表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/100

(18)マンネリ

 マンネリという言葉がある。いくら楽しいことだって、常態化すれば、ちっとも楽しくなくなる状態だが、この状態をマンネリと人は言う。相思相愛でアツアツだった二人が、結婚後、数十年経つうちに、どちらかといえば相手がけむく思える状態・・これはマンネリというより倦怠けんたいだろう。^^

 街の商店街にある餅屋の前を一人の老人ご隠居がスゥ~~っと通り過ぎた。それを見ていた店主がいぶかしげに声をかけた。

「おやっ! ご隠居!! 今日は寄られないんですかっ!?」

「ああ、これはご主人…。いや、少し腹具合が悪いもんでしてねっ!」

 実のところ、腹具合など少しも悪くないご隠居だったが、軽くぼかした。

「毎日、寄られるので、どうかされたのかと思いましたが、そうでしたか。お大事に…」

 店主は軽く頭を下げた。軽く暈したご隠居は、店主に軽く頭を下げられ、思わず自分が悪人にでもなったような気分がした。時代劇ファンのご隠居にとって悪人は正義の味方にバッサリ斬られるとしたものだったから、自分も斬られてはっ! …と思えた。

「い、いや…そ、そんなに悪いってこともないんですがな。そうだっ! 腹具合がおさまってから食えばいいか…。いつものように包んでもらいますかな」

 ご隠居としては、マンネリで今日は余り食べたくないもんで…とは、口がけても言えなかったから、また軽く暈した。

「あっ! さよですか。では…」

 店主には理由が薄々(うすうす)、分かっていたが、ご隠居を甚振いたぶるようなことはせず、軽く応じた。ご隠居はいつもの額を支払うと、餅の包みを受け取って店先から軽く消えた。

 楽しくないマンネリ気分は、軽く暈すことで楽しい気分に変化する訳である。お相撲では、これを軽くいなす・・と言う。…言わないかっ!^^ 


                  完

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ