表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/100

(11)どうなるっ!?

 楽しいと、その後の展開がどうなるっ!? を、そうでない場合と比較して考えてみよう。あんた、ひまだな…と思われる方もお有りかと思うが、考えてみたいのだから仕方がない。ということで、そういう興味のない方々は昼寝をしていてもらっていても、いっこう構わない。^^

 先だって起きたことに、野暮用というのがあった。思ってもいなかった靴下に穴が開いてシャツが破れていたのだ。これから楽しい番組を観よう! としていた矢先だったから、気分はダブルパンチに半端はんぱなく悪く、楽しい気分どころか、返って腹立たしいくらいになった。結局、VTR[録画撮り]で、かろうじて難をのがれたが、楽しい番組のどうなるっ!? は、やはり捨ておけなかった・・ということだ。^^

 とある映画館の、とある席である。一人の男が食い入るようにスクリーンに見入っている。それもそのはずで、映画はいよいよ最後のクライマックスへ差しかかろうとしている矢先だった。

『そうよっ! フフフ…俺がやったのよっ! やっと、気づきやがったかっ! 冥土めいど土産みやげに聞かせてやろうか、その訳をっ! おめえの、とっつぁんはなっ! 俺の親父おやじやお袋を借金苦の上、死なせちまったのよっ! おめえも道連れにしてやるぜっ!』

 男は映画の悪くなっていく展開に、この先どうなるっ!? と、スクリーンに映し出された憎々(にくにく)しげな悪役を、キッ! と腹立たしい目つきで見据みすえた。

「待ちなっ!」

 そのとき、渋い声とともに盛り上がるBG[効果音楽]が流れ、悪役の前に主演の男が入口の戸を開けた。着流しに抜いたかたなを片手にした姿が格好いい。

「おめえさんにうらつらみはござんせんが、渡世の義理ですっ! 死んでもらいますっ!!」

 主役のそのひと言に、男は、『そうだっ! やっちまえっ!』という気分で、思わずパチパチと拍手した。となりの席の客が顔を男に向け、いやな目つきで咳払せきばらいをする。男は一瞬、自重じちょうしたが、この先、どうなる!? と、逆転したいい展開に、『頼んだぞっ!』とばかりにすがるような目つきになった。そして、主役の男を追うように思わず席から立ち上がる。隣の席の客が、ふたたび顔を男に向け、嫌な目つきで咳払いをする。男はまた一瞬、自重じちょうして席へ座る。

 このように、どうなるっ!? という気分は、人の心の奥底を露呈ろていし、その気分で行動を変化させるのである。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ