僕セレクト
「いらっしゃいませー」
スマイル0円。それでも全力で笑顔を届ける。僕と一緒に笑って欲しいから。楽しい時間にして欲しいから。
「るいるい来たぞー!」
「洒落た店だな。類によく似合っている」
「「お邪魔します」」
うぅぅ、
「こはく、うるさい!もー、恥ずかしいっ」
「類、顔赤いぞ、どうした?」
どうした?じゃないよ!この天然!
「あら類くんお友達?いらっしゃいませ」
オーナーが優しくてほんと良かった。
「ごめんなさい、こんな一気に呼んじゃって」
「全然気にしないで。それよりあの子たち熱心ね。スイーツ男子かしらね、ふふふ」
オーナーの向いてる方にはショーケースの前を独占して悩みまくってるゆーととしゅーとが居る。
「ゆーと、しゅーと、いらっしゃいませ!」
「めっちゃ種類あるのな!」
「類!決められないから類のオススメどれ?」
決められなくてオススメ聞くとかゆーと、かわいすぎ!
「じゃあ、ゆーとの好きなラズベリーとクランベリーのタルトとしゅーとが期間限定のレモンタルトにして2人でシェアハピしなよ!」
「類、天才!」「そだね!そーする」
この2人の同時にふわって笑うの、幸せそうで僕まで嬉しくなる。クランベリーは心を癒すとか、天真爛漫って意味がある。ゆーとにぴったりなケーキ。レモンも爽やかだけど熱意のあるしゅーとにぴったり。
「優斗と秀斗は決まったのか。類、俺のオススメはあるか?」
「んー、やまとはいつも和風だから、今日は思い切ってピーチケーキとかどぉ?」僕のイチオシ!と指さす。
「綺麗なケーキだな。選んでくれてありがとな、類」カウンター越しに髪をワシャワシャしてくる。昔から不意打ちでやってくるこれは心地いい。「どういたしまして!」それに、白桃はやまとに合っている。まっすぐで、純真で。
「るいるいー!俺はー?」
「こはく声デカい!恥ずかしい!」
「いやー、るいるいのウェイター姿が見られてテンションあげあげ!それ似合ってる」
「…っ。ありがと。」こはくも不意打ち。皆ずるいよ。
「なに照れてんの?」僕をからかってほっぺをツンツンしてくるこはくの指を避けながら、早口で説明する。
「照れてないし!こはくはこれ、マスカットのケーキ。オシャレで、でもしっかりしてて、すごいこはくっぽいケーキ」
「ありがとな、るいるい」ポンポンと頭を2回触れて離れていく手が暖かかった。
「いいお友達ね。それに皆類くんが大好きなのね。ああいうお友達は宝物よ。」羨ましいわ、と優しい笑顔のオーナー。
「はい!僕も皆が大好きです!」
「シフト中だけど皆と話して来て良いわよ。それで皆が帰る時に一緒に行きなさい。」
「でも…」
「皆が来てくれたのよ。類くんは大切なお客さんをおもてなししなきゃ」ほら、これケーキとドリンク。楽しんでね。と背中を押してくれた。
「あっ、手伝うよー」とゆーととこはくがトレーを運ぶのを手伝ってくれる。
「バイト中だけど皆といていいって!」
「マジか!じゃあ俺るいるいのケーキ選んでくる!」
こはくの選んでくれたケーキはオレンジのチョコレートケーキ。
「るいるいおつかれ!誘ってくれてサンキュʕ•ᴥ•ʔ」ちょっといびつなクマのイラストに思わず笑ってしまった。