水溜まりが広がりそうな空模様にて―③
美澪は、自宅の縁側にて正座し、瞼を閉じる。いつもの朝の日課。登校前に、行っている。傍らには木刀。いつもは、竹刀を持つ彼女だが、自宅で素振りをする際は木刀を使っている。
曰く、一番手になじむから。
常日頃、朝早く起床し、自分が納得いくまで素振りをする。その後に瞑想をしてから、朝食や身支度をおこなうのが、彼女のルーティンである。するとしないとでは、一日のコンディションが大きく違うと感じていた。
邪念を払う。自分を空っぽにする。ざわつきそうな心を静める。そして、体の中心に一本のエネルギーの流れをイメージする。それを全身にめぐらせる。そこから、一つの刃を作るイメージ。集中。
一瞬、美澪めがけて、空気のカタマリが全身を打ち付ける。
いうなればそれは、一陣の風。精神が一番研ぎ澄まされたときに決まって、風が吹くのである。
「うん。今日、やってみよう」
美澪は、決心した表情になった。その瞳はまっすぐ遠くを見つめていたようだった。
***
放課後。部活の準備や帰り支度で周りが活動している中、みもりは椅子に座りつつ、視線を落としてじっと何かを見ている。その先は、朝もらった手紙。まだ、封を開けていない。いっそのこと、えいやっ!と開けてしまってもいいのだが、彼女自身、なんとなく勇気が出ない。そもそもすぐ読むべきだったのだろう。けれども、今の今までそのままにしていた。
……別に、いじわるとか、悪いことではないんだから。というか、意識しすぎだろう私、とみもりは自分自身に言い聞かせる。なんか、こんなにドギマギするのはひさしぶりだった。
まあ、何はともあれ、目の前にある手紙の封を開けなくては先に進まない。みもり自体、開けないでそのまま無視をするという選択肢もあるが、それは彼女のポリシーに反していた。
もし、昼休みのお話だったらどうしようとおもいつつ、かわいらしい便箋を手に取る。恐る恐る、ハートマークのシールを綺麗にはがす。破ったりなんてできない。
放課後の喧騒が、嘘のように耳に入らなかった。それほどこの手紙に集中してしまっていたのだ。中身を取り出す。それは、一枚の折りたたまれた手紙。意を決してゆっくりと開こうとする。
「…あら、かわいらしい手紙……。誰からかしら……?ラブレター……に見えるわね……?今どきにしては……、とても、味わいがあるわね……」
「あひっ?!」
と驚き、即座に封筒の中にしまうみもり。それにしても、今日のみもりは何ともビビりすぎである。
言葉をかけたのは、ウェーブのかかった黒髪のボブが特徴の、眼鏡をかけたダウナー系少女である。名前は、湊橋江梨華。通称りかちー。同じクラスのとあるきっかけで仲良くなった友人である。
「びっくりしたぁ。りかちーか。あ、いや、ラブレター……かどうかわからないんだけど……もしそうだったら、どうしようかなって、ドギマギしてた」
」
「……ああ、……だから朝から……思い悩むような、ビクビクするような、……小動物的な雰囲気があったのね……」
「え、そんなにびくびくしてた?!」
「……ええ、とっても」
まさか、態度が小動物的だと例えられたといえど、友人にも挙動不審見られていたのは、ちょっとみもりは落ち込む。
とことこと、クマのぬいぐるみが机の上を歩き、手紙を持ち上げる。不思議な現象であるが、彼女達の間では特に違和感を持たない。それもそのはず、これは湊橋江梨華の女子力の能力。物を操作し、人型であれば手足のように操る等、操作する能力の一環である。
「で……、読んだの……?」
「ううん、まだ」と、みもりはぬいぐるみが持ち上げていた手紙を取る。
「……どうするつもりなの……?そのままにしちゃうの……?」
「いや、さすがにそれは悪いから、読んでからどうするか決める」
「……うん……そうよね……そうするべき……」
と、手紙を広げようと……。
「えりかちゃーーん!!!」
と、今度は聞きなれない大声でびっくりする。
そこには、見知らぬ金髪のショートヘアの女子が現れた。みもりは視線を落とし靴見ると、どうやら、上級生、それも2年生の色をしていた。
「あれ、りかちー、いつの間に先輩と交友関係に?」
「……ええ、まあ、成り行きで……?図書室でちょっと……」
「あなたが、えりかちゃんのお友達ねっ!こんにちわっ!」
「え、あ、はい!こ、こんにちわ!こ、ごきげんよう」
と、向こうの元気さに圧倒される。と同時に彼女のどこか上品にも思えるしぐさで反射的に、みもりはごきげんようと言ってしまった。
「えりかちゃんっ!今日も、秘密会議するわよっ!さあ、早く図書室いきましょっ!お友達ちゃん、この子連れて行くわねっ!さあ、目指せ、写真共有アプリ映え!」
「え、ちょっと……」
と、彼女の勢いのまま腕をつかまれ連れていかれる江梨華嬢。そのまま、廊下へと引っ張られていく。
みもりも、勢いのまま廊下まで来て見送ってしまった。
すると、後ろから2人の人物がぬっと現れる。
「やっぱり、クラスまで来てたんっすね!あ、いっちゃった。あ、クラスの方ですか?うちの部長がうるさくて申し訳ないっす!」
「ごめんね。うちの部長が、騒がしいでしょ」
振り返ると黒と茶の間のような髪の色の眼鏡の生徒と、その横に一回り小さい生徒が近づいてくる。たぶん、この方達も2年生の先輩のようだ。
「い、いえ、全然」
「そう?なら、よかった」
「先輩方も、もしかして図書室に?」
「はい、そうなんです。これから、江梨華さんと一緒に私たち3人で図書室にちょっとした用事で」
「まあ、私たちの活動の一環てところかな?」
「なんか、楽しそうでいいですね」
と、みもりの一言は当たり障りのないつもりの発言だった。
が、小さい方の先輩は表情が徐々に曇っていった。なにか、地雷を踏んでしまったようだ。
「ええ、多分楽しそうなのはあの子だけ。あの子、変なことに首突っ込むから大変で大変で、それもいっつも私が貧乏くじ引くし、いっつも私ばっか災難にあって、この前も古びた病院に探検とか言って、散々な目にあったし。それに比べていいよね。あの子は気楽で……」
「あ、スイッチ入るの早いっす~!まあまあ、落ち着いて!」
と、小さな先輩が小声でぶつぶつと言葉による言葉の弾幕を広げ、眼鏡の先輩が慰める。
2人の状態にみもりは、あっけにとられていると、そのまま、小さい先輩がぶつぶつ言いながら図書室の方へと赴く。なにか、暗いオーラが立ち込めていたようにも見えた。
と、眼鏡の先輩も「あはは……失礼しますね」と会釈をし、走ってついていく。
みもりは、どう声かけていいものかと迷い、お疲れ様ですとしか出すことができなかった。
改めて、この学校には変わった人が多い。それが、元お嬢様学校から自由な校風に変わったという証拠であろう。また、江梨華の交友が増えるのは、みもりからみてもうれしいし、たぶんいい人たちなのだろう。しかし、いきなりレベルの高い人たちと付き合い始めたなと思えてならないというのは野暮だろうか。
「あのー、宮原さん?」
と。今日は、いろいろと話しかけられる日だ、しかしさっきの図書室の関係者かと思い、声をかけられた方へと振り返る。するとそこには、意外な姿があった。
「あれ?えーと、……C組の村瀬……さん?」
「あら、私の名前知ってるなんて、意外ね」
そう、そこには、腰に左手の甲を添えたポーズで、剣道部のツンツン少女、村瀬真朝が立っていた。みもりにとっては、隣のクラスの女の子で名前を知っているぐらいで、話すのは初めてだった。
「えっと、まあ、ね」
彼女の名前自体は、江梨華から聞いている。そのきっかけは、前に図書室で江梨華と真朝、2人が少し会話をしたのを聞いていたからだった。悪いと思いながら聞き耳を立ててみれば、お互い、どこかぎこちない会話をしていた。しかし、その内容に鑑みると、昔から知っているような間柄にも思えた。いうなれば、大昔に喧嘩した後、仲直りの機会が出来ず、そのまま今になって偶然会って会話しているような……。
後で、江梨華に聞いてみれば、名前を教えてもらった後、「ただの腐れ縁」としか言わず、それっきりだった。
喧嘩というのは、例えであり、みもりの想像だ。実際、そうかもしれないし、そうでないかもしれない。しかし、どこか、彼女らの間にわだかまりがあるように思えた。
なんとなく、江梨華の名前を出してはいけないと思っていたら……、
「まあ、いいわ。で、江梨華いる?」
向こうから、名前が出ていた。どきっとしつつも、
「あ、えーと、りかちー……、いや、湊橋さんは図書室に用があるって。3人の先輩につれられてたよ」
「まさかと思うけど、ハイテンション金髪と、オタク眼鏡と、チビ……ちんちくりん?」
ご本人たちがいないところで、すごい毒吐くなあと思いつつ、
「うーん、まあ、あはは……」
「はあ?マジ?あの3人図書室にたむろしてるとはきいたけど、まさか、図書委員だからってホントにアイツラとかかわるとか……。オカ研のヤツラなんかと」
「オカ研?」
「ええ、あの3人組。うちの学校では有名よ。いたずらか、騒ぎがあれば、その3人の影ありっていうの?前の集団ヒステリック事件にかかわってないことが意外なくらい」
「は……はぁ、そうなんだ」
その集団ヒステリック事件にかかわってるのは、あなたが探している人であり、話しかけている人も大きく関係があるとはついぞ思わないだろう。
「ま、急ぎの用事ではないし、機会があったら話しかけるわ、じゃあね」
「うん、じゃあね」
「あぁ、そうだ」と、クラスに戻ろうとした束の間何かを思い出したように、真朝は意味深な言葉かけた。
「うちのツレが迷惑かけるわね」
と。
ツレ。みもりも、最初は江梨華かと思いきや、ツレと言ったら、いつも一緒にいる人のことを指す言葉であろう。みもりはいぶかしむも、考えても仕方ないと思い、クラスに戻った。
***
「はぁ?なんでこんな、天気悪いんだよぉ。まじ、イラつくぜ」
階段前の窓際で浅黒目な肌をし、少しボタンをだらしなく外している夏服の少女はため息をつく。曇りだった天気は、しとしとと降る雨に様変わりしている。歩いて帰れなくもないが、駅まで帰るにはちょっと辟易するぐらいだ。
「わかるわー。梅雨の時期はホント気が滅入るよねぇ。晴れてくれないかなぁと思うよねえ」
と隣には、たぶん、先生であろう。カーキ色のパンツルックに公の場に出てもおかしくない白い上品なシャツ。そして、薄い紺色のジャケットを着ており、ロングな髪の毛を持つ女性が、小麦色の少女とおなじように少しうなだれている。
「だよな~。早く夏こねぇかなー。てか、櫻野ちゃんこんなとこさぼってていいわけ?」
「いいも何も、柄にもなく阿賀坂さんが、こんなとこでうなだれてるんだもの。生徒の相談に乗ってあげるっていうのも、先生の仕事よ」
「え、じゃあ、櫻野ちゃん。車のせてけー」
「い・や・だ」と、にっこりスマイル。
「えーいいだろー。へるもんじゃないしー」
「ガソリンが減りますー」
「うぇー、まじかよー」
と、他愛のない会話を続けている。このうなだれている少女こそが、美澪が見ていた、先の公園でみもりと喧嘩した件の少女その人である。
名前は、阿賀坂元子。通称、もっちん。女子力の能力はいまだ模索中。拳に女子力を固めた攻撃や、その応用で地面にぶつけることで文字通り遠くへと走らせることができる。
みもりが教室から出てくる。手には、あの手紙をもって。あの後も、まだ踏ん切りがつかないようだ。普段のみもりなら、少し悩んだりはしてもそこまでうじうじしないのであるが、かなり悩んでいるのも自身の体調か、それとも今日の天気のせいであろうか。
元子は、歩いてくる音に気づき、みもりだとわかるやいなや、
「お、ししょー。今帰り?」
「あれ?もっちん。うん、そうだよー。って、櫻野先生もいらっしゃったんですね」
「やっほー。お、宮原さんその手に持っているのは?」
「え、これはその…」
「それって、手紙だよな……?今から出しにいくのか?それとも、もらったのか?」
「それが…。朝、下駄箱の中に入っていて」
「下駄箱!?それはもしや……青春だねぇ」
うんうん、と何か感づいたのか櫻野先生はうなずいていた。
「なんで、下駄箱に手紙なんかが入ってるんだ?」
「それはねぇ。思いを秘めた女生徒の揺れ動く感情をその人に伝えたいがために、辛く恥ずかしくもあるけれど、どうしても知ってほしいからこそしたためる手紙だから……」
と、櫻野先生が軽くトリップする中、
「あはは……。あれじゃないかな。直接言葉じゃ、恥ずかしいから、手紙書いて読んでもらおうってことじゃないかな?」
と、みもりの思うところを話していた。
「別に手紙書く方が、めんどくさくねーかぁ?私だったら、直接言うぞ」
「なーんか、あなたがいうとカチコミに行くように聞こえるわよねぇ」
と、先生も口をはさむ。
「うっせ、カチコミってなんだよ!なんで、そっち方面に例えるんだよ!」
「しっかし、それラブレターでしょ。今の、IT時代のまっただなかにまーた、風流だよねぇ」
「ラブレターって決まったわけじゃないですから!先生。ほら、ただ、ちょっと、かわいらしい便箋なだけですから」
「いやぁ、いかにも、ラブが詰まっている感じに見えるもんー」
と、先生は便箋を見ながら、朗らかに言う。
「てか、なんで、それがラブレターになるんだ?だって、ここ女子高……」
「阿賀坂さん、世の中にはいろいろな人がいるの。別に、女子高だとしてもラブレターが下駄箱にあったっておかしくないものよー」
「あはは……」
恋文、手紙、便箋。それがあったころに対して、反応は十人十色だ。だけれども、読むべき人に読まれていない、そう思うと、みもりは胸の奥がちくりとした。
「んで、ししょー。それ読んだのか」
「いやぁ、それが……読んでない」
「よし、わかった。私が代わりに読んでやる。かしてみろ」
「ちょっとー、阿賀坂さーん。それはデリカシーってものがなさすぎるでしょう!あと、プライバシー保護違反ダメ。あなた、数学とかすっごいできるのにこういう機敏なものには疎いんだから……」
「えっ!?」みもりにしては、意外な情報を知る。櫻野先生の担当は数学。その先生をしてまで、ほめられるということは、相当である。
「あ、ししょー。その顔は、意外だと思ってただろ」
「……、ごめん。正直に言えば」
「なんか、ちょっとへこむ……。まあ、ただ、数字とか扱うのが、得意ってなだけだよ」
「ねぇねぇ、彼女数学の点数何点だか知ってるー?」
「櫻野ちゃん、数秒前の言ってたこと忘れんな!」
と、みもりは耳元でこっそりと教えてもらう。耳元で聞こえたのは、もちろん、点数として唯一の3桁。高校の初めとはいえ、相当なものだ。
「ま、まあ、大したもんじゃねーよ」
彼女は彼女でよっぽど照れ臭かったのか、ちょっと顔を赤らめてそっぽを向いて言う。照れた顔が少しかわいく思えた。
「じゃあ、今度、女子力の流れを教える場合は%で教えた方がわかりやすい?」
「あー、そっちのほうがいいかも」
「じゃあ私は、いつかもっと難しい問題作ろうかなー」
と、先生はそれとなくつぶやいた。
「さすがに、それはやめろ!!」
「さすがに、それはやめてください!!」
と、2人の生徒は、危険を察知したのか、すかさず同時に声をそろえる。さすがに、生徒が100点取られたぐらいで次のテストを難しくされた日には、目も当てられない状況になりそうだ。
「おお、さすが、師弟。うそうそ、冗談冗談……かもねー。次の平均点次第かなー」
「よし、今度は点数わざとおとす」
と、元子は謎の目標を掲げる。みもりは、いや、そこは取れるんだったらとっといたほうがいいんじゃあと心の声で突っ込む。
ーーーーよし、決めた。
手紙の中身を取り出し、開こうとしたその瞬間、
「だーれだ~!」
と唐突にみもりの目の前が、真っ暗になる。聞こえてきたのは、みもりは知っているあの特徴的な間延びしたしゃべり方と声。あ、なんか、いい匂い。
……って!
「土岐子会長?!ですか?」
と、びっくり大声を上げる。
「せ~いかい~。みもりん、おどろきすぎ~」
と、振り返ってみれば長い綺麗なまっすぐな髪の毛のいかにもな和風美人、大和撫子という言葉が似合いそうな少女がいた。この人が、天女の現生徒会会長の水天宮土岐子という人である。入学してから、何かとみもりに目をかけており、先の集団ヒステリック事件でも、みもりと元子と一緒に事をあたったりもしていた。
「あらら?いつも一緒にいるお人形ちゃんが、今日はいないようだけれど~?」
「あ、りかちーは、オカ研?という人たちに捕まったらしくって……」
「ああ~!あの面白おかしいことを考えて、行動するあの子たちね~」
にこにこ~と微笑む会長の傍ら、
「え?湊橋さん、オカ研に関わってるの?!」
と、実の担任の方は担任で驚く。どんだけ、あの人たちは要注意人物なんだろうか。
「あ、いや、なんか、一方的に捕まったみたいで……」
「まあ、変なこと起こさなければいいけれどね」
「え~、先生~。事が起こった方が面白そうだと思いますよ~」
「何かあった場合、その時は、生徒会も全面協力させるわよ」
「そうです。会長。それにまず、第一に何か起こされる前に事を防ぐべきかと」
と、今度は、凛とした、冷酷と思われるような言葉がかけられる。そこには、銀縁眼鏡をかけたショートミディアムにワンポイントとして、赤いヘアピンをつけている少女。彼女が茅場沙智という少女。この天女の副会長である。
「げっ、ドS眼鏡……」
「何か?」
ちなみに、このように元子は、沙智のことが少し苦手であったりもする。
「とりあえず、会長。目的を忘れないでください。そして、先生。そろそろ、会議の時間です。こんなところで油売ってないで、生徒会室へお願いします」
「えー、油売っててもいいじゃーん」
「それは、きっちり、責務果たしてからです」
生徒と先生の関係のはずが、見事に逆転している。どっちが、先生なんだろう。
そう思うや否や、いつの間にかみもりが手に持っていた手紙が消えていた。あれ、どこに落としたんだろうと慌てふためいていると、
「あらあら、この紙は何かしら~」
「ああ、会長!それは――――」
「『宮原みもり殿。貴殿にお話申し上げる。明日の放課後にて体育館裏で待つ』あら、筆で書いてあって結構達筆ね~」
「ああーーーーーー」
と、読まれてしまい、何か、恥ずかしいようなすっきりしたような感じだ。なぜか、穴があったらそこに顔を突っ込みたくなる。当事者だからだろうか。
だとしても、自分が書いたわけではなく、もらった側なのだがみもりとしても恥ずかしいものは恥ずかしい。
「みもりん?これ、果たし状~?」
と、会長は相変わらずのペースのままだった。