何人呼ぼうと嫌な顔せずもてなしてくれる。

「明日のお弁当も用意するから気にしなくて良いわよ」

「あざーっす!大和っちのお母さんのご飯美味いからちょー嬉しいっす!」

「やったー!やまとママありがとー」

類に抱きつかれた母さんは孫と遊んでいるかのように嬉しそうだ。

「「小学生だな」」

長年近くにいる人間同士、感覚が似てくるのか。


「あっ!僕ねカフェでバイト始めたの!今日皆で行ってきたんだけどね、やまとママも来てね!」

「ケーキめっちゃ美味いんすよ!しかもるいるいが一人一人にケーキ選んでくれて!」

「まぁそうなの!じゃあ今度お父さんとお邪魔しようかしら。」

「類セレクトのケーキは最高だ。ぜひ行ってみてくれ。」

「大和がそんなに勧めるなんて珍しいわ。楽しみ。」

類がいると場が和む。類は周りの人を一瞬で笑顔にさせる。母さんが楽しそうで俺は何よりだ。

そして琥珀も今日呼んでよかった。帰り道、琥珀の背中がなぜが頼りなく見えたから思わず声をかけてしまった。


「やまと!なにボー立ちしてんの!ご飯食べよ!」

幼なじみ。ずっと変わらない暖かい場所。この2人がいて良かった。何度目かも分からないいつもの挨拶「行くよー!せーの!」

「「「いただきます!!!」」」


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