優斗と秀斗
「やっと飯だー!大和っち早く!」
広くて空が1番近い場所。なのに立ち入り禁止区域だからいつも俺ら以外に誰もいない。
中高一貫の男子校。先生の見回りなし。完全に俺たちの溜まり場だ。
日向でひとつになってる2人の影。相変わらずだな。いつも一緒にいる優斗と秀斗。初めてあったのは中1の時。
俺は秀斗と同じクラスだった。運動神経のいい秀斗とすぐ仲良くなった。頭いい人は頭いい人同士でつるむ。野球部は野球部のヤツらとつるむ。目立つやつは目立つやつとつるむ。そんなもんじゃね?
秀斗が双子なのは知ってた。同じイケメンが2人いたから。でも他クラスなのに毎日一緒に昼食べるか?仲良すぎかよ。そんな感じだった。
だけどそのうち優斗のクラスにいる俺の幼なじみ達と5人でいるようになって気づいた。
優斗には秀斗が必要だし、秀斗には優斗が必要だったって。優斗が疲れたら秀斗に寄りかかる。秀斗が落ち込んだら優斗が甘やかす。一緒に笑って、一緒に悔しがって。それでもひとりじゃないから、また前を向く。優斗が迷ってたら秀斗が背中を押す。秀斗が困っていたら優斗が手を引く。そしていつも互いにちょっと自分を預けてる。
「ゆーと、しゅーと、おまたせー!」
「おそいよ」「おせーぞ」
同時にふわっと笑うこいつら気づいてんのかな?すげー安心しきった顔してんの。まぁ、分かってるか。隣にいんの自分の鏡だもんな。
「もう腹減りすぎて死ぬ」
「お前は1日中寝てただけではないか」
「このチワワさっきうるさかったー!」
「チワワって、ははっ、確かに」
「今日は派手だな、琥珀。朝から目立ってた」
「おい、優斗!確かにじゃねー!やっぱ!?この色目立つよな、
イケメンオーラ出ちゃってっから」
「琥珀いったん落ち着け、そして座れ。せーの!」
「「「「「いただきます!!!!!」」」」」
毎日が遠足みたいで、俺はこの空間が好きだ。家で1人でいることが多い分みんなと入れるのが楽しい。
「今日皆で類のカフェ行かね?朝話してたんだけど」
「そーそー!バイトしてるとこ。」
「行っていいのか?ぜひ行きたいが。」
「もちろん、うぇるかむだよ!」
「マジ?るいるいのウェイター見に行こーぜ!」
「ケーキ美味しいって!タルト!」
「こはくは来んなしー!」
「えー!てか優斗テンション高っ!」
「優斗スイーツ好きだったか、よし、これをやろう。秀斗も。」
「「抹茶どら焼き?うま!!」」
「やまと僕の分はー?」
「それ美味いだろ!( •̀ω•́ )」
「なんで琥珀がどやってるんだよ、大和サンキュな」
「大和ありがとー」美味しー、と秀斗と目を合わせて笑ってる優斗を見ると、このまま幸せになって欲しいと思う。2人の胸元で色違いのネックレスが太陽に反射して輝いた。