深さと高さと奥の間と
穏やかな雲に穏やかな波。
その間を爽快な風が吹き抜ける。
瞼を閉じて大きく風を吸い込んだ。
ふわりと身体が浮かれてしまう。
心地良いこと極まりないこのひと時を、
劈くように過ぎる青。
慌てて開いた瞼の内に、
なだれ込む青は海と空。
見上げた青と目が合えば、
連れ去られるかの如く吸い込まれ。
見つめた青と目が合えば、
引きずり込もうと魅入られる。
地に足がつかぬ程も、
染み渡る癒しに浸る温もりも、
はあ、と溢れた後にはああと、あと。
跡を辿るもさらにさら、
染みをなぞるもざらりざら。
どちらを求めに求められてもひと時の幸。
どちらも息を忘れる苦しさの後。
恐れるものは何も無い。
たかがひと時、されどひと時。
掴みそこねば、からくれない。