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裏方の勇者  作者: ゆき
武闘大会編
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その夜

投稿が遅れて申し訳ないです。

一年の三分の一を夏バテしているのですが、この時期は毎日熱中症です。

書く気力もなく、そのままベッドに倒れているので、投稿できませんでした。

皆様もどうか身体に気を付けてください。

「フッフッフ。中堅冒険者が、出来損ないの魔石を使ってあのレックスに重傷を負わせるとは・・・。」


男は、屋敷でワインを飲みながら実況に耳を傾ける。


「約束の為にほとんど使いましたが、多少は手中にあり、製造方法も確立できそうな段階にある。最強の軍隊を作れる日も近いだろう。」


冒険者の予想以上の成果と魔石の解析の進捗率に気分は高揚し、ワインを空けるペースが速くなる。


「フッフッフ、きましたよ。ワタシが天下を取る時が!あの面倒な魔王も倒し、私が世界を統べる王になる。」


誰もいない部屋で宣言し、グラスを飲み干す。


「あぁ、忘れていました。約束を果たす対象が死んでしまったので、彼の家族も用済みですね。次回にまとめて処分しておきましょうか。」




ルカ達と別れて宿にはまだ戻らず、ループスと共に教会に向かう。

おそらく先ほどの冒険者が使った魔石が、淀んでいるモノに関係しているだろう。

しかし、情報が少なすぎる。魔石自体の事もわからないが、直接的に淀ませる様なモノでもない気がする。

・・・考えても解らないモノは解っていそうな人に聞くのが手っ取り早い。時には攻略本を見る事も必要だろう。

教会に着き、ディアに祈る。



「観ていましたよ、ハヤト様。」


開口一番にそんなことを言われる。

・・・えぇ~。試合観てたの?女神様って結構暇だよな。


「そんなことよりも、お茶菓子がまだですね。」

「いやいや、試合観ておいて言う事それ?お茶菓子は、ちょっと待ってくれ。いろいろ探してるから。観てたなら、あの魔石の話を聞きたいんだけど。」


神様の力をもってすれば、直ぐに答えは出るだろう。自分で駆けずり回るよりもよっぽど効率的だ。


「あまり教えられないのですよ。神々のルールで、世界に直接かかわる事は、神託を少し下ろす位しか干渉出来ないのですよ。」

「そんな面倒臭いルールがあったなんて・・・お茶菓子は良いのか?」

「・・・問題無いのですよ。」


ディアは、目を合わさない様に横を向いて、口笛まで吹こうとしている。音は鳴っていないが・・・


「こっち見て言えよ。」

「お供え物はいただいても構わないのですよ。」

「いやいや、請求してるだろ。」

「・・・仕方ありませんね。助言出来るように何とかしましょう。」

「お願いします。」

「ただし、今回はヒントだけですよ。」

「助かります。女神様。」

「あの魔石は、負のエネルギーの塊で、今回の騒動は実験の様なものなのですよ。」

「本当の狙いはもっと大掛かりになるってことか。負のエネルギーを使う何か・・・。事をおこすタイミングと場所は教えられない?」

「それはさすがにダメなのですよ。ただ、汚染しやすい場所に仕掛けをしている可能性が高いのですよ。これ以上は教えられませんよ。」


ダメもとで聞いてみたけどやっぱり教えてくれないか。まぁ、これだけヒントを貰えればなんとかなるだろう。


「わかったよ。ありがとう、ディア。」

「いいのですよ。」




ディアと別れて汚染しやすい場所とやらを探す。

ムスペリオス王都付近には、Aランクの死霊系ダンジョンがあるが、ダンジョンなので、汚染しやすいどころか既に手遅れなレベルで汚染されてるだろう。

町中となると、パッと思いつくのは墓地くらいだ。ダンジョンの多い国という事は、一攫千金で儲かる華々しさの裏に、夢に破れて散っていった人も多くいる。

亡くなった高ランクの人達を、ギルドや関係した貴族が弔い、埋葬している場所があるらしい。

魔石の別の使い方となると、負のエネルギーとやらで墓地を掘り起こすか?

ただ、こんな大掛かりな事してそんな単純なのか?という疑問が残る。そもそも目的もわからないし・・・。

ダメもとで行ってみて、違ったら光輝達にディアの名前が出ない程度に情報を渡しておくか。


「・・・しかし、この時間帯から墓地は怖いな。」

「クウゥゥン。」


ループスもテンションを下げ気味に鳴く。


「ルーも怖いのか?」

「ガゥ・・・」


どうやら怖いらしい。この子、Sランクの魔物じゃないのか?

重い足取りのまま歩き、やっとのことで墓地に到着する。


「ちゃっちゃと確認して、すぐに帰るぞ。」

「ガゥ!」


意を決して、ループスと二人で墓地に足を踏み入れる。一歩入った瞬間、ねっとりと絡み付くような不快感が押し寄せる。


「何だここ・・・」


不穏な空気が流れ、心なしか寒さを感じる。プレッシャーとはどこか違う、気怠さに似た圧力をこらえて、さらに奥へと進んでいく。


(・・・い・・・ぃ)

(・・・)


墓地の中心付近到達し、幽かに脳に響く悪霊の声のようなモノを聞かないようにしつつ辺りを見まわす。


(・・・す・・・ロス)

(ぃ・・・・・・に・・・クイ・・・)


中心だからなのか、魔術が発動しそうだからなのか、脳に響く悪霊の声ははっきりと聞こえ始める。震える足を何とか黙らせて、視界に集中する。

所々に月明りを鈍く反射するようなものが見える。怪しく光るそれは、墓地の中心を基点に等間隔で並べられている物と、その外でバラバラに点在している物とがあった。

前者は、魔術の陣の様に、陣の要所に置かれている物で、後者はバックアップもしくはブースターといったところだろうか。

答えまでは解らないが、この墓地が淀みの一部とみて問題ないだろう。そして、ループスが震えるほどに怖い。

陣を形成している以上、前者の魔石を動かしてしまえば術者にばれる恐れがあるので、後者の魔石を一ついただいて帰る事にした。

足早に墓地から出て、帰路につく。

ループスといつも以上に近い距離で抱き合って寝た。・・・正確には寝れなかったのだが・・・。


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